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後藤
それはうつらうつらと、なりかけていた時だ。
後ろの方から何かが背中に当たった。床に目を向けるとそれはクシャクシャに丸められたノートの切れ端だった。
ふと顔を上げると斜め後ろの席にいる後藤がニヤニヤ笑いながら、ボールペンをカチリと1度ならした。
これがゲーム開始の合図。
次は僕の番で先生にバレないように2回鳴らさなくてはならない。先生にバレたら負けだ。
僕もニヤリと笑い、前を向いた。授業に集中しているフリをして素早く2回鳴らす。
次は後藤の番。
後藤は先生が黒板の方を向いた瞬間に3回素早く鳴らした。先生がチラッと後藤の方を見た気がしたので、早くもヤバイなと感じた。
僕は恐る恐る1回鳴らし、間をおいて2回目をカチリと鳴らした。
「おい!さっきからボールペン鳴らしてるやつ誰だ!!!」
やってしまった、僕の負けだ。でも、負けたやつが怒られる訳ではないのがこのゲームの醍醐味だ。
「後藤!!お前カチカチ鳴らしてただろう!ボールペン全部持ってこい」
ご愁傷さま。いかに先生にバレず怒られないようにするかなのだ。
次の授業は体育かぁ。
太陽が遠くから照り付ける、文句の言いようがない秋晴れだった。
しかし、その秋晴れも長くは続かないと誰もが気付くはずもなかった。




