獅子の夢あと
目が覚めると僕の部屋だった。心臓はバクバクいって、全速力で走った後の様だったが、それ以外はいつもの朝だった。
僕は天井を見つめたまま、腕を目の上に置いた。
「...飛べるのかよ」
僕は時々、学校が舞台の夢をみる。
そういう時は大抵イィ夢ではなく、何かと戦ったり追い掛けられたり恐怖を感じる事が殆どだ。
恐怖を打ち破りハッピーエンドに導くには、まず「夢であること」に気付かなくてはならない。
それに気付く事が出来れば、空を飛べたり武器を自在に取り出したり超人的な力を発揮したり出来る。
しかし夢によっては飛べない世界もあるし、武器も出て来なかったり、とても不安定なものだった。
ここまで僕が経験してきて学び取った事。
そんな恐ろしい夢、出来ればハッピーエンドに持っていきたいと思って始めた事だった。
今朝の夢に出てきた獅子のように動物がモデルであれば、その動物が出来ない事はしない..というのが定石だったので、僕は空を飛んだのだ。
しかしこの獅子は例外でコチラに飛んできたから驚いた。
そういう事をしながら夢の中のいつもと違う日常を楽しむ僕は中学2年生。
現実逃避もそこそこに、進路も考えなきゃなと思いつつ授業のノートをとっていた。
ノートさえとっていれば、先生の話は聞かなくても何とかなる。
にしても...あの獅子は反則だよな。