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進路
「進路どうする?」
そう話しかけてきたのは、後藤だった。
明日は進路指導の二者面談があるのだ。
「僕はまだ決めてないな。やりたい事もないし、行きたい高校もないから、学力に応じてかな」
後藤はふーんと言って黙りこんでしまった。
僕が後藤の進路を聞くと、うーんと考えながら答えた。
「僕もまだ決めてないけど...」
何かを言いかけて、後藤は口を瞑った。
そしてそのまま席へ戻ってしまった。
ほどなくして、今度は珍しく斎藤がやってきた。内容は後藤と全く一緒だった。
「みんな一緒の高校がいいねって、後藤君と話してたの」
そう言うと、斎藤は自分の席へと去って行った。
みんな何となくではあるが、真面目に進路について考え始めていた。
僕はそんな事よりも、明日の中間テストの方が大切ではないかと考えていた。