煙の夢あと
学校へ行くと斎藤がいつものように本をよんでいた。
僕は夢の中の事を思い出し、情けない気持ちでいっぱいだった。
今まで斎藤と話をした事などなかったが、斎藤の前の席に座り、斎藤に何の本を読んでいるのか問いかけた。
「言っても多分わからないよ?」
そっか..と言って席を立とうとしたが、斎藤から呼び止められた。
「ねぇ、ここに座ってて。話さなくてもいい。居てくれるだけでいいから。」
あの時は、そばに居る事が出来ず、斎藤を1人にしてしまった。結果、斎藤を助けられなかった。
....。
僕は黙って椅子に座った。
しばらくして、後藤が教室に入ってきた。
「あぁー!何してるんだよ、僕の居ない所で」
弁明しようとしたが、後藤の口は止まらなかった。
「斎藤さんも、僕が学校にくるまで、コイツを寄せ付けちゃダメだよ!斎藤さんの身が危ないよ」
ちょっと待て!何か僕、誤解されるんじゃないか。
「後藤!変な事言うな。斎藤が誤解するだろ」
「僕のマドンナを呼び捨てにするな!斎藤さんだろ」
斎藤が本をバタンと閉じた。
そして、うつ伏せになってしまった。
「ほら、斎藤さん僕たちがうるさいから怒って寝ちゃったぞ」
...いや、後藤。よく見てみろ。
僕は斎藤を指差した。
斎藤は小刻みに震えていた。
ーーーー笑ってる。