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ECHO-記憶の残響-  作者: GODS04


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第72章:崩れゆく砂上の楼閣

9年間の潜伏は、この一瞬のために。

天才ハッカーたちが仕掛ける、最大級の「ざまぁ」展開。

崩れゆく権力と、切り捨てられた男の末路。



(積み上げた嘘の塔は、

たった一つの真実という石を抜くだけで崩壊する。)



◆【2062年・栄華の頂点】


2062年、春。

都内の超高級ホテルで、与党幹事長・榊原廉也さかきばら れんやの政治資金パーティーが盛大に開かれていた。


RE:CODE技術の法整備を主導し、事実上の「国の支配者」として君臨する男。


「いやあ、先生のおかげで日本は平和になりましたな。」


「次の選挙も圧勝でしょう。」


取り巻きたちの世辞に、白髪の榊原は満更でもない笑みを浮かべてグラスを傾ける。


「当然だ。……愚民どもには、適切な管理が必要なのだよ。」



彼は懐の端末を見る。結城維人からの連絡はない。


(フン、あの科学者気取りめ。私の娘(望)を使い潰した挙句、最近は連絡も寄越しおらん。)


榊原にとって、結城も娘も、自身の権力を維持するための道具に過ぎなかった。



◆【審判の時】


その頃、ホテルの地下駐車場に停められたバンの中。


「……準備はいい? 天才。」


助手席の佳乃よしのが、膝上のラップトップを開く。

運転席には、大人びた顔つきになったミカゲがいる。


「ああ。……9年待った。この瞬間のために生きてきた。」


ミカゲの指がキーボードの上で踊る。


2053年の救出劇から9年。彼らは地下に潜り、榊原の不正、裏帳簿、愛人関係、そして何より「RE:CODE技術の私的流用によるライバル議員への工作」の証拠を集め続けてきた。


「……いくぞ。社会的な処刑デッド・エンドだ。」


ミカゲがエンターキーを叩き込む。



◆【ジャック・ザ・スクリーン】


パーティー会場。

突如、シャンデリアが明滅し、会場正面の巨大スクリーンがノイズに覆われた。


『な、なんだ!? 故障か!?』


次の瞬間、スクリーンに映し出されたのは、若き日の榊原が、裏社会の人間と現金をやり取りする隠し撮り映像だった。


『――あぁ、あの議員の記憶を弄って、スキャンダルを起こさせろ。金なら弾む。』


会場が凍りつく。

さらに、画面は切り替わり、膨大なリストが表示される。


『不正献金者リスト』『記憶改竄対象者一覧』……そこには、この会場にいる何人もの有力者の名前もあった。



「な、なんだこれは……!! 消せ! 早く消さんか!!」


榊原が顔を真っ赤にして叫ぶ。

だが、映像は止まらない。


今度は、ある青年の写真と、カルテが表示された。


『被害者:御影ハヤト。妹を守ろうとしただけで、口封じのために記憶を改変され、人生を奪われたエンジニア』


そして、会場のスピーカーから、加工された合成音声――いや、ミカゲ本人の冷徹な声が響き渡った。


『……久しぶりだな、榊原。俺を覚えているか?』



◆【復讐のハッカー】


「き、貴様は……まさか、あの時の小僧か!?」


榊原が腰を抜かしてへたり込む。


『お前が俺の記憶を消し、手駒として使っていた9年間。……俺はずっと、お前の喉元に食らいつく機会を待っていた。』


会場の招待客たちが、一斉にスマホを見始める。

この映像は、会場だけでなく、ネットを通じて全世界に同時配信されていた。SNSは瞬く間に炎上し、トレンドは「榊原逮捕」「RE:CODEの闇」で埋め尽くされている。


『終わりだ、榊原。お前の築いた城は、もう砂粒一つ残っていない。』


「う、嘘だ……これはフェイクだ!! 結城君! 結城君を呼べ!!」


榊原は錯乱し、結城への直通回線を開こうとする。

しかし、画面に表示されたのは《接続拒否》の文字だけだった。


「……見捨てられたか。」


佳乃の声がインカムから聞こえる。

結城にとって、スキャンダルに塗れた政治家など、もはや不要なパーツに過ぎないのだ。



◆【因果応報】


会場にサイレンの音が近づいてくる。

特捜部の検事たちが、令状を手に踏み込んできた。


「榊原廉也先生ですね。政治資金規正法違反、および傷害、特別公務員職権濫用罪の容疑で同行を願います。」


「は、離せ! 私は国だぞ! 私がいなければ……!」


抵抗する榊原の手首に、冷たい手錠がかけられる。

かつて多くの人間に手錠をかけさせ、記憶を奪ってきた男の末路は、あまりにも無様だった。



バンの中、モニター越しにその光景を見ていたミカゲは、深々とシートに背を預けた。


「……終わったな。」


「ええ。……これであんたも、楓莉ふうりちゃんに顔向けできるわね。」


佳乃が優しく笑いかけ、ミカゲに缶コーヒーを手渡す。


「……ああ。」


ミカゲは涙を拭おうともせず、ただ静かにコーヒーを飲み干した。


これで、外堀は埋まった。

残るは本丸――結城維人ただ一人。



第72章・完


第72章をお読みいただきありがとうございます。


9年越しの悲願達成!

ミカゲが自らの技術ですべてを暴き、榊原を破滅させました。

娘すら道具としか思っていなかった男の、あまりにあっけない幕切れ。

しかし、本当の敵はまだ奥に控えています。

いよいよ最終決戦、結城維人との対峙へ。


スカッとした!ミカゲかっこいい!と思っていただけたら、

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感想もお待ちしております。


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