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ECHO-記憶の残響-  作者: GODS04


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第39章:揺らぐ理想

守るべきは、娘か、それとも家族の幻影か。

崩壊する記憶の中で、男は静かに笑う。



(この手で、守りたい。この手で、壊してしまう。――俺は、誰だ。)



◆【2051年2月末 深夜 – 改訂者専用区域】


廊下の奥に響く、無音に近い足音。


真田率いるNOISE武装班が、暗視ゴーグル越しに月陽の居室ドアを確認した。


「解除確認、突入まで3、2、1……!」


電子錠が解除されると同時に、二人の隊員が前進し、室内クリアリングを開始。



居室奥、ベッドの上で月陽が泣き叫んでいた。


「いやっ……やめて……パパぁ……!」


真田が無線で短く指示を飛ばす。


「初代おっさん、月陽確保。」



◆【灯 – 母の代替として】


灯が駆け寄り、月陽を抱きしめた。


「大丈夫……大丈夫だよ。ママがいるから。」


腕の中で震える小さな身体。


(……光生さん……私……やっと……あなたに……)


月陽がすすり泣きながら、灯の白衣を握り締めた。


「ママ……?」


震える声。


灯の瞳に涙が滲む。


(思い出して……でも、思い出さないで……)



◆【沙耶 – 命令者の影】


廊下奥から、沙耶が無表情で歩いてくる。


「何をしているの。月陽はここにいるべきよ。」


その声は冷たく、しかし微かに揺れていた。


「新太。止めて。家族を守りなさい。」



◆【新太(翔真) – 崩壊する理想】


リビングの暗がり。


そこに、新太が立っていた。


ぼんやりと虚空を見つめ、「……誰だ……何してる……」と呟く。


灯が恐怖に息を呑んだ。


その時、月陽が震える声で叫ぶ。


「パパ……!」


新太の顔が月陽へと向いた。



(守らないと……この子を……)


脳裏に、誰かの声が響く。


(――逃げて。真羽を連れて……)


優しく震える声。女性の声。


(……誰だ……?)


頭痛と耳鳴りが襲い、膝をつく。


ECHO警報ランプが赤く点滅し始めた。


◆【NOISE班心理】


真田がすぐに銃を構え直した。


(来る……理想父親の仮面じゃない……“翔真”が……!)


透也が後方で唇を噛み締める。


(光生……あいつは……お前を殺した男だ。それでも……)


透也が短く指示を出した。


「真田、月陽を連れて退け。」


真田は振り返り、低く問い返す。


「……新太はどうする?」


透也は目を伏せ、僅かに声を震わせた。


「今……あいつを連れて帰るのは危険だ。」


真田は唇を噛み、銃を握る手に力を込めた。


そのやり取りを聞きながら、灯が小さく呟いた。


「……でも……光生さんなら……絶対……諦めなかった……!」


透也の拳が震えた。


◆【甲斐 – 医師の祈り】


甲斐は震える手でECHO抑制剤を握り締めた。


(泰輔……頼む……思い出すな……いや……思い出してくれ……!)


矛盾した祈りが、心臓を締め付ける。



◆【ルカ – 無力の絶望】


通信回線越しにルカが泣きそうな声を上げる。


「月陽ちゃん……お願い……無事でいて……。」


モニターには、拳を握り締める新太の姿が映っていた。



◆【ECHO発現】


新太の瞳から一筋の涙が零れる。


しかし次の瞬間、その瞳は冷たく変わる。


(泣き止むまで……やめないからな……)


幼い真羽を殴る過去の映像。


握り締められた拳が震えた。



(この手で、守りたい。

この手で、壊してしまう。

――俺は、誰だ。)


◆【作戦タイムリミット】


無線が鳴る。


『佳乃より全班。廊下セキュリティ、残り稼働時間4分。繰り返す、残り4分――!』


透也が短く息を吐き、決断した。


「真田、月陽を連れて撤退開始。医療班、バックアップルートへ移動!」


真田が灯を見た。


「行け。」


灯は涙を拭い、月陽の手を握った。


「……パパも……一緒に……!」


月陽の泣き声が響く。


新太は、その声に微かに笑った。


「……そうだな……行こう……。」


だが、その瞳には、どこか遠い焦点の狂いがあった。



◆【奪還の行方】


(この奪還は、救いか――破滅か。)


暗い廊下を走る灯と月陽の背後で、


新太の静かな笑い声が、壊れた空気に滲んでいた。



第39章・完


第39章をお読みいただきありがとうございます。


ついに月陽を確保したNOISE。しかし、新太の精神は限界を迎えつつあります。

「パパも一緒に」という純粋な願いは、果たして救いとなるのか、それとも……。

残り4分。撤退戦の行方を見守ってください。


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