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ECHO-記憶の残響-  作者: GODS04


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第34章:奪還計画

暴かれた家系図。そこに記されていたのは、あまりに残酷な血縁と因縁でした。

全ての真実を知った彼らが、一つの決断を下します。



(誰も……置いていかせない――。)



◆ 2050年後半。NOISE仮拠点。


ホログラムモニターに、佳乃が解析した黒峰家ファイルが投影されていた。



《黒峰新太:第1号被験者 / 改訂前名 山下泰輔 / 不破翔真》


《黒峰月陽:実娘 / 改訂前名 不破真羽》


《黒峰沙耶:榊原廉也娘 / 結城維人元妻 / 改訂前名 結城望 / 役割:父性安定化プログラム / ECHO監視抑制者》



部屋は沈黙していた。


空調の低い唸りと、端末ファンの音だけが響く。



透也はゆっくりと拳を握り締めた。


(やっぱり……あいつは……翔真……月陽の父親……)


月陽が今も、新太=翔真と共に改訂者専用区域にいる現実が、重く突き刺さる。



真田が低く吐き出す。


「国民には“更生者”としての象徴だ……この家族構成は、法案正当化の看板だな。」



透也は唇を噛む。


「光生の死を隠蔽し……“理想的社会復帰の父親”として利用してきた……。」



甲斐が顔を伏せたまま、震える声を漏らす。


「……泰輔……翔真の……発現は……“人間”には止められない。」



部屋が静まる。


ルカが、小さな声で呟いた。


「でも……ECHOが発現しちゃったら……月陽ちゃん、傷つくよ……?」


佳乃は目を伏せ、拳を握り締めた。


「……分かってる。」


(廃止させたい。でも……証拠となるECHO発現は、彼を……壊す。)



◆ 【改訂者専用区域 – ナースステーション】


灯はナースステーション端末前で、震える指でイヤホンを抑えていた。



透也の声が静かに響く。


「灯。……翔真が新太として記憶改訂された。沙耶は結城望……結城維人の妻だった女だ。」



灯の頬を涙が伝う。


(……じゃあ……二人とも……改訂されて……家族として……)



「……お前がいなきゃ、この作戦は成立しない。」


灯は小さく息を呑み、震えながら答えた。


「……わかってます。」



彼女は深呼吸し、無機質な廊下へ視線を上げる。


(必ず……連れ出す。月陽ちゃんも……あの人も……)



◆ 【NOISE会議室 – 作戦決定】


佳乃はホログラムに別画面を投影した。


そこには、かつてミカゲが残した“RE:CODE内部バックドア経路”が映し出されている。



佳乃が口を開く。


「……ミカゲが残してくれた。これは私への挑戦状で、助けのコードだ。」


真田はモニターを睨み、短く息を吐いた。


「……これなら、行けるか……?」



透也は伏せた瞳をゆっくりと上げる。


「……新太はどうする?」


沈黙。



佳乃は息を飲み込み、思考を切り替えるように目を閉じた。


(……この作戦は、月陽奪還と同時に、翔真を……)



そのとき、インカム越しに灯の声が響いた。


小さく、しかし確かに震えを帯びた声。



「……誰も、置いていかせない。」



◆ 【甲斐 – 胸奥の決意】


会議室端で、甲斐は端末を閉じ、静かに椅子にもたれかかった。


彼は深く息を吐き、天井を見上げる。


無機質な白い天井が、遠く霞んで見えた。



(……必ず、守る……)



(誰も……置いていかせない。誰も……。)



第34章・完


お読みいただきありがとうございます。


今回、さらりと、しかし衝撃的な事実が明かされました。

黒峰沙耶の正体である「結城望」。彼女は結城維人の元妻であり、あの上層部・榊原廉也の娘だったのです。

なぜ彼女があの場所にいなければならなかったのか。彼女もまた、父と夫によって人生を狂わされた被害者なのかもしれません。


そして、作戦の最終目標が決まりました。

月陽だけでなく、新太も、そして沙耶も。

「誰も置いていかせない」という灯の言葉は、NOISE全員の総意となりました。

ミカゲが残したコードを道しるべに、いよいよ奪還作戦が動き出します。


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