第20章:ハッキングの女神
膠着した状況を打破するのは、一人のハッカー。
彼女の指先が、隠された真実に触れます。
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◆ 【佳乃の提案】
2046年、NOISE拠点。
冷たい蛍光灯の下、張り詰めた空気を切るように、佳乃が声を上げた。
「スパイだろうが何だろうが、こっちが行動する前に、はっきりさせちゃえばいいでしょ?」
真田が目を細める。
「……どういう意味だ。」
「スパイって分かれば、出てって貰えばいいし、スパイじゃないなら、強力な味方になるでしょ?」
灯が小さく息を呑んだ。
「で……でも、どうやって……?」
「え?何するって?」
佳乃は小さく笑い、指先でタブレットを弾いた。
「このおっさんが使ってたPCに侵入するよ。」
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◆ 【反対と沈黙】
透也が眉をひそめる。
「……佳乃、ここは犯罪集団じゃないぞ。」
「なー、真田。」
真田は無言で腕を組み、目を閉じた。
「市民を巻き込まなければ、反対はしない。」
灯が手を挙げた。
「はい!はい!私、潜入してきます!」
その声に、場が静まり返る。
透也と真田が佳乃を見つめた。
「……佳乃一択だな。」
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◆ 【佳乃の準備】
佳乃は肩をすくめると、軽い口調で言った。
「新しいPC、1台欲しい。」
「あー。」
透也が、返事をする。
佳乃は既に端末を接続しながら笑った。
「うん、だからこれは今日でバイバイ。早い方がいいでしょ!」
「えっ!?新しいPCは?」
灯が聞く。
「うん、それはこれの変わりに!」
「必ず辿られるからね。」
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◆ 【侵入開始】
薄暗いモニターに、無数のコードが流れ始める。
佳乃の指先が軽やかに動き、端末に接続された解析プログラムが甲斐の端末を侵食していく。
「……セキュリティ甘すぎ。元医療班って、こんなレベル?」
舌打ち混じりに呟きながら、数分後。
「……っ……」
佳乃が声を詰まらせた。
「何だ?」
透也が身を乗り出す。
佳乃はゆっくりと甲斐に顔を向け、銀髪をかき上げた。
「おっさん……これは……?」
モニターには、膨大な暗号化データと、
【R_KAI_MEMO.EXE】
“改訂プロトコル”と名付けられたファイル群が浮かび上がっていた。
甲斐は、わずかに震えた声で呟いた。
「……それは……俺の記憶だ。」
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◆ 【真実の扉】
沈黙が支配する会議室。
その中で、佳乃の瞳だけが静かに燃えていた。
(これが……この国の、記憶の檻……)
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第20章・完
お読みいただきありがとうございます。
佳乃の提案により、強引ながらも事態が動きました。
セキュリティの甘さに違和感を抱きつつも、彼女が見つけ出したのは『R_KAI_MEMO.EXE』。
過去編(第16章)で甲斐が命懸けで隠した「本当の記憶」が、ついにNOISEの手に渡りました。
ここから物語はどう転がっていくのか。
「佳乃が頼もしい!」「続きが気になる」と思っていただけましたら、
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