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ECHO-記憶の残響-  作者: GODS04


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第1章:残響

すべてを忘れてしまった男・黒峰新太。

目が覚めると、そこには美しい妻と、自分を慕う小さな娘がいた。

完璧な家族。幸せな光景。

けれど、胸の奥に残る「残響」が告げている。

――何かが、違う。

記憶のない男と、秘密を抱えた家族。

切なくも温かい、再生と真実の物語がここから始まります。


◆ 目覚め


天井は真っ白だった。

薬品と消毒液の混じった匂いが鼻を刺す。

視界の端で揺れる点滴のチューブ――


どこだ、ここは。

いや、それ以前に……俺は、誰だ?


胸の奥に、なにか重いものが沈んでいる。

言葉でも、名前でもない、“感情”に近い何か。

得体の知れない“何か”が、確かにそこに残っていた。


「……目覚められたのですね」


低く落ち着いた声がした。


ベッドの横には、一人の女性が立っていた。

ストレートにまとめられた黒髪と、真っ白な制服。

看護師だろうか。整った顔立ちに似合わず、その瞳は妙に深く、こちらの奥を覗くような光を宿していた。


「あなたは――黒峰くろみね 新太あらたさん。記憶を失っていますが……ご家族が、ずっとあなたを待っていました」


彼女は穏やかにそう言った。だが、どこか、表情の裏を隠しているようにも見えた。



◆ 家族の再会


病室のドアが開いた。

勢いよく、小さな女の子が飛び込んでくる。


「パパっ! ほんとに目が覚めたんだねっ!」


彼女は6歳くらいだろうか。

笑顔で頬を紅潮させ、まっすぐに新太の胸に飛びついてきた。


「私はね、パパの言うこと、なんでも聞くね!」


その目に揺るぎはなかった。

まるで、本当に“父親”であることを疑っていない。

新太の胸の奥に、かすかなざわめきが生まれる。


――この子は、本当に俺の娘なのか?


だが、不思議と拒絶する気持ちはなかった。

温もりが、心に静かに染みこんでいく。


「……月陽つきひ。あなたの娘さんです」


さきほどの看護師が告げる。

月陽――月のように澄んだ瞳。どこか、見覚えのある感情が胸を打った。



◆ “妻”の登場


「失礼します」


次に入ってきたのは、穏やかな雰囲気の女性。

茶色がかったセミロングの髪、薄く笑みをたたえた柔らかな表情。

目元にわずかな疲れをにじませながらも、どこか優しさをまとっていた。


「……あなたの奥様、沙耶さやさんです」


新太はゆっくり彼女を見つめる。

“妻”だという沙耶は、ごく自然にベッドのそばに座り、新太の手をそっと握った。


――違和感は、ない。

けれど、何かが決定的に欠けている気がした。


彼女の手の温もりも、瞳の奥の優しさも嘘ではない。

だが、そこに“自分の記憶”が寄り添っていない。まるで、他人のアルバムを眺めているような感覚。


それでも、彼女は微笑んで言った。


「……あなたに、もう一度会えて本当に良かった」



◆ 絵の中の記憶


その夜。

新太のベッドのそばに、1枚の絵が置かれていた。

月陽が描いた“家族”の絵。


そこには、新太、月陽、そして――長い髪の女性が描かれていた。


「この人? 夢で見たの。ママじゃないけど、たぶん……ママだった人」


月陽が無邪気に言ったとき、沙耶の表情が一瞬だけ強張った。

手元を見つめ、何かを確認するように目を伏せる。


後ろに控えていた看護師――白石しらいし ともりもまた、無言のまま微笑を保ちつつ、その言葉に確かに反応していた。


月陽の“夢”が、どこまで過去の真実に触れているのか。

今はまだ誰にも分からない。けれど、記憶ではなく、感情だけが知っていることがある――



◆ 灯の独白


――人は、記憶を失っても、

感情の奥に“残響エコー”のようなものを残している。


名前も過去も消え去っても、

愛した誰かのぬくもりだけは、決して消しきれない。


その残響が、新太の中で、ゆっくりと目覚めようとしていた。

そしてそれは、娘・月陽の中にも――確かに生きていた。



第1章・完


第1章をお読みいただき、ありがとうございます!

いかがでしたでしょうか。

無事に目覚めた主人公・新太ですが、感動の再会の中に、いくつかの「棘」が隠されています。

• 月陽が描いた「ママだった人」とは誰なのか?

• 妻・沙耶が見せた一瞬の強張り。

• すべてを見透かすような看護師・灯の意味深な言葉。

「記憶」は嘘をつくかもしれませんが、「感情」は嘘をつかないのかもしれません。

新太が感じる違和感の正体は、果たして何なのか。

少しでも「続きが気になる!」「雰囲気が好き」と思っていただけたら、

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どうぞ、新太たちの旅路を見守ってください。

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