第22話 “帝国皇帝、直接介入”
空気が震え、世界が重くなる。
黒い炎に包まれた皇帝直轄部隊の三本槍が、再びアレンを狙う。
副官
「全軍注意――皇帝陛下直轄の魔力圧――!」
将軍は剣を握りしめるも、表情は青ざめていた。
五万の兵士たちも、その圧力に耐えきれず膝を折る者が増えていく。
アレン
(……やっぱり、これは普通に戦ったら危ない……)
黒核
――“諦めるな。お前は“管理者候補”。
干渉式は極限まで最適化されている。”――
アレン
「よし……じゃあ、行くか」
彼の胸の封印紋が再び光を帯びる。
青白く、そして白く――根源接続時にだけ現れる色に変化した。
アレン
「《世界式・分散干渉拡張》!」
世界の魔力網が、アレンを中心に波紋のように広がる。
空を裂く三本槍の攻撃が、一瞬にして“干渉”される。
黒槍隊長
「――ッ!? 攻撃が……止まる……!?」
アレン
「止めるだけじゃつまらないから、少し調整ね」
彼が指をひねると、空中で槍が互いに干渉し、軌道が逆に交差する。
突進するはずの槍同士がぶつかり合い、黒い閃光を散らす。
副官
「な……なんだ、この干渉……!?
防御式ではなく、“世界そのもの”が書き換わっている……!」
将軍
「見ろ……奴はただの少年ではない……!」
空から落ちる黒い影――皇帝の魔力が形を得た“切り札”――が、
地上の魔力網を押し広げながらアレンを包み込もうとする。
アレン
(……この範囲式……攻撃判定、広すぎる……)
黒核
――“根源接続式を使え。全力干渉――《オリジンリライト》。”――
アレンは一呼吸置き、手を差し伸べる。
アレン
「《世界式・根源干渉》!」
白光が放たれ、影が触れた瞬間、時間と空間が震える。
黒槍隊長たちの動きは止まり、皇帝の影もその場に凝固した。
黒槍隊長
「……ッ!? 干渉式が……“概念レベル”まで影響……!」
副官
「空間……いや、世界そのもの……!?」
将軍
「何者だ……奴は……!」
アレン
「僕は、ただの魔術オタクだって言ってるでしょ」
白光が収まると、影は跡形もなく消え去り、
三本槍は跪き、皇帝直轄部隊も無言で降伏した。
副官
「ま……まさか……一撃で……!?」
将軍
「……まさしく帝国の恐怖……“少年”の力……!」
アレンはため息をつき、肩を落とす。
アレン
(……やれやれ……誰も死ななくてよかった……)
だが、遠く帝都の空が再び黒く揺れた。
新たな魔力柱が立ち上がる。
副官
「な……また……!?
皇帝陛下、さらに奥の手を……!」
アレン
「……え、まだ来るの?」
黒核
――“油断するな。これは“第二波”。
帝国皇帝が直接介入する、最終決戦の序章だ。”――
アレン
(……やっぱり、僕一人じゃ……でも……やらなきゃ……)
胸の封印紋が、再び根源の光を帯びる。
空気が変わる。
世界が、アレンを中心に反応する。
アレン
「……来い、皇帝。
僕が、“誰のものでもない”こと、教えてあげる!」
空気が裂け、帝都の大地が震える――
アレン vs 皇帝本隊、戦いの幕が完全に開かれた。




