表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天災扱いの天才、封印される  作者: モッサン
ロスアの影

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/24

第20話:アレン vs 帝国 ― 天を裂く蒼光

アレンが魔力炉から地上へ戻った瞬間――

黒核から、こんな“追加情報”が与えられていた。


黒核

――“地上に異変だ。

 帝都では、魔力炉暴走の影響で“魔力流が乱れ”、

 街全体が混乱している。”――


アレン

「帝都の魔術網が……ズレてる?」


黒核

――“ああ。

 このままでは日常生活の魔術が誤作動し、

 市街地で二次災害が発生する。”――


アレン

(魔術式の誤作動って……普通に危ない)


黒核

――“そこで──

 “帝都郊外の魔脈交差点”へ行け。”――


アレン

「郊外……?」


黒核

――“帝都の魔力は、周辺の“魔脈中継点”から供給される。

 その1つが、魔力炉暴走の影響で大きく歪んでいる。”――


――“そこに行けば、

 帝都の魔力乱流を最も効率よく“修正”できる。”――


アレン

「……なるほど。

 つまり、地上で最初に“やるべき仕事”ってことね」


黒核

――“管理者候補としての、最初の任務だ。”――


アレン

「了解。行ってくる」


光に包まれた直後、アレンは

帝都の乱れた魔力を正常に戻すため、

最適地点=帝都郊外の魔脈交差点へと転移した。


そして――


そこに、

“アレン拘束のために集まった帝国討伐部隊”が集結していた。


アレン

(……なるほど……こういう事ね)


こうして、

アレンは 帝都郊外へ降り立ったのである。


帝都郊外。

平原を埋め尽くすように、帝国討伐部隊・五万が進軍していた。


魔導砲の砲列。

魔鋼騎兵の影。

空には竜騎士の編隊が旋回する。


将軍

「目標はただひとつ――“アレンの拘束”。

 抵抗するなら容赦は不要だ」


副官

「殲滅ではなく、拘束……皇帝は相当焦っておられるようですね」


将軍

「当然だ。

 あのガキは、帝都を一瞬でブラックアウトさせた。

 我々軍事大国ロスアの“根幹”を、だ」


副官

「しかし……本当に、我らで対処できるのでしょうか?」


将軍は剣を地に突き立てる。


「軍人が“敵を恐れた時点で負け”だ。

 アレンがどれほどの怪物でも、国家の総力に敵う道理はない」


――――その瞬間。


空が、青白く裂けた。


副官

「な、なんだ……!? 雷か……いや、違う!」


軍勢全体が動揺する。


裂け目は静かに広がり――

そこから、ひとりの少年が降りてくる。


青白い封印紋を胸に宿す少年。


アレン。


ふわりと地面へ降りた瞬間、

大軍の中心に“静寂”が訪れた。


兵士

「……あれが……アレン……?」


将軍

「全軍、構え――!」


アレン

「……来すぎでしょ。

 討伐部隊ってレベルじゃないじゃん……」


淡々とした声。

しかし、その声は五万人全員に届いた。


アレン

「一応言っとくけど、僕は帝国を壊す気はないよ。

 ただ……“利用される”のは困るだけ」


将軍

「黙れ!!」


将軍が叫び、手を振り下ろす。


「――全軍、攻撃開始!!」


空から竜騎士の雷槍が降り注ぎ、

地上から魔導砲の光線が走り、

魔鋼騎兵が三方から突撃する。


平原が戦争の光で染まり――


しかし。


すべての攻撃が、アレンの“数歩手前”で止まった。


雷槍は空中で霧散し、

魔導砲は光の粒に変わり、

騎兵の突撃は地面が“滑らかに変形”して失速する。


「な……何が起きて……!?」


アレン

「あぁ、魔力の流れがぐちゃぐちゃだったから、

 ちょっと“配線”いじっただけだよ」


将軍

「貴様ァ!!」


アレンは歩く。


一歩。


さらに一歩。


そのたびに、世界の魔力式が“最適化”され、

帝国軍の武器が次々と沈黙していく。


竜騎士

「翼が……動かねぇ!!?」


騎兵

「魔鋼鎧が……重ッ……!? なんで……!」


魔導砲兵

「砲が冷却しねえ!? 逆に冷えすぎだろ!!?」


アレン

「だってさ……

 君たちの魔導技術、たしかにすごいけど――

 改善点、多すぎるよ」


将軍

「戯言を……!」


将軍が突進。

魔鋼剣に帝国最高魔術《破城のバスターフォーミュラ》が宿る。


空気すら焦げる斬撃がアレンへ――


アレン

「それ、式が一つズレてるよ」


ぱちん、と指を鳴らす。


次の瞬間、破城の式が“逆流”し、

将軍の剣が自壊した。


将軍

「ば、バカな……私の奥義が……!」


アレン

「違うよ。

 “君の奥義を、僕が理解しすぎてただけ”」


青い封印紋が輝き、

アレンの周囲に幾何学模様の魔力陣が浮かぶ。


アレン

「ここで全部壊すつもりはない。

 でも……一回、止まってもらうね」


掌を前に出す。


「――《世界式・限定干渉リミテッド・リライト》」


世界の魔力が逆巻き、

風が唸り、

地形すら歪み――


次の瞬間。


帝国軍全員の“魔道具”“武装”“魔力補助”が

一斉に“停止”した。


竜騎士

「竜が……魔力を失った……落ちるッ!!」


アレンが手を軽く振る。


「危ないから、落ちないように“固定”しておいたよ」


空中の竜たちが、まるで空に張り付いたように停止。


「ば、化け物だ……!」


アレン

「僕は、化け物じゃない。

 ただの“魔術好き”だよ」


将軍

「……何者だ……貴様は……」


アレン

「僕は――」


風が吹く。


青い封印紋が、

まるで“世界の基柱”のように輝く。


アレン

「“世界魔力の鍵を持った、ただの魔導師だよ」


将軍

「鍵……だと……?」


アレン

「もう戦えないように武装を止めただけ。

 命を奪うつもりはない」


そして、

世界の根源で聞いた言葉がよぎる。


――“世界は、お前の思考に合わせて変わる”――


アレン

(やめてくれよ……そんなの……)


アレン

「――だから、お願い」


彼の声は軍勢全てに届く。


「僕を“敵”にしないで。

 僕は戦いたくないんだ」


沈黙。


やがて――

最初に膝をついたのは、将軍自身だった。


将軍

「……敵うはずがない……

 これが……帝国が恐れた“少年”……」


副官

「……どうするのですか、将軍……」


ゼルファス

「降伏だ。

 これでは戦にならぬ」


五万の軍勢が、

静かに剣を地へ落とした。


アレンは小さく息を吐いた。


(……よかった。誰も死なずに済んだ……)


だが――

そのとき。


遠く帝都から、禍々しい黒の魔力柱が上がった。


アレン

「……え?」


将軍の顔が青ざめる。


将軍

「ま……まさか……

 “皇帝直轄部隊”……!」


アレン

「皇帝……!」


次の戦いが迫る。


アレン vs 帝国 “本隊”

世界を揺るがす衝突が、ついに幕を開けようとしていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ