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三題噺もどき3

朝―冷

作者: 狐彪

三題噺もどき―ごひゃくごじゅう。

 


 ポットに水を入れ、お湯を沸かす。


 外は曇り空。どこまでも重苦しい雲が広がっている。

 今日は昼以降、雨の予報が出ていたはずだ。おかげで起きがけから頭が痛い。

 昨日から月のモノまで始まって、体調も気力も不調の一途をたどりつつある。

 気分が落ちておちて堕ちる一方である。それでもまぁ、動けるからまだましか。

「……」

 朝はあまりの寒さに目が覚めて、体のだるさに耐えながらリビングに降りてきた。

 とりあえず体温を上げてみようと、お湯を沸かしてみた次第だ。白湯でも飲もう。

「……」

 先週あたりまではまだ、ここまで寒くはなかったのに一気に冷え込まれると途端に困る。暑いのは、それはそれで嫌だが、寒いほうが私は耐えられない。どれだけ着込んでも冷えるの意味わからない。私が悪いのか?……私が悪いのか。

「……」

 半袖を着て寝ていたので、むき出しの腕が冷えまくっている。とりあえず、リビングに置きっぱなしにしていたカーディガンを手に取る。数か月前までしていた仕事用に使っていた上着だが、辞めてからずっとここに置きっぱなしである。一度洗濯はしてあるけど、置きっぱなしにしていたから家の臭いが染みついている。

「……」

 袖は通さずに肩に羽織るだけにしておく。大き目のサイズを買ったので来てしまうとだぼだぼになって少々動きづらさがある。朝からそんな微妙な煩わしさに悩まされたくない。自業自得ではあるけど。まぁ、羽織るだけでもだいぶ変わったのでいいだろう。

 しかし、白湯でも飲もうとは言ったが、私は猫舌なのですぐには飲めない。けれど今ものすごく喉が渇いているのでとりあえず何かを飲みたいのだけど……。

「……」

 冷蔵庫を開けると、必要最低限のモノしか入っていないガランとした中に、ゼリーが入っていた。季節外れもいいところの「天の川ゼリー」と書いてある。どこからこんなもの買って来たのか入手してきたのか。もう十月ですが……?

「……」

 なんか、不思議なのだが我が家の人間、割と外面はいいので他人に好かれてこういう餌付けみたいな形でお菓子とか食べ物をこうしてもらってくることが多々ある。定期的に周囲の人間から何かをもらってくる。本人たちは食べなかったりするけど。外面がよすぎるのも考えものである。

「……」

「天の川ゼリー」かぁ……これを見ると学校給食を思いだす。

 たまに出るこういうゼリーとかムースとか結構好きだった。あとフルーツポンチ。個人的には「かぼちゃムース」が一番好きだった。あれ外で見ることないんだが、市販に売っていたりしないんだろうか。時期になればコンビニとかにかぼちゃプリンは見るけれど、ムースってないような気がする。ちなみにこの間かぼちゃプリンは食べた。美味しかった。

「……」

 しかし今は食べ物ではなくて飲み物が欲しいのだ。

 お湯が沸くまでもう少しあるし、いい感じに冷めるまで待たないといけない。

 その間に適当に飲めるもの……いつもなら麦茶が作り置きしてあるのだけど入っていない。あとで作っておかなくては、どうせ今日一日家にいるのだから喉が渇くときはある。そうでなくても夜に飲むから作っておかなくてはいけない。

「……」

 これしかないのか……そう思って手に取ったのは黒い液体の入ったボトルである。

 母が作り置きしているコーヒーだ。夏場に飲むように、水出しコーヒーみたいなものを買っていたはずだ。それを夏のうちに消化しきれずに、まだ余っている奴を未だに飲んでいるのだろう。あの人朝はホットコーヒー飲むはずだから、休みの日とかに飲んでるのかな。

「……」

 むぅ……コーヒーは嫌いではないが、苦いものがだめなのでブラックは飲めない。が、母はブラックじゃないとダメな人なので、これは多分ブラックコーヒーなのだ。砂糖でも入れればいいんだろうけど、それはそれで甘くなりすぎそうで……牛乳があるにはあるが……これを入れるだけで変わるんだろうか。あまり飲むことがないから分からない。いつもはスティックのカフェラテを飲んでいるから……。

「……」

 どうしたものかとうなっていると、お湯が沸いた音がした。

 とりあえず、マグカップにお湯を注ぎ置いておくことにしよう。

 冷めるまでに麦茶でも作って、適当に時間をつぶしておけばいいか。











 お題:天の川・コーヒー・堕ちる

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