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1:00 A.M.

 僕はさっきから気になっていたことを狐酔酒に言った。


「体、冷えてない?」

狐酔酒は僕と遭遇する前、ランニングしていた。

多分汗もかいていたはず。


そんな状態でこんな寒い夜道をのんびり歩いていたら体が冷え切ってしまうのではないかと心配になったのだ。


「んー。地味に寒くなってきたかもなぁ。ちょうどそこに公園あるし、ちょっと小便行ってくるわ」

「わかった」

狐酔酒は小走りに公園のトイレに向かった。


この公園は知っている。

僕が桜と出会うことになった場所だ。


狐酔酒を待つ間、僕たち3人はなんとなくブランコに乗った。

マフラーは栗原が妖風だけに巻き直した。


プラプラと体を揺らしながら、僕は滑り台の方に目をやった。


「この公園、ちょっと思い出がある場所なんだ」


僕がそう言うと、栗原が食いついた。

「へぇ~。佐々木君って今月引っ越してきたばっかりだよね? 越してくる前にもここに来たことがあるってこと?」


「うん。家族旅行みたいな感じで来た。その時はさっき言った旅館に泊まったんだ」


「お父さんの知り合いがやってるっていうやつ?」

妖風がブランコの勢いをつけながら訊いてきた。


「そうそう。そんで、その知り合いの娘さんと初遭遇したのがこの公園。だからちょっと思い入れがあるんだ」


「遭遇って……。その子が今の彼女です、みたいな話?」


妖風の邪推を僕は笑った。

「違うよ。中学生に手を出したりしない。ロリコンじゃあるまいし」

「いくつ離れてんの?」

「1個下」

「それは別にロリコンとは言わないのでは?」

栗原が真顔で指摘してきた。


僕はスルーして続けた。

「その子、桜っていうんだけど、来年新入生として僕たちの学校に来る予定なんだ。っていうか桜が一緒にラッコーに行かないかって誘ってきたから僕たちはこの学校に入ったんだけど」


ラッコーというのは、うちの学校の愛称だ。

豪落(ごうらく)高校だからラッコー。


「さっきはなんとなく転校したとか言ってたじゃん」

妖風が冷静にツッコんできた。


「そうだっけ?」

僕はすっとぼけた。

2人が訝しむように見てくる。


ちょうどその時

「おまた~」

と言いながら狐酔酒が帰ってきた。

ナイスタイミングだ。


「3人ともなに仲良さげにブランコなんか乗ってんだよ~。オレも乗ろーっと」

狐酔酒は僕の隣に座って体を前後に揺らし始めた。

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