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12:50 A.M.

 狐酔酒が僕に訊いてきた。

「そういや、佐々木はどっかゴールを決めて歩いてんのか?」


「適当に歩いてるだけで目的地は別にないよ。あ、でも散歩が終わったら旅館に行く」

「旅館? なんで? 泊まるのか?」


「いや、朝まで歩くつもりだし泊まりに行くわけじゃないよ。温泉に入ろうと思って」


「へぇー。朝風呂か。いいわね」

妖風が相槌を打ってから訊いてきた。

「どこの旅館?」


「えーっと。名前は忘れたんだけど、保護者の知り合いがやってるとこ」


「保護者?」

妖風は首を傾げた。


僕は訂正した。

「間違えた。父親のことだよ」

もっというと、僕たちのことを誘拐した人のことだけど。


「ふーん。ってか佐々木って何人家族なの?」

妖風は更に質問してきた。


「7人家族」

「多いわね。えーっと、じゃあ兄弟は5人いるってこと?」


「いや、4人兄弟だよ。それに両親を加えて6人でしょ。あとはじいちゃんと一緒に暮らしてて、ばあちゃんはいないから7人家族」


「なるほどね。あ、そういえば小野寺も4人兄弟って言ってなかったっけ? ……小野寺?」

妖風の呼びかけにけいは答えなかった。


不思議に思ってスマホを耳に近づけてみると、小さく寝息が聞こえてきた。


どうやらけいはいつの間にか寝落ちしていたようだ。

僕は通話を切った。


「寝ちゃったみたい」

「もうかなり遅い時間だしねぇ。あれ、ってか今何時?」

栗原が訊いてきた。


「そろそろ1時になるね」

僕はスマホの画面を見て答えた。


「え、嘘」

妖風が驚いた様子で僕のスマホを覗き込んできた。


「うわ、マジじゃん。ちょっとお喋りに夢中になりすぎたかも」


「んー。でもさぁ、せっかくだしもうちょっとみんなで歩かない?」

栗原がそう言って、狐酔酒が賛同した。


「普段こんなメンツで集まることないしな」

「ねぇ緋彗。ちょっと遠回りして帰ろうよ」

栗原の提案に、妖風は少し考えた後

「そうしよっか」

と同意した。


ということで、もうしばらくの間4人で散歩することになった。

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