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なろうラジオ大賞5

山に雪 ♨温泉卵をつまんで♨

作者: 香居


「ゆ〜きやこんこ♪ あ〜られやこんこ♪」

「ふってはふっては♪ ずんずん積も……って、大晦日とはいえ、ほんまによぉ降るなぁ」


 このまま降り続けば、元日には神秘的な雪山になれそうだ。

 

「いや、ほんまになぁ」


 西山は、うんうんと頷いた。


「いややわ、にっしー。そこはアンタ、『ウチに続いたんやったら、なんで最後まで歌わへんのよ』ってツッコまなアカンとこやろ」


 東山は、西山の六合目あたりに軽くふれた。少し揺れたことに、目を見開く。


「えっ。ちょっとアンタ、ふにゃふにゃやないの。いつにも増して、温泉つかり過ぎとちゃう?」

「え、そぉお? 気持ちえぇねんけどねぇ」


 西山は、頬を紅くしてニコニコしている。


「アンタ、なんでそんな顔紅ぉして──」


 ちょっと心配そうな東山の鼻に、麓の温泉街から酒まんじゅうの香りが届いた。


「あっ! アンタ、また匂いで酔ってるんやろ!」

「え〜?」

「『え〜?』やないわ。でき上がってしもうとるやないの。せやからアンタ、麓の人らから『紅葉の時期関係なく、なんや西山はいつも紅いなぁ』とか言われんねんで」

「うふふふ〜。自前の頬紅ですわぁ」

「誰が上手いこと言えいうたん。……ほんまにアンタ、酒に弱いなぁ」

「えぇ匂いよねぇ」

「匂いだけで、そこまでご機嫌になれるんなら幸せやわ」

「そ〜ぉ。幸せは、えぇことやでぇ」


 西山は、うふふ、うふふと左右に揺れる。


「あんまり激しく揺れたらアカンで。麓の人らが、噴火かと思うてびっくりしてしまうでなぁ」

「わ〜かっとるわよぉ」


 東山のたしなめは、あまり効果はなさそうだった。


「……しゃあない子ぉやねぇ」


 苦笑した東山は少しだけ西山に寄りそい、傍に置いておいた温泉卵をひと口。


「ん〜。体に良さそうな味やわ」


 東山は降る雪を眺めながら、どこか満足げに笑った。



使用キーワード『雪山』『温泉』『たまご』

このお話にて、キーワードをすべて使いきりました✨


   ──────────


早速お読みいただき、ありがとうございます。


今年も一年、おつかれさまでございました。どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。

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