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子猫の3兄妹

子猫の3兄妹 出会い

作者: 所ゆたか

とら:

 暖かい太陽の光を受けて、僕たちが、毛づくろいをしていたとき、男がやってきた。僕たちを、じっと見つめる男。僕は、可愛い妹達を隠すように前足を一歩だけ踏み出した。

 激しい、にらみ合い。全身の毛づくろいを終えるほどの時間が経ったとき、男は視線を外した。僕は勝利を確信した。妹達に、勝利と安心を伝えるために目をそらした、その時、男は、突然、草むらから何かを取り出し、目の前に突きつけてきた。

 妹達を守らなければ。僕は、呆然として動けないでいる妹達に体当たりをして、正気に戻らせた。逃げ道はどこ。あった。少し前まで、水が流れていたコンクリートの獣道を先頭を切って走った。丸いトンネルの中で、遅れてきたミケの姿を見たとき、僕たちは危険が去ったことを実感した。



しろ:

 今日は、なんて、いい天気。わたしの自慢の白い毛が輝いている。誰かに見てもらいたいな。あっ、誰かがやってくる。わたしに気づいたみたい。兄さん、どうして、わたしを隠そうとするの。きっと、わたしを見に来てくれたのに。

 見つめられると、ちょっと、恥ずかしい。でも、うれしい。彼は、草むらに手を突っ込んでいる。何をしているの。わっ、ねこじゃらしだ。プレゼントしてくれるのかな。やっぱり、そうだ。

 兄さん、何を慌てているの。ぶつかってきたら、痛いじゃない。逃げるの? どうして? わけがわからないまま、兄さんの後を追う。トンネル、嫌だなぁ。毛が汚れるじゃない。



ミケ:

 本日は晴天なり。雲ひとつなく、青空が広がっています。向こうから、男性がやってきました。なかなか良い男です。じっと、こちらを見ています。これはチャンスです。

「ねぇねぇ、そこのお兄さん。ミケを飼ってくれませんか。買うじゃなくて飼うですよ。ミケは、まだ生まれて2ヶ月の未成年だから買ったら捕まってしまいます。でも、飼うならOK」

せっかく、アピールしているのに、とらちゃんが前をさえぎります。

 とらちゃんも、アピールしたいみたい。じっと、男性を見つめて、魅了の魔法を掛けているみたいです。男性が視線を外しました。とらちゃんの魔法は効かなかったみたいです。とらちゃんは、敗北感に打ちひしがれた目をこちらに向けています。今度は、ミケの出番です。

「三毛猫のオスは、幸運を招くと言われているのを知っていますか? メスだって、空から、またたびが降ってくるくらいの幸運は招いてみせますよ」

どうやら、ミケのアピールが効いたみたいです。男性は、草むらから、ねこじゃらしを取って、こちらに持ってきました。それは、きっと、OKのサインですよね。

 わくわくしていると、とらちゃんが、ぶつかってきました。どうやら、嫉妬しているみたいです。目に涙を浮かべて、一目散に走り去っていきます。ちょっと、可哀想かも。

「ごめんなさい。やっぱり、まだ、とらちゃん達と一緒にいたいです。とらちゃん達が行ってしまったので、ミケも行きます」

暗いトンネルの奥で4つの光る目が、迎えてくれています。



風が草むらを揺らす中に、3匹の子猫たちの寝姿があった。

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