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サンプルシナリオ

GM:さて、そろそろ物語を始めるぞ。

 つっても、GMからして初心者。何をどうしていいか分からんからルールブックに載ってたサンプルシナリオ使う。

 舞台はルキスラ帝国、政策として冒険者を支援していると言う、これから冒険者に成ろうって人には有り難い国だ。

 その首都にある冒険者の店〈蒼き雷の剣亭〉を君達は訪れた。


フィオ:この宿と店主さん、あちこちの世界線に顔出してるんだろうな。


GM:そんで君達の設定はこうだ。

 問題児三人衆。


「「「は?」」」


GM:いやキャラ設定聞いてた時から思ってたんだ。

 問題児ばっかじゃねぇか、と。

 んじゃシナリオに組み込むかってなるだろ?


エイル:いや、だろ? とか言われても。


GM:連携がダメダメなのが目に見えてるフィオ、いざとなったら不安なルース、人に尽くし過ぎなエイル。

 普通にパーティー組んで上手く行く訳がない。


エイル:あのぅ、僕のはそんな問題って程ではないんじゃ。


GM:甘い。やってやり過ぎは人間関係崩壊の素だぞ。

 何割かの追放モノやざまぁモノでも、主人公の甘やかし若しくは己の働きの正しい対価を把握してなかった事が原因だったりしてる。

 自分が頑張れば、自分が我慢すればなんてのは誰の為にもならないんだよ。


エイル:……。


GM:そんな面倒臭そうなのが一度にやって来て店主ルーサーさんは頭を抱えました。

 が、同時に閃きます。

「そうだ、こいつらを一ヵ所に纏めてしまえ」


フィオ:ちょっと!?


ルース:ええ!??


エイル:(無言で頭を抱える)


GM:前衛、魔法使い、回復とバランスも良い。適当な依頼をやらせて様子を見よう。


フィオ:んー、微妙だけど、俺的には誰と組んでも大差ないし、まぁいっか。


エイル:フィオ!? 流されないで!?


フィオ:いや真面目な話、俺等今が初対面なんでしょ?

 一応ベテランの見立てだし、拒否するほど相手の事知る訳じゃないし。とりあえず組んでみるでいいじゃん。


ルース:いやパーティー組む事には異論はないよ。

 そうじゃなくてさぁ……。


エイル:初対面で問題児認定されるっておかしくない?


フィオ:(胸を張って)俺、実際問題児だし。


ルース:うわぁ……。


エイル:胸を張る事じゃないよ……。


GM:もう完全にキャラ立ってるなこいつ。

 ルーサーさんは冒険者育成のプロなので、顔を合わせて言葉を交わせば大体の事は把握してしまうのですよ。「あ、こいつら一筋縄じゃいかないな」と。


フィオ:既に数十万の冒険者を見送って来ただろうからね。


ルース:日本のTRPGプレイヤーってそんなに居る?


エイル:仮にそのくらい居たとしても全員がルーサーさんのお世話になるわけじゃないと思う。


GM:まあいいじゃん。そんな訳で、ちょうどほどほどの難易度の場所に遺跡を見つけ、探索者募集中のマイエルさんを呼びました。


フィオ:導入違う。


GM:これくらいのアレンジはいいだろ?

 マイエルさんは遺跡発見は好きだけど見つけるだけで探索は冒険者に丸投げしてくれるご都合キャラです。


ルース:言い方。


マイエル「やぁ! 新人かい? ちょうどそんなに危険は無さそうな遺跡を見つけたんだ。チャレンジしてみない?」


フィオ:そう思うなら自分で調べるモノじゃあ……。


エイル:しぃっ!


GM:マイエルさんはスカウトで逃げ隠れは出来るが戦闘はさっぱりなんだ。


マイエル「と言っても流石にタダじゃないよ? 100ガメルで遺跡まで案内しよう」


ルース:それくらいなら問題ないよ


フィオ:三人だと割り切れないな。30、30、40でどう?


GM:(受けない選択肢は無いのか……まぁ断ろうとしても受けさせるけど)


エイル:う、ギリギリ……。


フィオ:え?


ルース:手持ち無いの?


※因みに三人は公式設定に則り支度金は1200G。その範囲内で装備とアイテムを揃えてます。


エイル:うん…僕は金属鎧と盾を揃えたから……。


フィオ:あー、金属鎧高いもんね。えーと、一番安いスプリントアーマーで520、そんで盾100と武器340と聖印100と冒険者セット100……うん、安いので揃えてもギリだ。


エイル:だから回復アイテムは一切持って無いんだ。悪いけど当てにしていい?


ルース:大丈夫! 救命草、ヒーリングポーション、アウェイクポーションも買ってあるよ!


フィオ:一通り揃えたんだな。こっちも一つだけだが魔香草(MP回復)買ってある。使う時は頼む。


※回復アイテムはレンジャー技能がないと効果が薄い。魔香草にいたってはそのままだと回復量0とか有り得る。


ルース:頼まれました! (*`・ω・)ゞ


GM:話を戻すぞ。情報買うでいいのね?


フィオ:ん。じゃ、俺が40出すわ。


ルース:はい。 つ30G


エイル:どうぞ。――はぁ、残り10ガメル……。


ルーサー「そう肩を落とすなって。大丈夫、こいつの見つけて来る遺跡は何かしら残ってんだ、今までもそれで儲けた奴は少なくない。探索頑張れや」


エイル:はい……。


マイエル「まいど~。それで遺跡だけど、割りと街の近くにあるんだ、歩いて半日くらいだよ」


フィオ:なんでその近距離で今まで見つからなかったんだ?


ルース&エイル:フィオ……。


ルーサー「ああ、お前は若いもんなぁ。あのな、今でこそ俺等は安定して暮らせているが、大破局での混乱、帝位争いによる内乱と荒れた時代が続いて、今まで建て直しに必死でこういう細かい事に割く労力が無かったんだ。それらが一段落して、色んな事に目を向ける余裕が出来たのが今なんだよ」


一同「へぇ」


マイエル「君は細かい事が気になる質なんだね。いいよいいよ、探索者向きだ。話を戻すよ。遺跡は魔動機文明時代の物だろう。エントランスだけ入ってみたけど、当時流行った様式の石像が2体置かれていた」


フィオ:公式の文ほぼそのままだな。


GM:いいから聞けや。


マイエル「玄関は最近開けられた様子は無かった。エントランスにも何の足跡も無かったから、未探索である可能性はとても高い。つまり、お宝が眠ってる可能性が高いって事だ」


ルーサー「だとよ」


GM:とエイルに向かってニヤリ。


エイル:はは……。


フィオ:なぁ、ここのくだり要る? 会話の体裁取ってるけど、中の人は一人で展開知ってるんだし、さっさと次進まない?


GM:正直ちょっと面倒くさいと思ってる。けど会話の中にいかに自然に必要な情報組み込むかの訓練にもなるから付き合ってくれ。


フィオ:そう。了解。


マイエル「建物は小さいけれど多重構造だった。凶悪な罠が仕掛けられている様子は無かったから、探索はそう難しくはないと思う。1日あれば充分探索出来るんじゃないかな。それと」


GM:と、マイエルは一枚の紙を取り出した。

 フィオはセージ取ってたよな、言語は何取得した?


フィオ:神紀文明語。その時代に興味あったから。


GM:はい、ではその紙には文字らしきモノが書かれています。


マイエル「これはさっき言った石像の足元に書かれていた文字だ」


ルーサー「"バルトゥーの屋敷"か。それならひょっとしたら『魔法生物大全』があるかも知れん。もしあったらぜひ持ち帰ってくれ、俺が買い取ろう」


エイル:知ってる人ですか?


ルーサー「俺も詳しい訳じゃないが、確か魔動機文明時代に実在した人物の筈だ。その辺は自分で調べろ」


フィオ:今のは『魔法生物大全』を持ち帰るのがクリア条件って意味だよね。で、出発前にバルトゥーについて調べて行けと。


ルース:うーん、言いたい事は分かる上に分かりやすいけど、そう纏められると無機質になるって言うかいきなり現実に引き戻されると言うか……。


エイル:あはは、そのあたりはやりながらバランス取って行こう。今聞ける情報はそれだけ?


マイエル「ああ、後は現地に案内するだけだな」


エイル:じゃあまずは下調べか。図書館でいいのかな。


フィオ:……それはいいんだけどさ、今って何時?


GM:んー、新人の顔合わせしてマイエル呼んで説明して……君らが朝一で〈蒼き雷の剣亭〉に来たとしても朝って時間帯は過ぎてるんじゃないか?


フィオ:マイエルさん、片道半日って、具体的に何時間かかりますか?


GM:(あー、そうか)


マイエル「そうだなぁ、森に入って4時間で森まではそんなに遠くないから、四時間強?」


フィオ:――そうすると、下調べしてから出発したら帰り夜中になっちゃわない?


エイル:あー、調べ物どれくらい掛かるか分からないしね。じゃあ今日はゆっくり調べて明日――あ。


フィオ:……エイル、今夜の宿泊費、無いよね?


エイル:ハッ!(゜Д゜ ||)

 ど、どうしよう、最悪門の外で野宿……?


GM:待て待て待て。テストプレイなんだからそんな厳密にやらなくていいぞ。リアリティー追求して冒険出来なくなっちゃ本末転倒だろ。

 朝のウチに諸々片付いて出発出来たとか、道中順調で想定より早く着いたとかやってもいいんだし


フィオ:そんなんでいいの?


GM:多分。リプレイ読んだ感じ、GMはそういう細かい情報も加味してプレイヤーが楽しめるシナリオ用意するのも仕事っぽい。


ルース:そっか、支度金残さず良い装備揃えるか、ほどほどにして手元に残すかで迷ったけど、その辺相談して良かったのか。


GM:うん。シナリオ作る時はその辺も考慮するよ。


フィオ:って次あるの?


GM:一応? オリジナルシナリオも作ってみたいし。

 つー訳気にせず行動してくれ。どう転がってもちゃんと街に帰れるようにするから。


エイル:GM……!!・゜・(つД`)・゜・


フィオ:んじゃ図書館行くか。




GM:ほい、図書館に移動したよ。

 さて、ここで初めての判定です。文献判定、目標値10。


※ソード・ワールドは様々な場面の成否をサイコロでに委ねます。


フィオ:セージ技能だから俺の出番。えーと、セージ技能Lv+知力ボーナス。

 俺はLv1で知力ボーナスは3だから=4。これとサイコロ2つ転がした数字が10以上だと情報ゲット、ってこと?

 能力値ボーナスってこういう場面で使うのか。


GM:この辺の仕組みは作者もいまいち把握出来て無いんで説明は後程。


フィオ:では。コロコロ。「2」「3」

 えーと……………。


GM:Lvと知力が4で出目が5だから9。

 目標値に届かず。バルトゥーの情報は得られなかった。


フィオ:orz


エイル:ええっと、やり直しは出来ないの?


GM:やり直しっつーか再挑戦になるな。もう一度サイコロ振る事は出来るが、その場合1時間掛けて調べた事になる。その場合探索時間が限られてくるな。


ルース:なるほど……。どうする?


エイル:うーん、ゲームによっちゃあ事前情報の有無が展開を左右したりするけど……(チラ)


GM:サンプルだし大した問題は無いぞ。情報が有れば多少楽になってた、ってレベルだ。(つーかヒントは既に出てるし)


エイル:うん、じゃあ気にせず行っちゃおう。ほらフィオ、いつまでも落ち込んでないで。行こ。


フィオ:くっ……Lv2にしとけば……!!


ルース:それだと戦闘で活躍出来ないんじゃ……?




GM:はい、何事もなく速やかに遺跡に着きました。

 木々が途切れ、高い崖が現れた。その自然の崖から顔を出すように人工の建物が埋もれている。

 魔動機文明時代アル・メナス様式の石造りの建物だ。

 横巾15m、高さ10m程度。2階があるようで、上の方に鎧戸の窓が二つあります。

 今は摩耗していますが、かつては美しい彫刻が施されていた跡が壁いっぱいに広がっています。

 崖に埋もれていない前面には玄関があり、黒光りする硬質な素材の大扉があります。大扉は両開きで、片方が手前に引かれて開いています。


マイエル「あれ、ちゃんと閉めて来たのに」


フィオ:ふむ。この扉は自然に開いたり閉まったりする?


ルース:いやそんな扉無いでしょ。


フィオ:甘い。古い建物だと風や建物の歪みの影響で勝手に開いたり閉まったりするぞ。


GM:ああ、確かにあるな。けど、この扉はそんな不具合は無さそうだ。建物自体確りしてて崩れる心配も閉じ込められる心配も無いぞ。


エイル:あ、そっか、古い建物のに入るなら、そういう心配もしなきゃか。

 建物が無事なのは魔法の効果とか?


GM:どうだろう? 世界観的に建材自体が特殊、とかも有りそうだな。


ルース:それはともかく、誰かが入ったかも知れないって事だよね?


フィオ:そうだね、「手前に引かれてる」だから野生動物ではない――いやドアノブ回して手前に引く扉開けちゃう猫とか実在するか。


ルース:ぷっw


エイル:ちょwww


GM:いや確かに居るけどw


ルース:じゃあそれも含めてめて足跡追跡判定しようw

スカウトorレンジャー技能だから僕の出番!!


GM:おう、じゃあ目標値は10。えーと、足跡追跡、足跡……あ。


フィオ:どした?


GM:――足跡追跡判定、スカウトorレンジャー技能Lv+()()ボーナス。


ルース:え?


フィオ:! そうだよ、足跡見るなら観察力とか足の形の知識とかだから知力だよ!! 器用でも敏捷でもないよ!!


エイル:……ルースの知力ボーナスは1。スカウトもレンジャーもLv1だから2。


GM:サイコロで8以上出さないと失敗。これは抜けてた……。


ルース:え? え? それまずいの? サイコロ次第なんじゃないの?


フィオ:まぁ、そうだな、能力の補正あっても失敗する時は失敗するもんな……(遠い目)


GM:そ、そうだな。ルース、サイコロ振ってくれ。


ルース:う、うん。コロコロ。

 「4」「2」。ありゃ。


GM:合計8で判定失敗。

 何も発見出来なかったし、痕跡が無いとも言えない。


エイル:判定って実は厳しい? 補正が5か6くらい必要なのかな?


GM:うーん、その辺を確かめる為のテストプレイだからな。ともかく進もう。

 外で調べられる事はもう無いし、中に入るよ。


フィオ:ん? マイエルさんが先に入るの?


GM:おう。マイエルさんは一度入ってるからな。ここに罠が無いのは確認済みだ。


ルース:あ、そういやエントランスには入ったんだっけ。


GM:そうそう。

 んで、中は明かりは無く埃の匂いでいっぱいだった。扉から差し込む光が落ちたシャンデリアの破片や埃に反射してきらめいている。

 入って来た扉の反対側にあたる北の壁に扉が一つあります。


フィオ:って事は玄関は南向き。一応覚えとこ。


GM:部屋の広さは9m×15m。部屋の中ほどには左右に一体ずつ石像が置かれています。二つの石像は1m四方の台座の上にあり、翼と鉤爪を持つ悪魔を模した姿をしています。

 マイエルは右側の台座を示します。


マイエル「ほらここ。文字があるだろう?」


GM:三人は読めないけど、そこに彫られた模様と店で見たものとが一致するのは分かるよ。


フィオ:バルトゥーの屋敷、ってだけだしね。


エイル:マイエルさん、他に前に来た時との違いはありますか?


マイエル「う~ん、特に変化は無いかな。ま、案内は済んだし僕は帰るよ。後は君達で頑張って。じゃあね~」


エイル:はい、マイエルさんもお気をつけて。


ルース:ありがとうございました。(ぺこり)


フィオ:俺も何か言うべき?


GM:好きにしろや。

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