コント「犬の遺言」
第2回 GETUP!GETLIVE!漫才・コント大賞 最優秀賞を受賞することができました!
ありがとうございます!
もしよろしければ他の作品もご覧ください。
飼い主:
ポチが亡くなって一週間。
賢くて可愛い最高の愛犬だったよ。
男性:
あなたがポチの飼い主さんですか?
飼い主:
ええ、そうですけど。あなたは?
男性:
私は以前ポチに頼まれて、本日遺言を持って参りました。
飼い主:
遺言ってポチの?ちょっと意味が分からないんですけど……。
男性:
実は私、犬の話す言葉が分かるのです。
飼い主:
……ちょっとあなた胡散臭いんですが。
男性:
ポチが言ってましたよ。
あなた、毎朝アイドルのポスターにキスをしていますね?
飼い主:
ちょ、なんでそれを!?そんなこと恥ずかしくて誰にも言ってないのに。
男性:
他にも自分でバレンタインチョコ買ってる事や、ベッドの下の秘密や、あとは、
飼い主:
分かったから!もうそれ以上言わないで!
恥ずかしくて死んじゃう!天国でポチと再会できちゃう!
男性:
それでは本題に戻ります。
ポチの遺言を紙に書いてまいりました。今から読み上げてもよろしいですか?
飼い主:
はい、お願いします。
ポチからの遺言。一体何が書いてあるんだろう。
男性:
それでは……
「ワン!ワワワン!ワオォオン!ワオォォォォォォオオオン!!!」
飼い主:
ちょっと待って!何で犬語なの!?
男性:
原文ママが良いかと思って。
飼い主:
こっちは分からないんですよ!日本語でお願いしますよ。
しかも遺言なのに、めっちゃ遠吠えしたな。
男性:
最後の力を振り絞ってでも伝えたかったんですよ、きっと。
それでは翻訳しますね。
飼い主:
お願いします。
男性:
「へい!ご主人!俺はポチだぜ!いええぇぇぇえええいい!!!」
飼い主:
どうしたのポチ!?そんな子だったの!?賢い犬と思ってたのに!
男性:
口調も再現していますので、この通りでしたよ。
飼い主:
しかも遠吠えのところイエーイって言ってたの!?
最後の力で伝える事じゃないでしょ!
男性:
犬の遠吠えって、大体イエーイって言ってますからね。
飼い主:
そうなんですか!?
ポチめっちゃ遠吠えする子だったよ。もうパリピじゃん。
男性:
続けますね。
「……悪いご主人!俺っちもうダメみたいだ!メンゴメンゴ!」
飼い主:
ポチの口調ダサくない!?
男性:
「そんな俺っち、どうしてもご主人に伝えたいことがあって、犬語が分かる人間にお願いしたんだぜ。こいつ大変だよな、犬アレルギーなのに」
飼い主:
あなた犬アレルギーなの!?せっかく犬語分かるのにもったいない!
男性:
「実はこの前隣の家に子犬が産まれたジャン?あれ俺っちの子供なんだよね」
飼い主:
え?お隣さんのシロちゃんに子供が産まれたって聞いてたけど、あれポチの子なの?
男性:
「マジ一目惚れしてすぐナンパしたのね?そしたら意気投合しちゃってその日のうちに子供作っちゃったのよ」
飼い主:
節操ないな!まあ犬だからこんなもんだろうけど……。
男性:
「マジうけるよね。……あ、ちょっと待って。くしゃみ出そう」
飼い主:
いや、そんなとこまで翻訳しなくていいですよ!
男性:
ぶわっくしょい!
……失礼しました。続けますね。
飼い主:
あ、今のはあなたのくしゃみ!?紛らわしいですよ!
男性:
「だから産まれた5匹のうち何匹か引き取って欲しいわけ。みんなを世話するのは大変じゃん?」
飼い主:
ああ、そういう事。確かに5匹も増えたら大変だもんね。
男性:
「マジ俺っちの分身だと思って大切にしてちょ。
あ、そろそろこの人間が真っ青になって白目剥き始めたからこの辺にしとくか」
飼い主:
あなた犬アレルギー発症してるじゃん!ポチより先に死にそうになってるよ!
男性:
「今までありがとうなご主人。お前と一緒に暮らせて幸せだったぜ」
……遺言は以上です。
飼い主:
……ポチ。ありがとうね。俺も幸せだったよ。
遺言ありがとうございました。じゃあ、さっそくお隣さんに聞いてみますね。
男性:
その件なのですが、シロの主張ですと、
飼い主:
シロちゃんの主張?お隣さんにも行ったんですか?
男性:
「は?今更父親ヅラ?ありえないんですけど」
飼い主:
それシロちゃん!?めっちゃ冷めてるんだけど。
男性:
「散々好きだなんて言っておいて、子供ができた途端全然来なくなるし」
飼い主:
何やってんだよポチ!人間ならクズだよ!
男性:
「親権は私にあるので、子供は譲りませんからね。もちろん養育費も払ってくださいよ」
飼い主:
もう人間じゃん!犬の親権とか養育費って何!?
男性:
「養育費はちゃんと5匹分ですからね?これで私勝ち組じゃん!いええぇぇぇえええいい!!!」
飼い主:
最後遠吠えしたな!
-終わり-