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おっさんの旅立ちとこの世界の旅事情

 ニイナさん達親子に別れを告げ、ニイナさんに抱きしめて貰ってから3日が経った。

 この3日、ネルさんはどことなく暗い雰囲気で、結局最後にお別れを告げる時も落ち込んでいた。


 あれ?

 少しは寂しいと思ってくれているんでしょうかね。そうなら嬉しいです。


 そして、今日がディート王国への出発の日です。


 荷物を馬車に詰め込み終えると、ギルドへと向かう。出発前の最後の処理と挨拶をするためだ。もちろんこの国で世話になった人達への挨拶はこの3日で終わらせている。


 サンドラ姉さんなんて、「もう離さないわー」って大変でしたね。


「はい。こちらが護衛依頼の札となります。ここに終わりましたら依頼者のサインを押してもらってくださいね。しばらくはあちらで活動されるんですよね。色々ご迷惑をお掛けしました。あちらでも頑張ってくださいね」


「はい。アンナさんも」


 アンナさんとへ別れを告げ、ギルドを出ると既に出発の準備は整っていた。


 御者の男性。モルさんが手綱を握っている。


 モルさんには、師匠の弟子のテイマーと説明してあり、幌の中の客車にいるリィスやペルはテイムモンスターと理解されていた。


 そして、出発する事数時間。


 痛い痛い。本当に腰もお尻も痛いです。

 この世界の馬車にはサスペンションやら、タイヤなんて物は付いていない。


 くっ……歴代の勇者も諦めましたか……。

 いや。彼らは超人的な身体能力もありましたからね。こんな庶民的な悩みに悩まされなかっただけかもしれませんね。


「マスター」


 乗り慣れない馬車に苦しんでいると、隣にいるリィスが、何かを差し出す……。

 おっ粘液をクッションにしてくれたんですね。これはいい。衝撃をクッションが全て吸収してくれるだけでなく、お尻がずれることもなく、フィットします。はぁぁ。最高ですねこの子は。


 その頭を撫でれば気持ちよさそうに擦り寄ってくる。


 師匠もルファ、御者さんもどうぞ。キュリは……。痛みは感じないんですね。でもどうぞ。


「おぉ。これは楽じゃの。リィスよ礼を言うぞ。この手の馬車は乗合の馬車よりかなりマシじゃが長時間はきついんじゃよ。」


 うんうん。師匠も喜んでくれたみたいですね。うちのリィスは最高なんです。


 あれから街を出発して、10時間くらいですか。

 車がないですからね。いくら街道を進んでいても、このスピードなら大阪から名古屋……には着いてないくらいでしょうか。

 よくわかりませんね。


 しばらくすると、すっかり日は落ち、街道沿いに石で組まれたかまどがいくつも用意された場所に辿り着いた。

 どうやらここは、野営用に作られた場所のようです。今日はここで野営ですか。


 それなら。


『融合』


 馬車の中で、キュリと融合する。その瞬間。自在に魔力を操れるような。そんな感覚になる。


 土属性魔法

『クリエーションホーム』


 本来テント程のドームを作る魔法。しかし、今の魔力量と魔力操作。そして私の想像力があればそれは正しく『クリエーションホーム』となるでしょう。


 手を地面に付くと魔力が一気に吸われ、魔力が地面に流し込まれる。

 それと同時に箱型に隆起し、土が家の形を形成し始める。


 やはり、キュリと融合した時の魔法の自由度は驚愕ですね。


 まるで、3Dプリンタのように家の基礎部分から隆起し、イメージ通りに家が作られていく。


「はい出来ました」


 立ち尽くす師匠とルファ、モルさんの横で、土を魔力で固めた家が完成した。


 平屋造りの3DKです。

 やはり土魔法はいいですね。イメージがしやすいです。


 玄関を入るとダイニングキッチンです。キッチンといっても竃と水が使えるようになってるだけですけど。

 もちろんトイレも完備です。リィスの溶解液で処理も万全です。


 それとなんと、各部屋にはお風呂が付いてます。といっても生活魔法のクリエイトウォーターでお湯を溜めて入るだけですけどね。リィスも手伝ってくれました。


 旅の疲れをしっかりとって、次の日を迎える。これは現代的な考えなのでしょうか?


 この世界の旅は、水で拭き取るくらいで済ますのが常識ですからね。服を脱ぎ湯に浸かる……。そんなリスクをわざわざ負う人はいないでしょう。


 ただ外には、交代でペル。そしてキュリが目を光らせてます。それに万が一襲われても、ちょっとやそっとじゃ壊れない硬度の建物にしましたからね。 防犯はバッチリです。


「よいか!馬車での移動でこんな……。はぁそうじゃなヌシに言っても仕方がない事じゃな。良いか普通じゃない。それだけ言っとくのじゃ。」


 そう言って、自分の為に用意された部屋へと足早に入る師匠。その後ろ姿は、言葉とは裏腹に嬉々としている。

 まぁお風呂を見た瞬間からなんですけどね。ゆっくりと浸かって貰いましょう。


 ちなみに師匠には、この周囲に警戒用の魔法も張って貰ってます。だれか悪意を持って近付けばアラームがなるでしょう。なので防犯は完璧です。


 しきりに恐縮し、遠慮して馬車に戻ろうとする御者のモルさんに、ゆっくり疲れをとってもらう為、防犯の為と半ば強引に部屋に押し込む。


 そして残った部屋は、私とルファの部屋です。


 えっ?イチャイチャ?

 流石に師匠が隣にいますからね。自重しますよ。


 しっかりブラッシングは掛けますけどね!


 次の日、ツヤッツヤのルファと上機嫌な私……。しっかり堪能させて頂きました。

 みんなも疲れは残ってないみたいですね。


 造った家は……


『解除』


 これで元の土に戻ります。手間要らずですね。まぁ残したところで、魔力が切れれば崩落してしまいますからね。勿体ないですが今のうちに元に戻しておくのがいちばんです。


 さて2日目。


 師匠によれば、ここから先は国の巡回も、冒険者による魔物の討伐もされていないエリア。


 さぁ気を引き締めていきましょうか。



アクセス有難うございます。


面白い、頑張れと思って頂けたらブックマークや評価を頂ければ嬉しいです。


それを励みにどんどん書いていきますので、引き続きよろしくお願いします。


現在高熱でダウン中…更新お待ち下さい。

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