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おっさんの墓参りとキュリの進化

 リィスがオリジナルネオスライムに魔石によって進化した事で、一つの可能性が生まれていた。


 キュリだ。

 ワイバーン戦前のキュリのステータスはLv25、そしてワイバーン戦で最も活躍したキュリのレベルは、昨日の時点でLv30となり、それ以上は上昇しない。


 つまりリィスと同じく成長限界を迎えていた。


 種族:スケルトンメイジユニーク Lv30

 名前:キュリ

 スキル

 骨結合

 夜目

 炎属性魔法

 闇魔法

 魔力増加(大)

 ★魔力回復(中)

 魔骨


 Lv30になり増えたスキルはない。しかし魔力回復が(小)から(中)になり、より長期の戦闘が出来るようになっていた。


 下水に寄りリィスとペルに謝った後、墓地へと向かう。


 明るい時間帯の墓地ですが、問題ないでしょう。


 キュリのいる墓地はその中でも街から一番離れた共同墓地と呼ばれる。そこは、戦で命を落とた身寄りの無い御遺体。所謂無縁仏が供養されていた場所。


 供養されていたというのは、ここの場所がいっぱいになり、かなり昔に共同墓地の場所は変わり、ここに来るような人はもういないからだ。


 そして、墓地の中を抜けその場所につくと廟と呼ばれる石で造られた施設の鉄格子を開け、地下へと進む。


 ここの地下の、遺跡のようになっている広いスペースに遺骨が集められているのだ。


 そして、中へはいると石で組まれた棚に多くの遺骨が横たわっており、そのうちの一体の遺骨がゆっくりと動き出し上体を起こした。


「カカッ」


 キュリだ。


「休んでたのかい。ごめんよ」


 そう言って近くにあったローブを羽織り、歩いてきたキュリの頭を撫でる。

 撫でられたその仕草はどこか照れ臭そうで、嬉しいといった感情が伝わってきた。


「キュリちゃん。見てください尻尾が3本になったんですよ!」


 互いに挨拶を交わすと、ルファが3本の尻尾をキュリに見せる。


 ホント嬉しかったみたいですね。キュリに早く見て欲しかったんでしょう。


「カカッ!」


 そして、その3本の尻尾を見たキュリが歯を鳴らし、カツカツカツと手を叩いた。


「良かったねルファ。キュリも喜んでるよ」


「はい!ご主人様!キュリちゃんもありがとう。」


 お礼を言うルファにぺこりと頭を下げると、キュリは近くにあった棚の奥からボロボロの袋を取り出した。


「これは?」


 袋を開けると大量のスケルトンの魔石……。


 あぁ骨しか結合に使わないから魔石は余るんですね。


 大量の魔石をルファと数えると、その数362個……前のリッチ討伐時の分もあるとしても、隠れながらよくこんなに……。


 そう言えばここ最近、冒険者の皆さんが墓地の依頼が少ないって、言ってましたね。


 ギルドではリッチを倒した事で魔素が減ったからと言っていましたが、私としてはニイナさん達の冒険者さん達が受けてくれていたのかと思いましたが、もしかすると……。


「カカッ」


 なるほど。

 自然発生したスケルトンをすぐに討伐してたんですね。


 キュリから伝わったのは、魔力溜まり。

 つまり魔物の発生しやすい環境と、遺体が放置されたここの環境がスケルトンを生み出しやすい状態になっている為、ここ周辺で生まれたスケルトンをすぐに討伐。吸収する事でここまでの数になったという事だった。


 そして、その魔石を一つずつ融合していく。

 100を超え、200超え、途中発生したスケルトンをルファが狐火で消滅させるのを見ながら融合を繰り返す。


 こちらの魔力が減っていくのを感じながら融合を終える度、1回ずつキュリの手に触れ、300個融合魔石が完成した時だった。


 キュリの手を触れた瞬間。リィスの時よりも強く感じるビリっした脳を刺激する感覚。


 直感


 それは確かにリィスと同じように、魔石によって進化が可能であると告げる直感だった。


 リィスは融合魔物になった100個と同数で進化が可能だった。キュリは200個でスケルトンとなった。


 そして、実際200個目で直感が来ると予想をしていたが、それは起こらなかった。


 やはりその後のリッチの骨との融合が原因でしょうか……。


 結果進化に必要な魔石は、300個。やはり普通より多いのでしょうね。


 その魔石は前と同様一回り大きくなり、リィスを透明とすれば、これは黒色の宝石……と表現すれば良いのか、揺れるような黒さが増していた。


「カカッ」


 その魔石を、吸い込まれるような真っ黒な瞳で真っ直ぐ見つめ。キュリが再び手を繋ぐ。


「進化したいんだね?」


「カカ」


 頷くキュリは既にローブを脱ぎ、綺麗に畳み融合進化の準備に備えていた。


「じゃあいくよ。ルファは目を閉じててね」


「はい!もちろんです!」


 元気に手をあげ目を塞ぐルファを確認し、いつものように唱える。


『融合』


 キュリと魔石が強烈な光で包まれ、一つに重なる。

 そしてその光が収まるとキュリ姿がはっきりとみえてきた。


「へっ?」


 そこには少し青白い肌に、青い瞳、白いロングストレートヘアの身長は低く童顔だが、スタイルの良い裸の少女……。


 レッサーリッチユニーク Lv1


 レッサーリッチのようです。


 もう一度キュリを見る……。

 その姿はスケルトンではない。スケルトンではない……


「はっはだかー⁈」


「キャーーーー!見ちゃダメです!ご主人様!」


 そして、同じくして叫び声をあげたルファの手によって、目を塞がれることとなった。



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