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閑話:おっさんの好敵手?

「聖剣スフィト!」


 城門へ登り、その手に聖剣を創造する。これにより俺の身体能力も魔力も爆発的に増加する。


 そして出現したのは光の剣。飛んでいる敵に、一直線に伸びるのその光の刃で敵を一刀両断にする。


 通常10体のワイバーンが一斉に街を襲うなんてことは今迄に記録はない。

 せいぜい数体。ハグレのワイバーンが食料を求めて人間を襲い、味を覚えたワイバーンが襲う程度だ。


 まあ俺の活躍する場が増える事に文句はないけどな。


「ワイバーンだ!ワイバーンが来たぞ!魔道士隊構え! 撃て!」


 ワイバーンが城壁の結界に触れそうになったその時、防衛部隊の隊長の掛け声と共に放たれる魔法がワイバーンに命中し爆音をあげた。


 色取り取りの魔法が放たれ、ワイバーンに命中すると、ダメージはないが明らかにワイバーンの飛行速度が落ちた。


「勇者様!」


 防衛隊の隊長の合図と同時に聖剣を構えると、天に向かって光の刃が伸びる。


「いくぞトカゲ。はっ!」


 天に伸びた光をワイバーンに向かい振り下ろすと、その刃は1体のワイバーンの翼を切り落とした。


「なるほどな。おいっ今落ちたのを下の冒険者どもに片付けさせろ。あとは俺で十分だ」


 指示を出すと、一斉にワイバーンに冒険者達が群がっていく。


 そう。そうだよ。これが正しい姿だ。勇者である俺の力をこいつらは必要としている。


「ギュゴワー!」


 1体目が落とされた事で、引き返したワイバーンが俺に向かい再度咆哮しながらその身を翻す。

 その目は怒りに竜種が怒りに満ちた時に見せる竜眼と呼ばれる瞳となっていた。


「うるさいぞトカゲ!」


 俺の邪魔をするな。


 光の刃を横へと払うと2体のワイバーンの胴が切り離される。斬っている抵抗感はない。豆腐のような柔らかい物を斬っているような感覚だ。


 ワイバーンを倒した事で、しばらくなかった高揚感が身を包む。力が溢れてくる。


 4体目


 5体目


 6体目


 その度に起こる歓声。そして再度の高揚感。やはりワイバーンは経験値が高い。迷宮の魔物以上だ。

 ずっと戦い続ける迷宮と違ってここなら全力を出せる。


 いつしか全てのワイバーンが真っ二つにされ、城門前に落とされていた。


 湧き上がる歓声。ワイバーンから街を守った俺の名を防衛に参加した全ての人間がコールした。


 それに俺は聖剣を掲げる事で応え、俺は城へと戻った。



「なんだと!」


 城に戻ると、ありえない報告を聞く。

 1体見失って取り逃がした⁈ なぜあんなでかいトカゲが急に姿を消すんだ。


 回収したワイバーンの死体は全部で9体。


 別の方角から来た1体が街へと入ったのは知っていた。てっきり誰かが足止めするものだと思ってみれば、その姿は消え、倒したと言う報告もない。てっきり逃げたとばかり思っていたが。逃げた事も確認されていない。誰もが結界を抜けてからのワイバーンの姿を見ていなかった。


「くそっ!なんでこう問題が後から出てくるんだ!」


 幸い見られてない。俺が全て討伐したと発表しよう。実際他の9匹は俺のおかげだしな。


 あんなトカゲ。地面にさえ落とせばどうって事はない。蟻のように群れる冒険者達に袋叩きにされて終わるような雑魚だ。


 それにしても

「くそっ!!」


 迷宮の討伐に少し手間取っていれば、ワイバーンが街を襲うから戻ってこいだと! なめやがって!


 団長め、まだ基礎しか教えてないから迷宮は早いだなんて抜かしやがって、あのワイバーンの群れでさえ俺一人で十分だった。せっかく奴の元から離れられたのに、また明日から訓練だ!


 それに……

 鎧を外し、袖をまくり上げると、そこにはっきりと残る手形。


「くそっ!」


 なんだんだあのおっさんは!思いっきり握りやがって!まだ腕がジンジンしやがる。それにクソ雑魚のくせに、あんな奴隷も連れやがって


「くそ! くそ! くそ! そうだ! おいっタクト。タクト マミヤの情報を集めて、居場所を探れ。」


「はーい」


 パーティの一人に命令し、タクトを探らせよう。シーフなら情報収集も得意だろう。

 こうなったのも、全ては奴が一緒に巻き込まれたからだ。


 腕の手形を見ると、余計ムカムカしてくる。


 そう言えばあの時も……


「おい爺さん!どうせ寝てるだけなら俺がタクトの訓練してやるよ。主に回避のだけどな。なぁ爺さん。」


「ん〜。うるさいのう。お前さんじゃ無理じゃよ。全く人の睡眠を邪魔しおって」


「はあぁ。誰に向かって口をきいてやがるんだ!死ねクソじじい」


 訓練場の客席で、いつもタクトにへんな踊りをさせて寝ているジジイにムカつき剣を振り下ろす。


 ビビらせてやる。

 そう思ってたんだ。


「がぁっ。ぐっうう。はな せ。こ の じ じい」


「ふん。人の睡眠を邪魔するからじゃ。」


 なんなんだこのジジイは…。手首についた手の跡がジンジンと響く。


「ちっ覚えてやがれ!」


 ムカついてタクトに、風魔法をぶっ放してやれば避けられ、ホーエンにその隙を突かれて訓練場の壁にぶっ飛ばされる羽目になったんだ。


 そうだ。全部アイツ。アイツのせいだ。


 ムカついてきた。だからアイツを見つけ、この鬱憤を晴らしてやる。もう奴隷などどうでもいい。


 女なんていくらでもいる。

 現にここには俺好みに揃えた自由にできるメイドが3人。


 だからあいつには出来ない圧倒的な力を見せつけてやる……。

お読み頂きありがとうございます。


次話はタクトに戻ります。


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