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おっさんの新たな魔法とズレズレの自己評価

「そうですね。火魔法……はダメでしょうか?」


 決して、買おうと思ったら80万トール必要だからという理由ではありませんよ。

 単純に魔法での攻撃力を上げたいんです。あと前みたいに死体が大量に残ってて問題になるのもまずいですからね。あれは本当に反省です。いつでも消化してくれるリィスが呼べるとは限りませんし。


 ただどうしても森では使いづらいデメリットはある。

 自由に使えるようになるまでは、森での使用は控える必要がありそうですね。


「ほー。火魔法ねぇ。ヌシの事だから融合用にとか言いいながら水魔法を選択すると思ったんだけどね。ヌシも男だったという事かね。いいだろう。ポーション納入の報酬じゃ。火のスキルスクロールを作ってくれてやろう」


 そう言うと持っていた白紙のスクロールを両手に掴む。

 そして師匠の両手が火を纏ったように赤く輝くと、スクロールの表面に端から燃えるように文字が浮かび上がり、中央で結合し黒い煙をあげ火が消えた。


 そしてそれをクルクルと巻き、蝋で封をする。


「これがスクロールの作成……。」


「クックック。驚いたかい。たった1つの属性を入れるのならこんなもんじゃよ。ほれ早速使ってみるかい。ヌシの魔法操作のLvなら火属性も問題ないだろうて」


 受け取ったスクロールの封を剥がす。

 そして、スキルスクロールに描かれていた魔法陣を見た瞬間。魔法陣がひかり、煙となって消えた。前と全く同じである。


「ステータスカード」


 念の為、ステータスカードを手に取り確認する。


 名前 タクト・マミヤ

 年齢 17

 スキル 融合 採取Lv2 魔法操作Lv3 棒術Lv1 殺傷耐性Lv2 土属性魔法Lv2 生活魔法Lv1 火属性魔法Lv1 ステータスカード


 大量の魔物を倒したからであろうか、殺傷耐性のLvが上がっている。

 そして、しっかりと最後に火属性魔法と表記が加わった。


「師匠。無事火属性…あぁそう言う事も」


 火属性魔法のスキルが発現したところで、融合スキルが、ある組み合わせを直感で知らせた。


「どうしたんじゃ?成功したんじゃろ?」


「あっすみません師匠。ちゃんと火の魔法、使えるようになりました。有難うございます。それよりも外にでませんか?ちょっと試したい事があるんです」


 師匠は、何がなんだかと言った表情で外へと出る。


 火属性魔法が加わった事で、土属性魔法との新たな可能性が生まれた。

 直感の働いている魔法は、火と土。


 おそらく火属性魔法の取得がトリガーになったんでしょうね。たしかに生活魔法とじゃ難しいでしょうし。


 火属性魔法

 土属性魔法


『融合』


 体の中心で火属性の魔力と土属性の魔力が混ざり合う。

 最初は反発していた2つの属法も次第に融合し、小さな魔力爆発が起きた。


『メテオショット』


 最小限の魔力で魔法を唱える。と言っても魔法のLvは規模や制御が関わっている。

 Lv1にもなっていない魔法がそこまで大きな魔法にはならないでしょう。


 魔力は思っていたよりも多く消費されたが、案の定最低限の威力の魔法が発現する。やはり融合魔法は、単独での発動より多くの魔力が必要のようです。


 魔力が消費されたその瞬間。上空に燃え盛る直径10cm程の小さな石が出現し、狙っていたポイントへと落下した。


 ゴォォン


 と言う石の大きさに比例しない、ありえない地鳴り起こり、地面が抉れ土が熔解し、焦げる。


『メテオショット』

 燃える岩石を降らせる魔法。


 究極まで魔力を高めれば、流星群のように大量の隕石を降らせる事が可能となるだろう。こんな裏庭で使ってはいけないレベルの魔法だった。


 これは……。


「のわーーー。なんじゃこれは!」


 焦げた地面を見て師匠が慌てふためく。

 内心自分もドキドキです。


 はい。正直ナメてました。上空に現れた10cm程の小石……。ちっちゃって思ってごめんなさい。


 たった10cm程の石が降るだけではありえない、振動と、マグマのようになった土の熱気が辺りを立ち込める。


「あー。融合魔法フュージョンマジックと言うみたいです。ちなみに土と火の組み合わせで、たぶん溶岩魔法ですね。」


「それが融合の力かね。まさか火魔法と土魔法をある程度極めた先にある魔法を作り出すとは……。ワシの知っている溶岩魔法とは違うけどね…」


 溶岩魔法

 火属性魔法Lv5 土属性魔法Lv5 魔法操作Lv5以上のスキルを持つ者が発現可能

 複合属性を持つ範囲攻撃を主とする属性。


 これが本来の溶岩魔法だと、師匠は教えてくれた。


 そして、いくら最低限の魔力だったとしても、決して10cm程の石にここまでの爆発力を持たせる物ではないと…



「師匠のお陰で、魔力も増えましたし、なによりも魔力循環の無駄が減った事で、消費魔力が減りましたからね。私は、肉弾戦よりも魔法の方が向いてるのかもしれません。武器を使っても私は、才能が無い分他の人に比べて弱いですからね……。これからもより一層努力します。」


 魔法への意欲を述べたつもりが、なぜか師匠が難しい顔をしていた。


 Side ジーマ


 あまりにも色々とズレている我が弟子が、今度は自分には武器の才能がないと言い始めた。


 なにを言っているんだい。まったく。

 軽くゴブリンの頭を飛ばせる奴が、いったいどれくらいいると思ってんのかね。

 まさかこやつ気付いておらんのか?自分の技量に。


 思えば城で勇者となった男に散々悪態をつかれ、輝度の示す意味を知り、自分の評価を自分自身で最底辺に迄下げていた。

 こやつが基礎を固めている中、実戦的な訓練に派手な魔法。


 自分と比べ、評価を落とすのには十分な環境だったのだろう。まぁあの男の訓練なんて派手なばかりで基礎がなっちゃいなかったがね。


 そしてそんな派手な訓練で、タクトから自信の色が失われていた。


 まぁ今は前よりも良い顔になったからの


 まぁよいか。いずれ自分の才能に気付くじゃろうて。いや気付かんほうがあやつらしいかね。


 まぁ他から見れば、納得できないけどね……。




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