表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

57/126

おっさんのエルフ耳と雪崩れ込むスケルトン

 融合を確認すると、持ってきていた手鏡で自分の姿を確認する。


 リィスとの融合で、融合した魔物の特徴が少し容姿に出る事は分かっている。それを確認するためだ。


「お。耳の形が少し尖りましたね。エルフみたいでちょっとカッコいい……。それと一番分かりやすいのはこれですね。」


 口に指を入れ、口角をあげるとニョキっと少し長く尖った牙となった八重歯が顔を出す。


 どうやらペルとの融合は牙と耳の変化のようですね。あまり派手じゃなく助かりました。


 服とか突き破って羽とか生えたらどうしよう。とか思って、実はシャツを脱いで融合しましたが杞憂のようですね……。


 リィスのなんで脱いだんだろう?って言う好奇心満載の目が痛いです。


 耳は帽子で隠せばなんとかなるし、牙は口を開かなければ分かりませんからね。

 これくらいで済んで良かったです。


 それにしても……

 洞窟に入り魔石を回収するために灯していた松明の火を消す。


 それでも辺りから視界が消えるような事はなかった。昼間の外のようにはっきり見える。


 松明で照らしてきた時よりもよほど見えやすいくらいですね。


 無事『夜目』が取得できたみたいです。

 

 そしてあたりを観察していると、天井から石のかけらが落ちる。


 カコーンと落ちた石から波紋のように音の波が広がり、その石だけでなく、周囲のの形を脳裏に映し出した。


「これは……?」


『索敵』を意識すれば、こちらからも出せますね。


『索敵』を奥へと向けると、奥にいる無数のビッグバットの気配を察知する。


 なるほど超音波。エコーロケーションですか。

 さすが蝙蝠ですね。実際なにかを飛ばしているのならば、同じ事ができるビックバットにその飛ばした何かを察知されているでしょうから。種族特性に近い超音波の原理のスキル化。これが索敵の正体ですね。これなら隠れている敵なども事前に発見できそうです。便利なスキルですね。


 ひとしきり実験を終えると、制限時間が切れる前に解除する。


 奥のビッグバット達が目覚める前に洞窟から退散しましょう。


 そして洞窟の外にたどり着いたところで、リィスにはペルのレベリングをお願いしペルと共に、下水へと送還した。


通常は召喚元への送還だが、リィスがペルを包み込み同時送還を可能にしていた。


 召喚されてきた時の大ネズミのように、リィスの体内に丸々取り込まれるペルを見て、消化しやしないかヒヤヒヤしていたのは、リィスには内緒です。


 送還後も繋がりは切れていない……大丈夫ですよね。


 道中何体かの魔物を倒しながら、森を抜ける。

 日が落ちるギリギリに森を抜けれた事に安堵しつつ、ギルドへと向かうと、やはりいつもとは様子が違っていた。


 緊急依頼は夜が本番ですからね。この時間は多くの冒険者は準備しているか仮眠をとっているのでしょう。


 夕方過ぎになっても、人気の無いギルドのカウンターへと向かう。


「おかえりなさい。タクトさん。ビッグバットは手に入りましたか?」


 こちらの姿を確認すると、すぐに受付にアンナさんが立つ。既にビッグバットの外套風の生地は脱いでいる。


 これの効果は意外に高かったですね。

 羽織っている状態で、警戒心の強い鳥の魔物。ピジリスに2mまで近く事が出来きましたから。いつもならば5mでも逃げ出すピジリスが気配を感知出来なかったと言うことは、それだけ効果が高いと言うことでしょう。


「はいお陰様で。それとこれ」


 場所を教えて貰った礼を言いバッグから皮膜を取り出す。勿論状態は非常に良い無傷の皮膜だ。


「これは!凄いですね。タクトさん。無傷……高品質の皮膜ですか…。驚きました。が方法は言わなくて結構です。秘匿した方がタクトさんがこれからも稼げますからね。では50組分100枚の納入を確認いたしました。カードをお出しください。」


 アンナさんは、驚きながらも、最高評価での納入の手続きを淡々と進める。さすがはプロである。


 カードを出し、納入した分の報酬が振り込まれる。その額25万トール。1枚2,500トール、ビッグバットの皮膜は大きいといっても大盤振る舞いだ。


「無傷の皮膜は用途が格段に広がるだけでなく、継ぎ目が少なくなる分綺麗に仕上がりますからね。貴族や大商人達に特に高く取引されてるんです。」


 なるほどそう考えれば納得ですね。それなら60枚使っている私の外套は素材費だけで15万トールの超高級品って事ですね。しかも継ぎ目なんて無いですし……。スキル持ちですし……。うん。ここに着てくるのはやめておきましょう。


 いつものように石にカードをつけ報酬を受け取った。


 その時だった。


 ガンガンガンガン


 同時に響く、警鐘の音。

 先程、日が落ちたことの鐘の音が響いたばかりだ。

 嫌な予感が胸を締め付ける。


「大変だ!大量のスケルトンが墓地から街へなだれ込んできやがった!すでに騎士団が来て墓地に押し込んでるが、頭数がたんねえ依頼を受けた奴はすぐに来てくれ!」


 警鐘の音ともに、1人の冒険者によってもたらされた街の状況。

 下水のスケルトンを冒険者たちが討伐していたころ、墓地に接する街区に墓地から一気にスケルトンが入ってきたらしい。


 慌てて近くにいた兵と冒険者が応戦。その後待機していた騎士団が合流。

 城の騎士団と冒険者ギルドへの伝達係が派遣された。数々の情報と共に。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ