おっさんの物件探しと彼女達の成長
「「「いらっしゃいませ」」」
トゥールさん達を見送って次の日、元の世界での同業者「不動産屋」にルファと来ていた。
といっても、こちらには不動産業を専門で商いとして展開している店はなく、商業ギルドがその辺の情報を纏めている。
エルフからのキスの重大さを足元で訴え続ける師匠の頭を撫で、何故か魔力を込めた拳でボディーブローを叩きこまれ、ルファやリィス達に呆れられ。
結果、それを最大限に活かすために、早急に家を探す事となったという事です。はい。
しばらく待つと、茶色の長い髪を後ろで束ね右肩に垂らした眼鏡姿の女性がファイルを片手に窓口へとやってきた。
ここは、商業ギルドの不動産部。窓口に備え付けられているベルを鳴らせば担当者が奥から顔を出す仕組みになっていた。
この辺は元の世界と似てますね。
営業の皆さんは、ベルが鳴った瞬間我先にと飛び出してましたね。
最初に手前の部屋にたどり着いた営業が担当になれますから、必死にもなります。
裏で同じような事が行われていたかはわかりませんが、どうやらこの女性が私の担当をしてくれるようですね。
「いらっしゃいませ。お客様の担当をさせて頂きます。ベニーと申します。」
「よろしくお願いします。タクトです」
案内されるまま席に着くと、ベニーさんはファイルからメモを取り出した。
「それでは、条件をお伺い出来ますか?ご自宅用でしょうかそれとも店舗でのお探しでしょうか?」
一つ一つの条件に答えていくと、その度にベニーさんは、サラサラとメモに書き記していく。
不動産は謂わば引き算ですからね。予算内で客に合う物件を探すためには、まず最大限の条件を引き出しそこから何が妥協できて何が妥協できないか。本当の希望はそれで良いのか。代替案はないのか。これらの組み合わせで予算内で最高の組み合わせを見つける楽しさが不動産の醍醐味なんだと久野木課長はよく飲みの席で言っていましたね。
あの人は、その組み合わせを見つけ出すのが抜群に上手かった。対するセイドウくんは、強気の営業でここしか無いと思わせるのが上手く、購入後の住んでからの満足度の違いは大きかったですね……。
さてそうなるとこちらの条件ですが……。
予算は1500万でお願いします。
実際のお金はアルグレント王国での師匠との取引を入れれば2,000万以上はあります。がここで最大限言ったところで予算が上がってしまうのは目に見えてますからね。
まずは自宅としても店舗としても使える事が大前提ですね。あっはい。改装できるならそれも
あとは……
修行をするのにある程度の広さと、畑が出来る事も必要
リィス達がいるからなるべく囲われていた方がよいですね
それとできれば学園と森側に近い
あっ
居住区は無理ですか……。
つらつらと聞かれるまま条件を足していったところで待ったがかかってしまった。
既にそこまでの物件となると居住区のように富豪用に広く土地を確保している場所しかなく、そうすると予算を完全にオーバーしてしまう。
「すみません。タクト様。何件か予算内で自宅兼店舗で使えそうな物件があるのですがまずは相場を見るためにも一度見て見ませんか?」
そうですね。まずは相場を知れと……。ごもっともです。
「そうですね。よろしくお願いします」
こうして、明日迄に物件をいくつか揃えてくれることになった。
一旦師匠の家に帰ると、リィス達は師匠の屋敷の庭園で遊んでいた。それを陰ながら見守っていたキュリと合流し、庭園で擦り寄ってきたリィスとペルを撫で回しながら芝生に座る。
「用意してくれる物に良い物件があると良いですね」
ずっと一緒に住む家を探そう。その言葉が余程嬉しかったのかルファは家探しが楽しらしく、終始尻尾が揺れていた。
「そうだな。リィス達も思いっきり遊べるような家がいいな」
「ハイなのー ペルちゃんとキュリちゃんと追いかけっこするのー」
「キッ!」
「……(こくり)」
ハルフーレ魔術学園都市にきて従魔登録をし、正式に従魔となったオリジナルネオスライムのリィスと大蝙蝠のペル。そして従魔登録をしていないものの、大事な眷属の色白な少女のような見た目のレッサーリッチユニークのキュリが目を輝かせる。
そんな彼女ら(何故か皆女の子なのだ)のステータスを順番に確認してく。道中護衛を通してだいぶステータスが変わっていた。
種族:オリジナルネオスライム Lv16
名前:リィス
スキル
同族吸収
物理衝撃耐性
状態異常耐性
再生(大)
念思
溶解液
保護色
粘液操作
水生成
容積変化
★薬効採取
リィスは、LvUPによるスキル習得はなかったが、溶解液はより強力に、水生成はより精密にコントロール出来るようになった。そしてグリーンスライムを取り込むことで薬効採取を得ていた。どうやら取り込んだ薬草からその薬効を取り出せるようですね。
種族:大蝙蝠 Lv27
名前:ペル
スキル
夜目
索敵
毒牙
★潜伏(小)→(中)
消音飛行
★血液回復
そしてペル。道中、積極的に索敵からの暗殺を繰り返していたペルは、大幅にLvが上がっていた。
そして覚えたのは血液回復。魔物でも人でも血液を摂取すれば傷も含めて体力の回復を早めるスキル。これを習得した瞬間。リィスやキュリのように血液吸収を覚えたのか!と一瞬思ったが回復という文字を確認し、コウモリらしいスキルで少しホッとした。
そして、何故か上がっていく隠密性……。彼女はどこを目指しているのでしょうか。
種族:レッサーリッチユニーク Lv14
名前:キュリ
スキル
骨吸収
夜目
炎属性魔法
闇魔法
魔力増加(大)
魔力回復(中)
魔力操作
魔骨
裁縫
★眷属召喚スケルトンを呼び出す。最初は4体装備なし
★杖術
キュリに関しては殆ど馬車内にいたこともあり、護衛では殆ど上がっていない。
どちらかというと、進化してから積極的に墓地でLv上げをしていた。
覚えていたのは、眷属召喚。どうやら今のところは裸のスケルトンを4体召喚するのがやっとらしいですが、成長すればこちらも強力になっていくらしいです。
そして杖術……。今更のような気がしないでもないですが、どうやらこれも武術スキルでありながら、魔力を上げるスキルらしく、やはりリッチは魔法特化の魔物だと言う事でしょう。
思えば彼女らも立派になった。
そんな彼女達ともこれからは一緒にいられるんですね。
擦り寄る彼女達を撫で、明日はどういう物件が見れるのかと今までになかったワクワクとした感情で心を満たしながら平穏な1日は過ぎていった。
いつもありがとうございます。
これからよろしくお願いします。




