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おっさんの旅の終わりと新たな日々の始まり

3章〜魔術学園都市編〜スタートします。

引き続き宜しくお願いします!


 無事国境もエンブレムの力で越え、ディート王国側へと無事にたどり着いた。

 そのまま街道を走り続け、途中魔術学園都市の手前にある街に一泊すると、次の日には目的地であるハルフーレ魔術学園都市が見えてきた。


 魔術学園都市という重要な位置付けであるはずのその都市は、城塞都市のような堅固な外壁に囲まれているわけでも、多くの兵士によって護られているわけでもなかった。


 まるで、その都市の外壁は魔物の侵入など考えてもいないような、この世界の一般的な外壁よりも少し立派くらいの外壁に囲まれ、その壁の上には数人の兵士と魔導師が待機していただけだった。


 あれなら私でも、こっそり越えられるんじゃないでしょうか?


「おや。なんぞ意外な顔をしとるの」


 そんな事を邪推していると、怪訝な表情の師匠が顔を覗き呟いた。


「はい。大きな都市と聞いていましたので、もっと城壁のような壁で囲まれているのかと」


 相変わらず顔の表情一つで、考えている事が伝わっているようですね……。


「くっくっく。どうじゃこれがハルフーレ魔術学園都市じゃ。ちなみに強い害意のあるモノが街へ入ろうとすれば、結界魔法が働き、さらに無理に通ろうとすれば消し炭よ。外壁から越えようとすれば、害意がなくとも消し炭じゃがな。試しに越えようとなんて考えないことじゃな」


「あぁ……。そんな馬鹿な事しませんよ。……師匠」


 不意に突っ込まれた師匠からフッと目をそらす。


「どうじゃかのう。ヌシは少々好奇心に負けて馬鹿な事をやらかそうとするからのう」


「ほう。そうなのかタクト?やっぱりタクトは面白い奴だな」


「ふふ。タクトは随分わかりやすい性格のようだ。魔術学園都市の結界は有名だからな。無茶はしない事をおススメするよ。」


 トゥールさん、トゥーレさんから、からかわれながら師匠のお陰で待つ事なく門を通過する。流石は超VIPである。


 ぞわっ


 門を抜けた瞬間。奇妙な感覚が体を走る。


「凄いですね。感覚的に分かるほど魔力に溢れてます」


「そうじゃろ。そうじゃろ。ここは魔導師達の集まる場所。この自然と濃くなる魔力を都市の結界にも利用しておるのじゃ。その他にも魔力の回復速度も早くなるからの。必然的に魔法の修練に持ってこいの場所という事じゃよ」


 凄いじゃろと胸を張る師匠。

 ここにやっと帰ってこれて嬉しいんでしょうね。私も嬉しいですよ。


「えぇ。本当にいい環境です。来て良かったです。」


 王族のしがらみも、勇者であるセイドウくんを気にする事もなく魔法とこの世界について学べる。

 それだけで、体の力がスッと抜け軽くなった感じがした。


「では先に学園に戻っておる。手続き次第来るように」


 ギルドへ護衛依頼の達成報告の手続きをするため、先に学園に向かう師匠達の馬車の御者を門にいた兵士と代わり、ルファとともに馬車を降りる。


 そこで目に入ったのは、魔術学園都市という名前に相応しくローブ姿の多くの魔術師。そして街は、多くの種族、冒険者、そこに住む人々の活気であふれていた。


「凄いねー。ひとがいっぱい」


「キッ」


「・・・」


 そしてもちろんリィス達も送還する事なく、一緒に降車していた。リィスとペルは私の肩へ乗り、日差しを避けるため深々とツバの広い帽子をかぶったキュリは静かに背中にまわり、私の後ろへと立った。


 王都では下水や墓など人気のない場所で過ごす事の多かった3体は、それぞれ興味深かそうに街を見渡している。


 この国でテイマーとして登録すれば、堂々と一緒にいる事が出来る。

 人目に付かないようにしていたリィス達と、やっと行動を共にする事が出来るようになったのだ。


 もちろん門にて、登録前のテイマーに渡される従魔証を受け取っており、それぞれにネックレス型のアクセサリーのように装備されている。


 大勢の行き交う人々の視線が一瞬だけリィス達に集まり、アクセサリーに移ると何事もないようにその興味は別へと移っていく。


 ここではテイムモンスターも珍しく無いようだ。

 一番よくみかけるのは、馬の代わりに馬車や荷車を引くバクを馬並みに大きくしたような魔獣や、同じく荷車を引く小型の恐竜のようなオオトカゲはこの街に違和感なく、自然と生活の中に溶け込んでいた。


「時間を見つけてゆっくり街を周りたいね。今日のところはギルドへ急ごうか」


「はい!もっと色々見たいですね!」


 リィス達同様、興奮した様子で街を興味深かそうに見渡していたルファの尻尾が激しく振られている。

 色々興味深い物に溢れるこの街は、まるでテーマパークのように私達を飽きさせない魅力を持っていた。


 今後の生活を楽しみにしているなんて、王都では考えられなかった。


 自分の心がこれから始まる新たな日々を想像し上向いてきている事に、心の中で驚きながらギルドへと向かうと、そこには5階建のマンションのような建物が、その異様な存在感を遠慮する事なく周囲に放っていた。


 圧倒されながら、入り口に近付くと自動ドアのように、左右に開く扉に迎えられる。そしてそのままギルドへと足を進めると、多くの冒険者達で賑わっていた。


 しかし、そこはまさに白を基調とした空間。もとの日本の学食そのままの空間だった。


「いらっしゃいませ。ようこそ冒険者ギルド魔術学園都市支部へ。こちらは初めてでいらっしゃいますね」


 自動ドアから一歩入ったところで足を止めていると、ギルド職員であろう女性に声をかけられる。


「えっ…えぇ。そうですね。すみません入口で……」


 閉まったり開いたりさせてしまっている自動ドアから離れると、声をかけてきた女性へ顔を向ける。


「いえいえ。初めての方は皆同じような反応で足を止められますので、ここでご案内をさせていただいているのですよ」


 初めてならばしょうがないといい、ニコリと口角を優しく上げるギルド職員の女性の言葉に、心の中で突っ込みを入れる。


(いやいや。たぶん他の人とは反応した意味が全然違うと思いますよ!マンション風の建物に自動ドア、学食風の1階って……歴代勇者は大学生かなんかですか?現代の雰囲気に異世界ファッション……完全にコスプレ会場じゃないですか……)


 おそらくは、元の世界の人間が最初にここに転移すれば、同じように思い異世界を疑うだろう。

 そう思えるほど、歴代勇者の影響を大きく受けた現代風なギルドは、目新しさではなく不思議な違和感が支配する空間になっていた。


 さすがは魔術学園都市。と言ったところでしょうか……。



下のブックマークからブクマして頂けると嬉しいです。

年末でバタバタですが少しずつでも更新していきます。宜しくお願いします。


やっと3章になりました。

これからも皆さんにブックマーク、そしてレビューを貰えるような物語になるように頑張ります。


応援よろしくお願いします。

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