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閑話:おっさんの仕立て屋 後編

 あらこの気配……。


 まだ離れているけど、タクトちゃんと知らない子の気配が2つ……。

「あらあら。一つは何とも言えない気配ね」


 私は近づいてくる気配に合わせ、入口の前で待った。


「いらっしゃい。あなたが新しい子猫ちゃんね。可愛いわー。あらそのローブ……。あんらーやっぱりハニーは可愛いじゃないの」


 ガラりと開いた扉からタクトちゃん達が入ってきた。

 失礼しちゃうわ。またっく相変わらず表情を隠せない子ね。


 人の事を見上げたと思ったら、上から下に舐め回すように。


 もう。人の胸元を凝視しちゃダメって教えてあげなきゃかしら。


 それよりも……

 びくりと震えた獣人の可愛らしい子から漏れる興味深い魔力。


 これは幻覚魔法ね。


 不思議に感じた気配の子を纏う幻覚魔法を打ち消し、自分の作ったローブのフードの中を覗き込むとその答えはハッキリした。


『アンデット』


 血の気の全く感じさせない蒼白いその顔は、儚げな表情と共に美しさが際立っていた。

 鼓動の感じないその体は、間違いなく彼女が人外の者……。アンデットであると告げていた。


「なに不思議そうな顔してるのよん。私くらいの美の伝道師になれば、真実の美を見抜くなんて造作もないことよ」


 驚きの表情で固まる2人。驚いているようね。でも彼が魔物を従えている事はニイナ姐さんから聞いているのよね。まさかアンデットだとは思わなかっただけで。


 それにしても……この状況でも獣人の子は、必死で幻覚魔法を掛け続けている。


(いいわ。その心意気!ならば全力で応えてあ・げ・る)


「サンドラ…オネエさん。」


「あん?またなんか違う気がするけど。まったくもう。またあなたの顔に書いてあったのよ。どうして分かった?ってね」


 私が答えるとルファちゃんと呼ばれた女の子を見る。

 あらかわいそうに。少し青い顔をして、必死で首を振ってるじゃないの。まったくタクトちゃん。女の子を疑うなんてまだまだね。


「それにしても裸ローブなんて、タクトちゃん。あんたなかなかレベルの高い事するわねん」


「違う!いやっ……それは…その致し方なく……。それよりも彼女のコーディネートを…」


 という事で、ちょっとだけお仕置き。


 そしてちょっとタクトちゃんに意地悪して、キュリちゃんと呼ばれた子の手を引っ張り、店の奥へと連れて行っていった。


 店の奥の作業場に連れてきたキュリちゃんのフードを、外す。

 先程フードの奥からみえた蒼白い顔に、灯りのお陰でほんのりと赤みが差した。


 そして採寸の為、ローブを脱がした瞬間っ。私の中で何かが弾けたの!


「あらあなた意外にあるわね。いいわいいわ。その顔でそのスタイル!そそるわー。フォーーーー!」


 渾身の出来。


 気持ちも最高潮。この子を際立たせる最高のドレスが仕上がった。


「わ た し。つ く る。」


 その時、小さく発したキュリちゃんの声に私は驚きを隠せなかった。


「あなた。言葉が話せるのね。ドレスを自分で作れるようになりたいの?」


 言葉を発するアンデット。それってかなりの高位のアンデットじゃなかったかしら。

 それよりもこの子は、たしかに作ると言った。そして私はこの子の瞳に輝きを見た気がした。


 私の言葉にコクリと一度頷いたキュリちゃん。


「いいわ。いいわ。その心意気!このサンドラ。あなたに技術を叩き込んであげるわ!」


 私は反応の無いその瞳に見つめられながら、10着の様々な服を仕立てて見せた。


 どれも基本的な服。だけども基礎がしっかりと詰まったその服の仕立ては、0から学ばせるのに最も適した服達。


 そして彼女の手を取り、同じ物をもう10着。


 ふー。これで一通りは仕込めたわ。流石は高位のアンデットね。一度見たものは完璧に覚えている。


 そしてこれで最後。あなたへの卒業のプレゼント……


「フォーーーーー」


 もう一度手を取り、1つのヘッドドレスを仕立てた。

 その技術・・。貴女ならきっと使いこなせるわ……。


「あ り が と う」


 ヘッドドレスを着けると、心なしか嬉しそうにコクリと頭を下げた。


「ふふふ。いいのよ。落ち着いたらタクトちゃんにも作ってあげてねん」


 そう言って奥を仕切っていた布を一気に外す。さぁ更に美しくなったあなたのハニーをご覧なさい!


 それは黒を基調としたゴシックドレス。この子の美しさに目を奪われればいいわ。


「ありがとうございます。サンドラ姉さん」


 あら。やっと私の素晴らしさが伝わったみたいね。


「あら。いいわ。いいわ。それよ。気合い入れた甲斐があったわ。また来るのよ。それにあなたもねん。」


 そう言ってタクトちゃんから5万トールを貰う。


 店をでるタクトちゃんの後ろで、弟子となったキュリちゃんがこちらに振り向く。しっかりね。そう心の中で呟き、私の愛を送った。


 そして、結局最後まで幻覚魔法を掛け続けていたルファちゃんの、明らかにLvの上がった最後の幻覚魔法も全力で打破る。


 あなたも頑張ってねん。


 私はサンドラ。

 美の伝道師。今日2人の可愛らしい弟子が出来ました。



年末が忙しすぎて執筆が出来ず……。


そしてまさかの100話が閑話だったと感想で気付くこの余裕のなさ……。

皆様のお陰で100話達成しておりました。今後ともよろしくお願いします。


3章の前にどうしても書いておきたかったもう一人の達人サンドラネエさん。

キュリを連れて行った店の奥では、キュリと師弟関係が生まれていました。

という事はキュリのスキルも……


そして何故かルファも弟子認定されて幻覚魔法のパワーレベリングされていました。

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― 新着の感想 ―
[一言] 恐るべしサンドラオネエさん。面倒見ほんといいですね^^ こういうのもパワーレベリングっていうんですかね?ただの荒行のような気がしてたんですが。
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