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第1話 もう一つの小さな光

 

  俺は何故こんな事をしているのかわからなくなっていた。


 ヴィィィィン!


  フィルムを巻く音。鉄骨が剥き出しのドーム状の部屋になっているため、音がよく響く。音が大きくて慌てそうになるが何とか落ち着く。


 ピピッ⋯⋯カシャ!


  撮ることはできた。あとはカメラに爆薬をセットして終わり。今度は音が鳴らないカメラを要求しよう。そうしないと⋯⋯。


「いたぞ! こっちだ!」


  こうなるからだ。


  警報が鳴り響く。右から、左からも。

 いつも通りまた敵に囲まれた。銃口を突きつけられる。こうして、俺は見つかって⋯⋯。


 ボゴォォォォォォン⋯⋯。

「ここはもう包囲した! 大人しく降参しろ!」


  と、警報や爆発音、仲間の声をあらかじめ設置しておいたスピーカーから流して、敵を混乱させる。

  そして、逃げるタイミングはいつもここ。


「1歩でも動けば撃つぞ!」


  今だ。

  このタイミングで逃げれば敵は俺を追うことができない。敵は俺の後ろ姿を見ながらさぞ悔しがっている事だろう。はっきりわかる。お前達では俺を捕まえる事はできない。


「スピーカーだ! スピーカーを見つけたぞ!」


  意外と見つかるのは早かったようだ。

  やはりスピーカーを部屋に置くのはまずかった。包囲したと言っているのに部屋から声が聞こえるのは流石におかしい。だが面倒事を省くにはこれしかないので我慢する。


  急いで物陰に隠れ、腰に掛けてあるバトンという武器を手に取った。

  バトンは30cm程。伸縮できるが伸ばしても50cmがやっとの長さだ。

  だが、こんな物でも使い所はある。

  逃げる時だ。


  バトンの先端は鋭く尖っている。内部には射出型のスライドが実装されていて遠くに飛ばす事ができる。反動が大きいのが玉に傷だがこれだけ使えれば十分だ。


  俺は一般的にフックショットと言われる機能を使い建物内から外に飛び出した。

  慌てて敵は撃ってくるが、もう遅い。

  ここからはこの自慢の足の見せ所だ。


  建物から建物へ飛ぶ。着地の時は足の負担を軽減するためローリング。敵も俺を追ってくるが追いつくことはできない。

  横の建物からこっちの建物に飛び移ってくる敵は、着地する前にバトンで攻撃し、奈落へ突き落とす。


  言ってはいなかったが、この近辺は地面に大量の軍隊蟻が生息している。人間とほぼ同じ大きさの蟻だ。建物から落とされた敵は解体され骨すら残らないだろう。


  今落とした敵の悲鳴が聞こえる。


  だが、もう聞き慣れた。この基地に潜入した時に拷問を受け、突き落とされた捕虜を何人も見てきた。

  残酷な奴等だ。俺も人の事は言えないが。


  あと少しで仲間と落ち合うポイントに着く。敵は諦めたのかもう追ってくる気配がない。

  見えてきた。


「おーい、こっちだ! 早く乗れ!」


  どうやら仲間も気づいたようだ。

  俺はカメラにセットしておいた爆薬を遠隔操作で起爆。大きな爆発を背景に仲間の乗り物へと飛び乗った。


「ってこれバイクじゃねぇか!」

  乗ってすぐに乗り心地に絶望した。まさか俺のバイクに乗ってくるとは思っていなかった。

「なんだ、気に入らないのか? レン専用にチューニングしておいたんだけど」

「なんで俺のバイク勝手に使ってんだよって事だ。てか勝手にチューニングすんな」


  今この男が言ったレンって言うのが俺の名前だ。

  レン・レーヴェ

  少し言いづらいかもしれないが、そこは指摘しないでくれ。

  ちなみに俺のバイクに乗ってきた男はムノウという。苗字はない。無能とは言わないでほしい。俺の相棒だからな。


「さーて、久々に飛ばすか!」

  凄く嬉しそうにしてバカな事を言ってきた。

「待て待て、もう敵は撒いたんだからこれ以上音を立てるな。ていうかどけ、俺のバイクだから俺が操縦する」

「はぁ? そしたら俺やることなくなるだろ!」

  ムノウは意味がわからないと言いたげな顔で俺を見てくる。

「いいだろ別に、なくたって」

「よくない!」


  いつまでも子供の様に駄々をこねるので置いてくことにした。こういう奴は自分が危険になるとすぐに言う事を聞く。扱いに慣れてきたな。

  俺はバイクのエンジンを入れて置いてく素振りを見せた。


「ちょっ、待って待って! 置いてくなぁ!」

  慌てて俺の後ろに乗ってきた。

  ムノウの扱いは一流になったと自分でも思う。


「ここからチェルスまでどのくらいかかる?」

「ざっと30分くらいだ!」

  こういう時は頭の回転早いから意外と役に立つ時もある。

「よし! しっかり捕まってろ! ちょっと危ない道通るから到着時間早まるかもな!」

「え、それってどういう?」


  ムノウの言葉を無視して走り出した。


  崖へと。


  どんどん加速していく。時速200kmオーバーだ。


「ちょっとちょっとちょっと! どこに向かって走ってんの!?」

「飛ぶぞ!」


  俺は空を飛んでいる。前に組み込んだジェットエンジンを利用して。少しのミスで落ちるが、そのスリルがたまらない。だが誰かと一緒に飛ぶのは初めてでムノウが心配になった。


「おい、大丈夫か⋯⋯」

「うわぁぁぁぁァァァァ⋯⋯」


  楽しそうでなによりだ。白目剥く程楽しいようだ。それは良かった。


「⋯⋯」


 ⋯⋯流石に忠告しておけば良かった。

飽きないように展開が早い小説を書こうと思います。

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