表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

第1話 その人を探して

ティツィアーノ・ヴェ・ガドーレ


 この名前を始めて見た時の印象は

何かの呪文かお菓子の名前かと思った。


名前に魔力でも宿っているかのように、声に出して呟きたくなる。

そうして、私の喉を通して出た名前と言う音は

正体不明の妙な者を呼び寄せてしまうような気が

して、そっと呟くに留める。



 フルツホルツの森の中。


白いキャンバスに夢中になっている人物がいた。

近づいてみると、女性だろうか。彼女の前にキャンパスと、絵の具と筆を手にしている。

よく見ると彼女の回りには描いた後なのか、いくつか額から

取られた絵が散らばっていた。


近づいて絵をひとつ手に取る、オレンジ色の翼を持つ小さい鳥が(くちばし)に赤い実を咥えている。


その絵はまるで今にも動き出して飛んで行きそうだった。

むしろ自分が飛んで行こうかと思ってしまう絵……。


見つけた。


彼女だ。


彼女がティツィアーノ・ヴェ・ガドーレだ。


一見すると、青年にしか見えない彼女は“不思議な力”を持っているらしい。


実物は見たことがないから分からないが“不思議な力”以外の噂は噂の域を越えている。



ティツィアーノ・ヴェ・ガトーレの作品は人の心を揺さぶり、

触れただけで人を虜にしてしまう。


居場所ははっきりとしておらず、世界中を歩き回っているとか。


王国を絵画ひとつで動かしたとか


病を直しただとか


彼女の作品はこの世界の誰もが知っていて触れて、実感している。


私もそのひとりだ。


ただ、本物の彼女に会うまでは熱に浮かされたファンのひとりだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ