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スルースキルが最強で。  作者: ふぁくとりー
1 巻き込まれたので。
8/43

8 愉快な仲間たちのようです。

おかしな三人組です。

しっかり目が覚めるまで数秒。まだぐうぐう眠っている二人はさておき、僕はこの時とばかりに尻尾を撫でる。


ふさふさで、さらつや…。耳がピコピコ動いている。


ルリエの金髪も寝乱れている。これはあとで梳いてあげるしかあるまい!犯罪行為ではない、髪を梳かすだけなのだっ!


「では朝食でも作りましょうかね」


森に入ると、鳥の声が聞こえる。いい声だな、そんな気分ではないのだ。なぜならば、今僕が調達しようとしているのはーー


「ふふーんふーん、たっまごまご~」


ひょいひょい木に登っては突いてくる鳥たちを無視して卵を泥していく。この時気をつけるのは、他の卵に匂いがつかないように取る時に風魔法を使って一つだけ取ること。


鳥は人間の匂いのついた卵を育てない。育児放棄してしまうのだ。


「さて、六つくらいでいいかなーー」

がさがさがさ!


「あ、冒険者の方ですか?どうも」

「おはようございます」


中肉中背の甲冑っぽい槍の男がぺこりと礼をする。青い髪はファンタジー感満載だ。イケメンではない。レイやルリエを日頃目にしていたからかもしれないが、色男ではない。


「これから朝食ですか。火元があるなら貸していただきたいのですが大丈夫ですか?」

「ええ、まあ」


たきぎを拾い集めながらテントに戻ると、寝起きのレイが欠伸をしていた。


「あ、透。顔洗いたかったんだよ、ちょっと水を……おいその男は?」

「す、すみまっせん!?その、朝食を作るのに火を消してしまいまして!」


「レイさん、今朝は卵料理ですよ。卵を取ってきました」

「お前は雰囲気までスルーしてんじゃねぇ!」

「いやだってここは冗談の一つも言って場をなごませないとと思いまして」


「お前は冗談言えたのか…?」

「失敬な。レイさんは僕を見くびっているようですね、ふっふっふ」


今の僕をどうにかできるなどと思うなよ!


「言えませんけどね」

「言えねぇのかよ!いやこの流れで行ったら普通冗談だのボケだの言えよ!流れもスルーか!」


「冗談はさておき、火を貸すくらいなら別段問題はありません。実は昨晩の狩りでレベルアップしたので、火加減もさらに細かくできるようになりました」


「……仕方ねぇな。俺は別にかまやしねぇよ、仲間もいるならとっとと呼んでこい」

「ありがとうございます!」


走っていく青鎧を尻目に、僕はレイに抱きついて尻尾を撫でる。


「ぐを!?俺の方がAGI高いのにどうして捕まるっ!?」

「女子力(物理)です」

「意味わからねにゃっ!?…ふぁはぁ…はっ!?」


おや。


「やはりDEXが9500以上になると、反応が変わるんですね」

「お、俺は気持ち良さには屈しないっ…ふぁぁぁ……」


おもいっきしリラックスだなあ。


「さて、じゃあご飯!まずはお野菜と」

買っておいたレシャ(黄色のレタス…っぽい)をペリペリ剥がすと一口大に千切り、ボウルに魔法で作った氷と水をイン。


そしてドレッシング。拾ったどぎつい黄色の木の実を鑑定したところ、


======

シオドキ 果実

甘さより酸っぱさのある味。生食には向かないが、加工品としては美味。

食後二時間気配察知上昇

======


「これをしぼって…うん、レモンとシークワーサーの間みたいな感じ」


そこにロプラオイル(オリーブオイルっぽい)、乾燥した香草、胡椒と塩を振ってシオドキの皮を削り、香り付けする。ぐるぐると混ぜて多めに作った分を瓶へイン。


今度別の時にも使えそうだ。


「さて、たまっごまご~君をどうしようかな?面白味のあるものに…ぶふっ」

それはさておき。


スタンダードにオムレツ。半熟の目玉焼き。だし巻き卵…無理。

「やはり、オムレツにしましょう」


専用のパンを亜空間収納から出して、そしてそこにバターを敷く。若干色がついたところで生クリームを混ぜた卵液を流し込む。一回転箸で混ぜ、空いたスペースに流体のままの卵液が流れ込む。


「今だっ」

ひょいひょい、とパンを繰り、綺麗に手早く丸めて半月状になる。鶏の卵ではないが良いサイズ感だった。


パンをトーストしていると、ルリエが起きてきた。その髪を梳かしてアップにまとめ、黒レースのリボンで縛り、顔を洗わせて拭く。


「さて、そろそろ食べましょうか。いただきます」

「全ての恵みに感謝しまぁす…ふぁぁ」


「いただきますってのは何なんだよ」

「ええと、そうですね…命をいただいたもの全てに感謝するため、略奪行為をしたことに対する断り、みたいなものでしょう」


と、数人が戻って来た。青い髪の鎧、ジルベルト。そしてその後ろに赤い髪のナイスバディの女性。そしていかにもメイジですというようなメガネのひょろっとした青年が来た。


「あらぁ、獣人がいるのね。ハーイ、ちょっと火借りるわね」

「ジル、この人たちが?」

「ああ。こっちが透、こっちがレイ……その女性は……」


「エリル。可愛いでしょ」

「は、初めまして……ジルベルトさん」


ナイスバディはアーニャ、メイジはクロードだという。僕らは食べ始めた。それを見て料理を始めるのだが、どうにも手際も悪い。食材が新鮮でないことはまだわかるのだが、調理にも問題がある。


まあ、すぐにいなくなるのだし、知ったことではないが。


「ね、そこのお兄さん。ちょっとあたしと良いことしましょうよぉ」

「は?」

「獣人族って大きいって聞くから、一度ヤってみたかったのよ?」


顔をしかめてレイがアーニャを睨みつける。

「安心しろ、お前ごときじゃピクリともしねぇよ」


「あら、そう?じゃあ襲っちゃおうかしら?」

「アーニャさん、無理やりじゃ楽しいものも楽しくなりませんよ。そろそろご飯もできるみたいですし、レイさんをからかうのもその辺にしてあげてください」


「あら、中々良い男ね。わかったわ」

「おい!恋人以外にモーションかけるなってんだろアーニャ!」

クロードさんが焦る。


「えー、からかっただけじゃなーい。もう、嫉妬は見苦しいわよっ」

「んだと!?」



というかこの空気の中ジルベルトがどうして平気なのか気になっていた。カップルについていくなんてちょっと正気の沙汰じゃない。いたたまれなくなるだけだと思う。


「言っておくが二人とも、宿以外で盛るな。この人たちにも迷惑がかかるだろう」

「「ジルの頭でっかち」」

「んだとこのガキャア!」


一つ分かったのは、三人が息の合ったコンビプレーが出来そうだ、ということだった。

透「そう言えば、ルリエは魔王なんでしたっけ。今の魔族の扱いってどうなってるんですか?」

ルリエ「今は魔族大陸で分断されてるわ。攻め込んで来たらそりゃ殺すわよ、でも仕掛けはしないし、観光客は丁重に扱うわ」

透「なるほど合理的です。僕は自室に兄を招き入れることはありませんでしたが、友人は歓迎しましたし」

ルリエ「……あなたのお兄さんが本物の勇者なのか気になるわよね、ホント……」

次回は「レイさんの故郷に近づきますよ!」また乗っ取りか!?

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