2 城から出るようです。
書きだめしてたからハイペース。
僕は部屋に入ると、手荷物を机の上にゆっくり置いて(ガラスの机だ)、あたりを見回した。
扉は樫製で、頑丈そうなつくりだ。そして、急遽用意された部屋ではあるが、客間であったのだろう、ベッドやサイドテーブルその他色々と置いてある豪奢な部屋だ。
僕は二重底になっていたカバンから短刀を取り出して亜空間収納にしまう。同じように、僕が針と呼んでいる武器も取り出す。これは糸をつけたりして飛ばし、罠を張ったり再利用する武器だ。貫通力は低いし抜こうと思ったらすぐ抜けるが、先端が尖っているために敵の気をそらせるのだ。
何で持ってるかって?
暗器マニアの父親と遊んだからだよ。一通り使えたりするよ。
「さて日記でもつけるか」
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2019.6.23
異世界に来た。情報と技術とか色々と要求してそのあとは放逐してくれと頼んだ。
俺は真面目に扱われていない。
とりあえず本を好き勝手読んでいいそうだ。
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6.28
剣術の稽古をした。おっさんの汗がかかってキモかったので、後ろに吹っ飛んだら、みていた女性剣士がジロリと睨んで来た。こわい。
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7.8
今日は女性剣士と戦わされた。それで隠していたことがばれた。
あの剣士が衝撃を受けていたが気にしないことにする。
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7.19
ゴブリンを倒した。数回に分けて攻撃して、あとは任せる。
攻撃を受けるわけにいかないから、やり辛い。
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7.21
明日出ていけと言われた。まあ特に大変でもないので割愛しよう。
王様と謁見したら、武器をもらって加えてお金をくれた。というかローブ着た大臣がニヤついていたから、鑑定してみたら金貨一枚と銀貨十枚を除き偽物だった。
どうせ武器なんていらないのに。
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「じゃ、さよならマリアさん」
「む…主はかわいらしいから攫われるなよ?裸の付き合いもした仲だしいつでも頼れ」
赤毛の綺麗なお姉さんはにっこりスマイル。この騎士があの例の女性騎士だ。ちなみに裸の付き合いというのは、女性同士だから見られてもどうということはない。
「あはは、冗談キツイよ。僕が捕まるわけ無いじゃん…」
「だな。とりあえず君のギルド登録書だ、受け取れ。それからドワーフの工房への地図と、君の優秀さを書いた私の紹介状だ」
マリアさんに渡された剣を、『ものづくり』を使って作り直した。何がいいかな、と考えて。
で、できたのがこんなものだ。
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守護精霊の剣 レア度 ★★★
耐久性 ∞
鋭さ お墨付き
重さ 操りやすい
特殊性能 守る相手のために振ると全数値に+1000 武器破壊
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「またなんとも不気味な剣を…お前という奴は」
「まあスルースキルには及ばないですよ。ーーじゃあマリアさん、僕行きますね。今度会ったら、女子会しましょう」
「ふふ、私も勇者の仲間になれたら何処かで会うかもしれぬな。万に一つも無いだろうが、君はまた必ず戻るだろうから」
僕はマリアさんのタコができて硬くなった手をぎゅうっと握り締めて、涙を一粒だけ零した。
そのままうつむいた僕に、マリアさんは最敬礼をしてーー笑顔を見せた。
「いってらっしゃいませ!」
「……行ってきます!」
僕の旅が、始まった。
透「メイド楽しみにさせる終わりなのにそりゃあ無いよ。というか僕の意思を無視した僕っ子なんて」
だって僕っ子可愛いもん。男装女子も好きだもん。
透「作者、やりたい放題だね。流石流石」
褒められてはいないようだ…。じゃあ次回予告を気を取り直して「次回はドワーフに弟子入りします」おいこら!