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王妃の鏡  作者: 千穂
4/5

ウワサの背景1

今、城内で囁かれている噂がある。


曰く、


王妃は、王や王太子が亡くなった途端に、遺された白雪姫を虐げている。と


事情の知らないメイド達が偶々後宮の白雪姫の現状を聞き、上っ面の情報だけで、

判断しているのだ。


お可哀想な姫さまと。


人は波乱なストーリーに食いついてくる。

ドラマチックで可哀想で非現実的な。

況して、白雪のように見目が良く、心優しい女の話は老若男女誰しも耳を傾ける。

いつの世もそんなものだ。



そして、白雪が何故このような仕打ちを受けているか、憶測が飛び交う。

真に理解しているのは王妃以外はいない故に尚更、噂は、尾ビレ背ビレがついてくる。


宰相や城代ですら、次代を担う白雪姫を鍛える為に、考えを改めさせる為に、やたらと圧力をかけている程度の認識なのだ。


何も知らぬ者達は、はたから見ていると、

白雪姫虐げて、城から追い出したい、

あわよくば亡き者にしたい、

自分の天下の為に、実は王や王子達も裏で手を回していたのではないか?

そんな陰謀論まで出てきている。








「もう、いやだ。」






噂の内容と広まり具合を城に潜む影から決済書類と偽り上がってきた暗号文で知った王妃、現在は女王となったハイデは思わずつぶやいた。


「はい?」


つぶやきは存外大きい声量だったらしい。

女王の執務室を訪れ、この執務室でしか扱えない機密書類に目を通していた宰相にまで聞こえていたようだ。

宰相は書面から視線を上げ、此方を向いている。


「あー……。なんという事でもないのだ。

喉に、その、違和感があって、な?

気になってしまって、気が散るので、

休憩がてら、茶でも飲んでコレを解消出来

ものかと考えておったところなのだ。」


正しくは、


あー……。心が折れるわぁ。

でも噂を気にして国を傾けるわけには行かないから

休憩がてらお茶でものんで、気分転換しよっと


である。


貴族として生き、生まれたときから王族になる位置にある姫として教育されてきた。


顔に出さず、心と口で別の内容を紡ぐ事は息を吸う事と同じような感覚だ。








ただ、今は少し涙目になっているかもしれない。

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