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 俺は秋和を連れて、パーティー会場へと足早に戻ると、一番先に視界に入ったのは兄様と喋りながら、嬉しそうに笑う春馬くんの姿だった。

 ……春馬くんは長男らしいし、兄が欲しかったのかもしれないなと考えていた。

 俺は彼ら二人に営業スマイルを浮かべながら、嫌がる秋和を引きずるように俺は近くまで歩き、兄様と春馬くんに声をかける。


 俺は兄様に対して、

「……兄様ってば、のんきに喋っていらっしゃいましたか、春馬くんと。

“今度”こそ、俺を守って下さるのではなかったのですか? 相手が秋和だったから良かったですが……、兄様は秋和と顔見知りだったから、秋和の超能力だと知っていて慌ててなかったようですけど……、俺は初めて家族以外の相手の超能力を見たのですよ? 「安心しろ」の一言くらいは、声をかけて下さっても良かったんじゃないですかね〜、と俺は思うのですが」

 と、俺は冷静に淡々とした口調でそう言うと、兄様は、ひきつったような表情を浮かべ、若干冷や汗を掻きながら、俺に兄様は「すまない」と謝った。


 フフフ……と、腹黒く、不敵な笑みを浮かべていた俺は、……彼らが同じ事を考えているとは思ってもいなかった。

((出たー。滅多に怒らない騎里が怒った時に見せる、ブラックスマイル))

 と、彼らはまるで以心伝心かのように、そう考えているとは俺は知らなかった。


◇◆◇◆


 一旦、秋和と春馬と別れた後に兄様と父様と俺は合流し、パーティーの参加者や主催に挨拶回りへと向かった。

 俺は子供だからか、貴族達は敵意を向けることはなく、逆に親切で、優しい態度で俺に対しても接してくれた。……兄様曰く、礼儀正しい子供には貴族達は優しく接してくれるのだと、彼は言っていた。

 …………じゃあ、誰が俺に敵意を向けたのだろうか、あれは俺の勘違いだったのだろうか。……いや、敵意を気配と間違えるように、俺は鍛えられてない。


 あれは間違えなく、俺に対しての殺意。


 後で、……兄様に相談しよう。

 何故……、兄様は秋和には“兄さん”であった記憶を持つことを話し、俺だけには、そのことを話してくれなかったのか、問い詰めた後に……。

 俺はそう考えながら、先程だけ別行動をしていた、秋和達と合流しようと彼らを探していると、とある一角から怒鳴り声が聞こえたので、もしかして……と思いながら兄様と顔を見合わせ、俺らは急いでその声が聞こえる方向へと急ぐ。

 しばらく早足で歩くと、ニッコニコと笑いながら、恐らく噂の久夜様のことを構う秋和の姿が見え、俺と兄様は同時に頭を抱えるような仕草をした後に、三人の元へと急いで駆け寄った後、俺は何とか二人を宥めようとする春馬くんを褒めるべく、彼の頭をなるべく優しい手つきで撫で回し、そして兄様は春馬くんを困らせた二人に対して、とても良い笑顔で笑ってた。


 兄様はあまりの満面の笑みで、恐ろしく感じる程のとても良い笑顔で、

「久夜様を構うのも程々にしろよ、秋和」

 と、兄様は言うと、

「ごめん、暁さん。つい、やり過ぎちゃった。……少しだけ、反省してる」

 そう素直に、秋和は兄様に謝った。

 そんな秋和に、兄様は満面の笑みから真剣な表情に表情に変えた後、素直に反省をする姿を見せた秋和を優しく撫でた。


 そんな秋和の姿に、久夜様は惚けたような表情になっていて、そんな久夜様の表情に思わずと言ったような苦笑を見せた兄様は、彼にこう言った。

「……久夜様、お怒りになるのもわかります。が、いちいち反応をしていてはキリがありません。……なので、秋和は政治を仕切る際の世渡りを覚えるための練習相手と、思ってみては如何でしょうか?

世の中には、秋和のように誰かを構うのが好きな人間もいらっしゃいます。

そんなことに一つ一つ、反応を見せていては貴方様が疲れてしまいます。ですから、秋和を“政治を仕切る時の世渡りを覚えるための練習相手”と割り切り、冷静に対象をするように試みては如何でしょう?

何でも、“完璧”にこなせると噂の“久夜”様なら、直ぐに身に付けられると思い、私は提案したのですが……、まだ“三歳児”である久夜様では難しいことでしたか……」

 と、兄様はまるで台本を読むかのように、役者も吃驚な演技力を見せると、

「何を言う、暁。俺は時期王となる男だぞ、そのくらい直ぐに身につけてみせる」

 そう久夜様は簡単に、兄様の言葉に乗せられ、彼は鼻高々にそう言った。


 俺はそう言う所が、まだまだ子供なんだろうなーと考えた後、……同時に間違えなく、兄様は“兄さん”だと、俺は先程の会話で確信した。


 前世の“兄さん”は、誰かの向上心を熟知させるような言葉を良く知っており、……久夜様のような時と同じように、誰かの向上心を上げようとする時には、まるで台本を読み、演技をするような不自然な喋り方をするのだ。


 これで兄様を言い逃れをさせることなく済むなと思いつつ、俺は営業スマイルを崩さすことなく、春馬くんを撫でるのをやめ、三人の様子を眺めていた。

 その後、俺は久夜様に挨拶をしてから、明日には馬車で屋敷へと帰ると言う理由で、馬車移動に慣れていない俺達二人は、早めに王族から用意された部屋へと戻るのであった。

 これで父様に聞かれることなく、……兄様が“兄さん”であることを俺に話さなかった理由を聞くことが出来ると俺は考えながら、部屋へと向かって、兄様と歩き出した。



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