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新キャラ登場。
「主人公だけど傍観者で、脇役だけど?」を読んで下さり、ありがとうございます。
拙い文章力ですが、よろしくお願いします。
昨日の馬車での疲れのせいか、王城に着いた後、俺は直ぐに眠ってしまった。
早朝から鍛練を行うため、いつもの癖で、早朝に起きてしまった俺は身支度をし、何を思ったか、部屋の外へと出ると、グスングスンと子供の泣く声が聞こえて来た。
俺は思わず泣き声が聞こえる方へと、恐る恐る近付いて行くと一人の男の子が泣いていて、俺はその子の肩を軽く叩くと、彼は俺の方へと振り返り、泣きながら叫ぶようにこう言う。
「ごめんなさい、いつも失敗ばかりしているから、幽霊さんに食べられちゃうんですね……、僕。久夜様はもう呆れて怒らないけど、やっぱり過去の王族様達は僕のことを怒って、子供の姿に化けて出てきたんだぁ――!!」
と、あまりに彼が絶望的な顔付きをしながら叫ぶから、俺は咄嗟に思わず、彼を優しく包み込むように抱きしめて、彼の背中をポンポンと数回優しく擦ると、彼は叫ぶのをやめて、俺に抱きついた。
この子、俺と同じくらいの歳だろうけど……、男の子なのに女の子に良く間違われることに悩んでそうだなぁ〜と考えながら、彼が離してくれるまで待っていると、誰かがこの部屋にやってくる気配がした。
俺は思わず、彼を抱き抱えて立ち上がったと同時にこの部屋のドアが開かれ、
「あら? この部屋から春馬の声が聞こえたような気がしたのだけど……。
あら? 一條家の騎里様じゃないの。もしかして、騎里様、春馬に王族の幽霊だと間違われたんでしょう? 四歳にしては気品に溢れているし。
王族の幽霊に間違われても仕方がないわ、……春馬を宥めてくれてたの? 騎里様、ありがとう、ここまで春馬が信用しきっている顔なんて、初めて会った人では初めて見たわ」
と、キラキラオーラを纏うイケメンが、オネェ言葉を使っていることに数秒間の間、呆然とした後、俺はニッコリと営業スマイルを浮かべ、こう言った。
「この国の宰相である西條春来様に褒められる等、光栄に思います。……改めまして、私は一條騎里と申します、宜しくお願い致します」
と、そう言葉にした後、俺は春馬くんを立たせるように床に降ろした後、春来様に対して、直角に一礼をした後、頭を上げたと同時に再び、営業スマイルを浮かべる。
そんな俺に、
「本当にあの無表情で戦闘狂の子供なのかしら、愛想も良いし、何よりも礼儀正しい」
と、そう言葉にする春来様に俺は、
「正真正銘、父様の息子でございます、春来様。……似ていないのは自覚済みですが」
そう答えると、ギュッと横から抱きしめられた気がしたから、俺はその方向を見ると、そこには涙目になりながら、春馬の姿があった。
「気にしてませんから、泣かないで?」
と、俺は弟を宥めるかのように、彼の目に溜まった涙を懐から取り出したハンカチで拭った後、春馬くんの頭を撫でる。
そして俺は、
「春馬くん、失敗は成功のもとですよ? その失敗を次の機会にいかすのです。……春馬くん、誰だって失敗はしてきてます、春来様だってそうなのですよ?
春来様はその失敗の経験をいかし、成功の道へと導けたから、春来様は随一の宰相になれたのだと俺は思います。……幼いうちから、失敗を知り、それをどういかすのか、それが今の貴方の課題だと思います。
その課題とどう向き合うかで、大人になった時に、失敗する数はだいぶ減ると思います、……今は失敗し、自分に出来ることを探しましょう?」
と、俺は満面の笑みでそう言うと、春馬くんは勢い良く顔を上げて、俺に向けて、照れたような微笑みを浮かべながらこう言う。
「ありがとう、騎里くん。僕、頑張るよ!」
と、そう言い、俺の腕に春馬くんは頭をグリグリとさせながら、上機嫌だった。
(……父親として、何かが負けたような気がしたわ、…………何でかしら?)
と、春来様がそう考えているとは知らずに、俺はいきなり懐いてきた春馬くんの話を満面の笑みで耳を傾けるのだった。