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 バットエンド編3の最後の方、少しだけ書き直しをしました。

 この章では他の章よりも残酷描写があります。苦手な方は気をつけて下さい。


 俺の手首には秋和によって手当てされ、巻かれている包帯。手首の傷に触らないように秋和に手を繋がれ、食堂へと向かう。

 食堂が近付けば近付く程に悪寒が走る背筋、その度に俺は足を止めようとしたが、秋和はその度に柔らかい優しい微笑みを浮かべ、俺に歩き出すように無言で訴える。

 俺はその度、唇を噛み、一歩一歩ゆっくりとした足取りで歩き出す。

 食堂の中に入って行くと……、テーブルの上に立っている王譲椎羅の姿があり、彼女は背筋の凍るような笑みで笑った後……。

 兄様の使っていた鋏型の科学武器を何処からか取り出し、目では見えないくらいの速さで彼女は移動し、秋和のみぞおち部分を科学武器で刺し、直ぐに椎羅は科学武器を勢い良く、秋和の身体から抜いた。


 秋和は血を吐き出した後、大量の血が流れているせいか、彼は力が抜けるかのように顔から床へと倒れ込み、直ぐに秋和は動かなくなった。

 俺は呆然とする。こうなるってわかっていた、わかっていたと言うのに、秋和を失ったと言う恐怖で自分の身体が縛られたかのように、俺の意志で身体を動かす事が出来ない。

 椎羅はそんな俺に近づいてきて、俺だけに聞こえるように耳元で、俺を誘惑するかのようにこう囁く。

「『貴方の大事な者がいなくなってしまったわね、貴方は彼がいなくなっては生きていけない、……そうでしょう?

このままでは大事な、大事な秋和くんに会えなくなってしまうわ。……でもね、私はそんな貴方の願っている事を叶えてあげられる。さあ、私の手を取って。私に望んで。……もう一度、一條騎里としてやり直したいと』」

 と、彼女はそう誘惑する。そんな彼女の言葉を聞いて確信した、……“あの娘”も汐音の魂は“アクマ”に取り込まれてしまったんだと。

 ……コイツがアクマだ、と俺は根拠のない勘だが、そう感じていた。


 “アクマ”の声は耳にこびりつくかのように、俺の脳内に残る。彼女?が囁いたあの言葉が何度も何度も、俺の脳内で繰り返し流れ続ける。

 俺は下唇を血が滲み続けるくらいに噛み、“アクマ”の誘惑の言葉に負けないように耐え、秋和を失った事で始まる自殺衝動を起こさないように、俺は冷静さを保ち続けていた。

 “アクマ”はそんな俺の葛藤に気づいてか、彼女?はまるで三日月の形のように、口元を歪ませるように俺を嘲笑った後、“アクマ”はこう言葉を俺の耳元で囁いてきた。

「『貴方が望んだ事だもの、秋和くんだって許してくれる。……寧ろ、きっと喜んでくれるはずよ。大好きな騎里くんと一緒に居られるんだもの。……それに貴方の元を去った暁さんも、貴方の元へと帰ってくるわ、……騎里くんがそう私に望んだら』」

 と、“アクマ”は俺を誘惑をする。……けど、俺の決意は揺るぐ事はない。


 だって……、

 秋和が本当に望んだ事は、偽りの人生を何度もずっと歩む事ではなかったから、俺は“アクマ”の誘惑に耐え続ける。

 ……それで、自分の身体を傷つける事になろうとも、俺は偽りのこの人生を壊すと決意したんだ。

 俺達の存在そのものが、兄様の罪そのものだから。何も事情の知らない、……この世界の人々は俺達をこれ以上は見ていけないと思うから。


 兄様が“アクマ”を受け入れるなら、

 俺は“アクマ”と言う存在を拒絶する。


 ……俺に天使が出した契約の条件はね、

「俺に行動で示せ」

 だったから。

 天使、これで契約を果たせたよね。

 ……これで“俺達”が望んだ事を叶えてくれるよね、……俺は俺なりに行動で君に今から示すから。


「それは無理なご要望だな、アクマ。お前の言葉では俺を狂わす事も、俺を手のひらに転がして、君の思うがままに操る事も出来やしないんだよ。

だって俺はもうとっくに狂っているし、それに俺の世界には君はいないから君の言葉は俺の耳には届かない。俺は守りたいと思った人間の言葉しか、聞こえてないのだから」

 と、俺はそう言った後、俺はまるで感情を何処かに落としてきたかのように、表情がなくなった。


 終わりにしよう、

 繰り返された俺達の人生を、とそう考えながら、俺は行動に移し始めた。



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