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18

 ゆっくりと重たい瞼を開くと、視界いっぱいに映る秋和の顔。俺はそんな彼の顔に向けて、両手を伸ばし秋和な頬を包み込んだ後、彼の額と俺の額をくっつけ、秋和の顔が近すぎて見えないくらいまで、俺は彼の顔を近づけていた。

 目を閉じ、顔を近づけたとしても俺と彼の唇は合わさる事はない。……先程の正体不明の人物が言った通り、お互いに抱くこの感情は恋愛感情に酷似した、お互いに依存し合った友愛感情なのだから。

 体温を感じるものの、秋和が自分の側にいるか、不安になった俺は半分程、瞼を少しの間、秋和に気付かれないように静かに開く。すると秋和の閉じた瞼が見えて、秋和が側にいる事を確認する事が出来た後、安心した俺は再び、静かに音を立てる事なく、ゆっくりと瞼を閉じた。

 ……正体不明な彼は言った言葉を信じる事にした、俺達がお互いに抱く友愛感情は真実のものだと言うこの言葉を。本来終えるべきだった一度目の星和でさえ、正体不明な彼は俺達はお互いへの友愛感情に依存していたと言っていたのに、五度も転生し直せば、秋和への友愛感情が恋愛感情に酷似してきているのも、納得が出来る。……だから、俺は正体不明な彼との取引を行う事にした。


「秋和、あのね――」


◇◆◇◆


 秋和の話だと、どうやら俺は一ヶ月眠っていたらしい。俺が眠っている間に起きた、真っ白な空間で正体不明な彼と取引した事と、彼が俺に教えてくれた前世の記憶の事について俺は秋和に話した。

 そんな話をした後、秋和は上半身だけ起き上がらせている俺を軽々と持ち上げて、秋和自身の膝に俺を、秋和と向かい合わせになるように、彼は俺を膝に乗っけた後、秋和は俺の肩に顔を埋めるような仕草をしてから、俺を包み込むように優しく抱きしめる。

 ああ、また秋和に心配させてしまった……と考えながら、俺は秋和のそんな行動を抵抗せずに受けとめ、俺は秋和が“生きている”とわかる、この優しい温もりを感じていた。

 四度目の星和の時、藤和の優しい温もりが消えて、藤和の優しい、見るだけで安心する柔らかな微笑みが見れなくなった時の記憶を思い出し、俺はポロポロと涙腺が壊れたかのように、俺は声を殺しながら、大粒の涙を流す。

 涙を流している事に気付いたのか、秋和は俺の首元から顔を離し、俺の涙を人差し指ですくう。俺はそんな秋和の手を両手で包み込んだ後、彼の手に自分の頬をすり寄せ、俺は涙を流しながら瞼を閉じた。

 俺は数秒間瞼を閉じた後、俺はゆっくりと恐る恐る瞼を開いていき、まるで花が咲いたような笑顔を秋和に向けている事が自分でわかるくらいに、穏やかな気持ちで秋和に対して、微笑みを浮かべていた。

 そんな俺の表情につられるように、まるで目を細めて笑う猫のように、秋和は俺に向けて微笑みを浮かべ、俺の頬を優しく撫でた瞬間に秋和と俺は月に照らされ、深めるように俺達は穏やかに笑う。

 俺は言う。

「終わりにしよう、」

 と、そう言葉をきると、彼は俺が言いたい事を察したかのように秋和は、

「繰り返す死を」

 そう彼は言った。


◇◆◇◆


 月明かりのように優しい天の光に照されて、静かな動作で羽根を広げる天使は一瞬だけ悲しそうな表情を浮かべた後、彼は穏やかに微笑んだ。

 ……これから生まれるであろう、新たな神の使いの魂の器を撫でながら天使は更に微笑みを深めた後、彼の表情は一変して静かに目を閉じて一筋の涙を流していた。

『ああ、魔王。君から大切な人を奪うのは心苦しいよ、だけどね……、魔王。それが君に与えられた罰なのだ、禁忌を犯した君の……。だが、ただ奪うだけでは君は壊れてしまうだろうから、……ただの生きているだけの人となってしまうと思うから。だからさ、魔王……』

 そう天使は言うと、数秒間だけ目を閉じ、神世界の天の光を浴びた。彼はまるで歌うかのように、祈るかのように彼はたくさんの思いを込めて、先程の言葉と繋げるようにこう言う。

『君にチャンスをあげる、君の大切な人を君の元へと帰す事は出来ないけれど、“彼”がずっと君の側に入れる覚悟があるなら、“彼”だけは君の世界に存在し続ける事が出来るだろう。……騎里が住む世界は、君が創り出した君の世界。だけど、運命は君を脚本家として選ばなかった。

君は騎里がいる世界の、たった一人の真実の王。だけど、君には人の運命を書き換える事は出来ないし、許される事はない。……君が描いた理想の未来予想図は、叶わない。魔王様、俺は貴方を嫌いになる事は出来なかった、……だからこそ貴方の過ちを正す』

 天使は微笑む、慈愛の籠った眼差しで魔王が創り出した世界を傍観しながら、固い決意を忘れないように、この決意を吐き出すように彼は魔王を思い、そう言葉にした。


『バットエンドへの歯車は動き出した。だが、バットエンドの先が全て、悲しいものばかりじゃない。……バットエンドの先にも、“幸福”はある。

君はそれを信じる?

魔王様』



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