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新キャラ登場、名前だけは中等科編で登場している、風紀委員長さんと風紀副委員長さんと、登場人物紹介1に載っているあの方々のお兄さんです!!

 授業を受ける時以外は秋和に俺はべったりとくっついていたが、クラスメイト達はその事を気にすることなく、いつものように過ごしていた。

 彼らから見れば、俺達が一緒にいることは当たり前の光景で、あまり喋った事のない俺の変化なんかに気付く事はないのだろう。

 忘れたくらいにトラウマになった夢を見たのだ。確かに俺は寝たはずなのに、何処かだるくて、保健教諭は遠目から俺の事を心配そうに見ていた。

 遠目から見てないで、話しかければ良いじゃないかと思うかもしれないが、秋和の近付くんじゃねーと言わんばかりのオーラに圧倒されて、俺達に近付く事が出来ないのである。

 俺も秋和と同じく、一部の人達以外には話しかけて欲しくなくて、いつもなら止めるその圧倒的オーラを素知らぬ顔をして、見逃してしまっている。


 今朝だってそうだ、朝食を摂る時に秋和の喧嘩友達の久夜様と会っても、俺を気遣うように時より頭を撫でながら食事をするだけで、久夜様が呆然としてしまう程に、秋和は彼を構う事はなかった。

 春馬くんはニコニコと微笑みながら首を傾げた後、呆然と立ち尽くす久夜様に食事を摂るようにと促した程だ。……他の生徒は珍しい事もあるんだな、ぐらいにしか考えていないのだろうけど、幼い時から一緒にいた友人二人は事情は聞かなかったものの、不思議そうな顔をしながら朝食の時、俺らを眺めていた。

 久夜様から、

「いつも以上に距離が近いな、二人とも」

 としか、言われなくて俺は安堵していたが、いつもは嬉々とした表情で久夜を構う秋和は、ただひたすらに淡々と朝食を摂りながら時折、俺の頭を撫でて、俺に向けて柔らかい微笑みを浮かべるだけだった。

 いつも以上に距離が近い俺達を見ても、彼らは何があったのかと心配そうに、不思議そうな表情をしていたものの、今回の出来事については絶対に話さないと言うことを察しているのか、久夜様と春馬くんは俺達に何があったのか、事情を聞くことはなかった。

 兄様も今日に限って、俺達からは表情の見えない位置で、鷹宏さんと朝食を伴にしていたのだけど、兄様は何故か、いつもの余裕のある雰囲気とは違って、今日は若干余裕のなさそうな空気を纏っているような気がした。

 鷹宏さんはそんな兄様の変化に気付いているのか、心配そうに兄様の背中を撫でる姿を数回遠くから見たのだが、やっぱり兄様の顔の表情が見えることのなかった今朝。


 ねえ、兄様。貴方は俺達に何を隠しているのですか? ……貴方は何を一人で抱えているんです?

 兄様は秘密主義なのは俺達は良く知っています、だけど俺は兄様が好きだから、少しでも力になりたいのです。……俺は兄様のその苦しみを、少しでも和らげたいのです。

 貴方がどんな秘密を話してくれたとしても、四度“星和”として歩んだ人生で貴方は何度も俺達を助けてくれました、……例え貴方が苦しんでいる事が“前世”に関わる事だとしても、俺は貴方を責める事なんてしません。

 だから、兄様。貴方の苦しみを話して下さい、……どうして“前世の俺の死に関わる夢”を見た時の今日に限って、貴方は少し焦ったような雰囲気をしているのですか?

 兄様が隠し事をする時は、必ずと言って良い程に“俺達を守るための嘘”です。それ以外に兄様は、俺達に隠し事をする事はないことを俺達は良く知っています。

 だからもう、隠していることを俺達にも話して下さい、……兄様が俺達のために苦しむ姿なんて見たくはありません、俺は全ての真実を受け止める覚悟は出来ていますから、だからちゃんと話して?

 それとも、俺達が頼りないのがいけないから、兄様に頼って貰えないのかな? ……あのね、兄様。俺達はね、貴方が思っている程、心は弱くないよ。

 だからさ、俺達を信頼して話してよ、前世の時の真実を。……貴方は、真実を知っているんでしょう?

 だから、悩み苦しんでいるのでしょう?

 ねえ、兄様。どうしたら、貴方に頼って貰えるのですか? ……俺達は貴方に頼って欲しいのです。

 と、そう考えながら、俺は秋和の手首を手で握りしめ、夕焼けの日差しを浴びながら夕食を食べるために食堂へ向かうのだった。


◇◆◇◆


 食堂へ着くと同時に聞こえたのは、強気溢れる女の子の声と、のんびりとほんわかするような口調で話す男の人の声。

「あのね〜、君が強いのはわかっているんだよ〜。でもね、君は強くても女の子なんだから〜、自分より強い男の人に挑んで無事で済むと思ってるの〜?

自分の力を過大評価し過ぎだと思うなぁ〜、僕が見た限りでは君と同じ年の男子達の中で、君より実力がある子は最低でも十人はいるんだけどなぁ〜」

 と、にっこにこと笑いながら彼は、その女の子に挑発するような発言をした後、彼女が苦虫を噛んだような表情をするのを見て、彼は更に深く腹黒さを感じる微笑みを浮かべた。


 そんな彼の腹黒い笑みを見て、俺は自然と彼の正体の答えがわかり、思わず苦笑しながら秋和にしか聞こえないように、小さな声で呟くようにこう言った。

「…………風紀委員長……、山田陽介(やまだようすけ)さん……?」

 と、俺は呟くようにそう言うと秋和は、そう言う俺に対してニコニコと柔らかく、優しく微笑んだ。

 その後、秋和は「正解」と声に出さずに、その言葉を口パクでそう言った後、彼は近くに居る俺でも耳をすまさないと聞こえないような声でこう言う。

「……山田風紀委員長と言い争いをしている女子が、隠れヒロインであり俺の義理の妹である王譲椎羅(おうじょうしいら)だ。

まあ、山田風紀委員長のイベントはゲームのシナリオ通りに進んでいるけど、アイツ何気に好感度の上がる選択肢選んでやがる。

山田風紀委員長は、一見は癒し系のイケメンに見えるだろうし、口調自体は優しいんだが、性格は俺様で腹黒くて策士だ。体格自体は細身だが……、デメリットをいかす戦い方をする実力者……と言う設定だ」

 と、秋和のキャラ説明を聞いた後すぐに、俺は視線を山田風紀委員長の方へと戻すと、椎羅さんは複雑そうな表情をしながら、頬を真っ赤に染め上げながらこう言った。

「じゃあ、誰が私より強いと言うのよ!? ……それとも、女だからって馬鹿にしているのッッ?!」

 そう彼女は言葉にすると、山田風紀委員長の雰囲気から若干、面倒くせーなと言うような雰囲気が漂っているものの、彼は変わらない腹黒そうな笑みを浮かべたままだった。

 そんな彼の隣に立つ、山田風紀委員長の右腕である木崎道一(きざきみちかず)は人畜無害そうな、若干口元が引きつったような表情を浮かべるだけで、彼は山田風紀委員長のやることをただ見守るかのように、黙って見ているだけ。

 そんな沈黙に俺達を含む周りの生徒は、ただその様子をゴクリと唾を飲み込みながら眺めていたその瞬間、敢えて空気を読まないかのように突如現れた、たった一人の発言で、この沈黙とした空間を一瞬で破壊してしまった。


「あーお腹がすきましたね。皆さんもお腹すいているはずなのに、何時まで皆さんの食事を妨害するつもりなのです、椎羅。

折角の美味しそうな料理も貴方が起こした問題のせいで、皆さんの料理が冷めてしまっています。それにほら、そこの現風紀委員長さんの陽ちゃんの整った顔がイライラってしちゃってるじゃないですか。

陽ちゃんのいつもの“猫かぶり”しているキャラ作りがブレちゃうから、あんまり言葉の追求はしないでくれませんかね?

そんなしつこく聞くから、何時まで経っても鷹くんに怖がられ、秋くんには避けられるのですよ」

 と、柔らかく優しい敬語なはずなのに、時より心にグサッとくるような毒を吐く彼は、高等科卒業生で成績上位者十五名だけが通える学科、専門高等科に通っている……秋和の兄弟の長男である王譲柚季(おうじょうゆずき)こと、柚兄ぃの姿があった。

 あっ、ちなみに柚兄ぃと呼んで欲しいと要望があったので、彼の事を俺も柚兄ぃと呼ばせて貰ってる。

 “言語”について研究ばかりしていて、食事を摂ることを一週間くらい忘れるのは当たり前な彼が食堂に現れた事に、驚きのあまりに傍観者であることを忘れて彼の名前を思わず、秋和と同時に呼んでしまった。


「「柚兄ぃ!」」


 そして柚兄ぃは、俺達の声がする方へと満面の笑みで振り返るのだった。



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