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 残酷描写を表現する文章があります。

 十五歳以上の方でも感受性の豊かな方、残酷描写が苦手だと言う方は閲覧をする際は、この話に関しての閲覧するかについては、自己責任で宜しくお願いします。

 

 俺は夢を見た、

 前世の頃の夢を。


「星和、迎えに来た」

 と、大学時代の前世の彼は締まりない顔で微笑みかれながら、友人である彼女に話しかける“俺”のことを迎えに来たと言い、藤和の元へと向かうため、素早く教材をまとめていた。

 そんな“俺”を見て、俺は懐かしい夢だな、と感じながら友人である彼女に断りを入れた後、“俺”は真っ先に藤和の元へと駆け寄り、彼に微笑み返し、藤和にお礼を言う。

「いつもありがとう」

「いえいえ」

 と、学科が違くなった時から日常になったこの言葉を言った後、夢の中の“俺”は幸せそうに微笑むのだった。

 そんな“俺”の姿を俺は騎里の姿で、まるでドラマを見るかのように前世の世界に関わる事が出来ない、魂だけの存在となっていた。だから俺は、ただ彼らの様子を眺めている事しか出来ない。

 ふと何を思ったか、俺は友人であった彼女の方へと顔を向けると、俺に対して笑顔を向けていた友人は、思わずゾッとするくらいに顔を歪ませ、そんな彼女の目には嫉妬心が満ち溢れていた。

 その視線の先に居たのは藤和で、彼は前世の“俺”に彼女のその視線を気付かせないように、“俺”を嫉妬の視線から庇うように藤和は俺と共に、にこやかに笑いながら歩いている。

 “俺”はその事に気付かなく、ただひたすらに藤和の話に聞き入り、……締まりのない微笑みを浮かべていたのだった。

 ……まるで視界には藤和しか映っていないかのように、ただ“俺”は藤和だけに微笑みを向けていた。

 そんな“俺”の姿を見て彼女は、まるで三日月のように口元を歪ませ、彼女は壊れたように首を横に傾げた。


「貴方が手に入らないなら、……私の手で貴方達の日常を壊してあげる」


 愛憎に満ち溢れた声で彼女はそう言葉にした、……そんな彼女の愛と憎しみが複雑に絡み合った声に、俺は思わず身体を恐怖で震えあげた。

 その仕草をしたと同時に、まるで本をめくるかのように一瞬で、……気が付けば時間軸は三日程過ぎていた。

 俺は顔を上げると、そこには口元を三日月に歪めさせながら、“俺”の首が肌色から青く染め上げるようなくらいに、強い力で“俺”の首を締めている彼女の姿があり、俺は思わず小さく悲鳴をあげた。

 “俺”は苦しさに涙を浮かべながら、彼女の行動を止めようと力を振り絞り、彼女の方に手を伸ばす。

 そして“俺”は、

「……藤和だけには手を出さないで」

 と、掠れた声でそう“俺”が言うと、彼女は顔を更に深く歪ませて、“俺”の首から手を離し、懐から取り出したサバイバルナイフで“俺”の心臓に向けて、貫くように刺した。

 そして何の因果か、その瞬間に藤和は姿を現して、……血に染まり、ぐったりとする“俺”の姿を視界にとらえた瞬間、悲痛な声で“俺”の名前を呼ぶ。


「せいわぁあああッ!」


 そう叫ぶ藤和の肩を誰かが叩き、

「―――――、何度でも」

 と、そんな誰かの言葉に、最初聞き取れなかったなと考えながら、俺の魂はまるで掃除機に吸いとられるように、何処かへと引き付けられていった。


◇◆◇◆


 二度目は、

 育児について悩んでいた方に、保育士としてアドバイスをしていたら、勘違いをしたその人の旦那さんに“俺”は刺されて……。

 三度目は、

 ストーカーが逆上して、階段から突き落とされて頭の打ち所が悪く、“俺”は短い人生に幕を閉じた。

 俺が息をしなくなる度に藤和の肩を叩き、ああ言った男が現れて毎回同じようにそう言った後、……もう一回“星和”として人生を歩むことになった。


 四度目、……“俺”は結婚した。

 だけど“俺”は友人にも、兄弟にも会わせては貰えず、連絡さえもさせては貰えない、まるで足に枷をつけられたかのような、結婚相手の女性に束縛で縛られる生活を送っていた。

 彼女の重たい束縛に耐え切れなくなってしまった“俺”は、精神がおかしくなり、次第に医者に病と診断された。

 互いの両親と話し合った結果、……彼女と離婚をすることになった。


 外国へと出張が決まっていた兄さんの代わりに、独身である藤和が“俺”の面倒を見てくれることになり、そんな藤和の優しさで徐々に“俺”に表情や感情が戻りつつあった。

 それを彼女は許してはくれなかった。

 ある日藤和と散歩に出掛けていて、飲み物を買いに藤和が“俺”から少しの間側を離れた時、“俺”の娘だと言う高学年くらいの女の子が現れた。

 そう言う女の子から“俺”は逃げ出そうとしたが、小学生とは思えない程に力強い力で“俺”の手首に、痣が出来る程に“俺”の手首を捕らえられていた。

 女の子は母親以上に、“俺”に対して異常な程に歪みきった愛情をいているのか、“俺”を暴行した。それを見つけた藤和は“俺”を庇うように抱きしめ、顔だけ彼女の方へと向けて女の子を睨み付ける。

 そんな藤和の行動に女の子の目には彼に対して、彼女の色々な感情が複雑に絡み合った結果、彼女の目に宿ったのは、藤和に対する憎しみ。そんな彼女はポケットから果物ナイフを取り出し……、藤和の腹部を切りつけた。

 そんな女の子から庇うように“俺”を抱きしめ続けた藤和は、救急車で運ばれたものの、病院に着いた頃には危篤状態だった。

 病院に到着してから一時間後、彼は目を覚ますことなく息を引き取った。


「藤和、目ぇ覚まして? 俺を一人にしないでよ、ねえ! ……俺には今、藤和しかいないんだよ!

死なないでよ、藤和」

 “俺”は藤和にそう訴えた後、近くにいた看護婦さんにすがり付くように、こう叫ぶように言う。

「藤和死んでないよね、直ぐに起き上がってさ、俺に仕方ないなぁって言って、笑いかけながら俺に頭を撫でてくれるよね、藤和は……死んでないよね?」

 と、そう言う“俺”に、看護婦さんは何も言わず、“俺”から目を反らした。


 そんな看護婦さんの反応に、俺は床に崩れ落ちるかのように座り込んで、

「嘘嘘嘘、いやあああ! 一人にしないで、一緒にいて、笑いかけて、優しく頭を撫でてよ、俺の側に居てよ、俺には今は藤和しかいないのに、俺には藤和が必要なのに、藤和がいなくちゃ生きている意味なんてないのに、藤和藤和藤和ぁああ!」

 と、“俺”は叫ぶように泣き続けた後、その一週間後に“俺”は自殺した。


 夢が覚める直後、

「やり直そう、何度でも」

 と、涙声でそう言う声がした気がする。


◇◆◇◆


 俺はもの凄い音を立てて、ベットから飛び起きた、そんな物音に目を覚ましたのか、秋和は何も文句を言わずに俺の側に来て、俺を抱きしめ、優しい手付きで俺の頭を撫でる。

「秋和……」

 と、俺は秋和の首筋に顔を埋めながら、眠たそうにする彼に甘えていた。

 秋和は何も聞かずに、俺を抱きしめる力を強くした後……、より撫でる手付きが優しくなった。

 そんな秋和の仕草に俺はしばらくの間、涙が止まることはなかった。



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