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中等科編1

 何時からか、自分に良く接してくれる女子に対して恐怖心を抱くようになった俺は、秋和と中等科でも同じクラスになれたことに安堵していた。

 女子に話しかけられる度に、八年前に俺の脳内に現れたあの女の子を思い出し、俺の古傷が抉られるような痛みが走る。

 あの女の子は俺のことをパパと言った。……でも俺は結婚はしておらず、独身だったはずなのに。

 何かが欠落してる、部分的に“あの女の子”と“死ぬ直前の記憶”だけが最初からなかったことのように思い出すことが出来ずにいた。


 いざ、思いだそうと試みてもそれを阻止するかのように、まるでトンカチで頭を強打されたような頭痛になってしまう。

 その痛みのせいで、俺は毎回思考力が低下して思い出すことが出来ない。


「騎里……、お前また思いだそうとしているのか。無理矢理思いだそうとしては駄目だぞ、いざ前世の欠落した記憶を思い出した時に騎里が精神を壊したらどうするんだ。

……俺はあんな状態になった騎里を指をくわえて見ていることしか出来ないのは……、もう嫌なんだよ」


 と、秋和は悲しそうな表情でそう言う。

 俺はクラス表から視線を秋和へと移し、俺は自然と彼に笑みを溢す。


 俺は笑みを溢した後、

「ごめん、秋和。俺焦り過ぎてたかもしれない、……無理矢理欠落した記憶を思い出そうとはしないから、取りあえずは教室へ行こう? 中等科に上がって初日で遅刻なんて、良くないと思うからさ」

 俺は彼にそう言う。


 彼だって俺と同じだ、前世の記憶が部分的に欠落している所がある。

 それなのに彼は、悩むどころか精神が壊れかけた俺を支えてくれた。

 そんな秋和にこれ以上心配させる訳にはいかない、……秋和は誰よりも人の心の痛みに敏感に察知していまうから。


◇◆◇◆


『ねぇ? パパ、どうしてボクに気付いてくれないの? こ〜〜んなに近くまでいるのに、また憎き藤和に向けて笑みを浮かべているの?』


『あっ、そっか! まだ、魂の状態だから気付いていないんだね、……憑依する相手を見つけないといけないや! パパ、待っててね。……スグニムカイニイクカラね?』


『アヒャヒャヒャハハハッッッ!!!』



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