(6)いえいえ、ご遠慮させて下さい。
お隣さんが南の隠れ賢者だって!!???
僕は驚いて、お隣さんを呆然と見つめたーー
だって、南の隠れ賢者とは、もう何百年前から
神の力も精霊の助けも使わないで、己の魔力だけで
魔法を使えた伝説の人物だと伝えられている。
それに、お隣さんの姿は、どう見てもまだ壮年にしか見えないし
ありえないだろうと思案していたらー
笑顔のお隣さんは、勇者をチラッと見て
「まったく これだから、勇者という存在は困るんだ―
神に選ばれて、その運の良さだけで、せっかく私が隠したリンさんを
見つけるのだから、本当に忌々しいなーー」
なっなんだって、優しいお隣さんの口から、今まで聞いたことない
冷たい低い声で勇者の事を忌々しいとか言ってますよ!?
そう、言われたルーンの方は
「うわーマジで!そりゃ、普通に探してもダメなはずだよ。
だって神の宿命から逃れてる賢者さんが隠してるんじゃ
けど、僕の運の良さでリンは見つけちゃったけどね。
結構、賢者さんの力も大したことないかもねwww」
わああああっお金ダイスキ―のバカ勇者
何、お隣さんに喧嘩を売ってるんだよ。
ヤバくないかこの状況はーーと僕が冷や汗をかいていると
お隣さんの後ろからぴょこっと双子達が顔を見せた。
ちょっ不味いってなんでこんな時に出てくるの!!
そして、お隣さんに向かって一言
「「お父さん?何してるの あっ母さん 母さま!!お帰りなさい」」
それを聞いて、ローレがものすごい顔で双子をみたーー
「リン?その子たちは、もしかしてーあの時の、いやまず
聞きたい事がある。その男がなぜ、お父さんと呼ばれているんだ!!」
わーっもう、だって仕方ないじゃないか
家を貸してくれた時からからお隣さんのことを
「バカ息子のお父さん」と呼んでいたのを
さすがに、子供らの前では「お父さん」とよんだり、
「お隣さん」と言っていた。
ってそういえばお隣さんのお名前を聞いてなかった事を
今さら、気づいたのだったーーそしたら
「ああ、リンさんそんなこと気にしないでいいんだよ。私も色々あって
名前が明かせない立場だったしーーそれに君の子供たちに
お父さんって言われるのは嬉しいからね」
いえ、そんな事をいわれても……
僕が困るから……止めてください。お隣さん
いや、賢者さま……。