表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スペア  作者: 花かつお
番外編
13/13

わたしたちのことーーそれから、ふたたび

わたしはルリ


母は、薬師のリンと近所の人に慕われてる


わたしたち双子に優しくて、時に厳しい母が大好きだ。


わたしには双子の兄がいる。


そして、わたしたち双子は勇者と巫女だ。







わたしたちは、産まれる前の記憶があるーー


温かい空間の中で、誰かの声を聞いた。


『君は、巫女になりたい?』


『巫女より、わたしは勇者になりたいの』


『そっか、僕はどっちでも良いから、僕が巫女になるよ』


『やったーーありがとう』


『あっそろそろ時間だ。行こうか』


『わかったわ。先に行ってて、お兄ちゃん』



そんな会話をして、わたしたちは、リン母さまのもとへ産まれたのだ。




産まれた、わたしたちの容姿は

兄のコハクは、黒髪で目の色がリン母さまの金色の目を受けつぎ、わたしは、父親の金髪と目は青色を受けついだ。



たから

はじめて会う人は、わたしたちの事を双子とは思わないだろう。

まあ、特に気にする事じゃない。だって、わたしは、私。

コハクは、コハクだしね。双子で産まれた事は変わりはないものーー



南の地で、母とお隣の家族と楽しく暮らしていたら、突然、勇者と東の国の王子様がやって来た。母の事を捜していたが、見つからなかったらしい母が勇者のおじさんに見つかるまで、隠していたのは


なんと!お隣のバカ息子さんのお父さんが母さまを見つからないように隠蔽の術をかけていたんだってさすが、お隣のお父さん、隠れ賢者様だ。


どおりで、わたしたち親子を探す人が来なかったんだ。


そして、わたしたちは、はじめて会った王子さま、つまり、わたしたちの父親は、わたしたちとリン母さまを一緒に連れて帰りたいと賢者のお父さんに言っていたが、それはリン母さまが決める事だから、無理矢理連れていっても、リン母さまはまた、逃げてしまうよと言ったら、王子さまは黙って東の国に帰っていたーー。


そして、賢者のお父さんが色々とわたしたち双子に教えてくれた。ここは神が作った箱庭の世界、異世界にある“ゲーム”という遊戯盤があり

それを参考にして作った世界との事ーー

ただその神が作った理の一つに勇者と巫女にはスペア(代用品)という設定を作ったらしいーーまったくもって人の事を何だと思ってるんだと、わたしと兄は怒り狂った。


それを見た賢者のお父さんは笑って言った。


ー実はね、君たちが産まれた瞬間にその制度は壊れたんだよー


えっ?何故と問いかけると


「君たちの父親が手順を踏まずにリンさんと子供を作ってしまった事だよ一応、神前の前で王族は結婚の誓いの儀式をし、神に報告しないとね。

母親は勇者と巫女の力を持つ双子を産んでしまうんだよ。だからコハク君は巫女の力を持ち、ルリちゃんは勇者の力を持ってるんだよ」


なるほど、今までの勇者や巫女の双子の場合ならスペアとなる片割れの子は、勇者や巫女の力を持ってない子と一緒に産まれるはずだったのに

東の王子様は、どうやら結婚する前に母さまを妊娠させてしまったらしいーー

うん。色々とダメダメな王子様だけど、わたしたちにとっては、いい事だった。



その後、15歳になったわたしとコハクは東の王都に、この持ってる力を生かすために勉強しにいく事にした。


その間に賢者のお父さんがリン母さんとの仲が進んでいたりして想像して一人ニヤニヤしていたらコハクが


「ルリ、きっと母さんと賢者のお父さんはまだ結婚しないよ。母さんの事だ。僕らが結婚するまで、くっつかないぞ。だから僕らは早く好きな人を探して結婚しようね」


「そうね。コハク、賢者のお父さんがいくら待つって言ってもねーけど、王子様たちもまだ諦めてないみたいだけど、まあどちらにしても母さまを幸せにしない人には、わたしたちは、許す気はないけどね」


そうお互い言って、笑いながら王都に向かったのだった。







数年後、まさか先にコハクが、“嫁”にいく事になるとは思いもしなかったけど……


とりあえず、この話はまたいずれどこかで


ん、わたしはと言うと


「ルーンおじさん、あっちで暴れていた魔物達しめたので わたし帰りますね。あっ報酬はギルド経由でいいんでじゃ早く帰らないとわたしの旦那さまも寂しがるし朝、考えた新しいメニューのパン種もいい感じに発酵してると思うんで、これで」


「ありがとうね。ルリちゃん。主婦なのに悪いねーちょっと数が多すぎて困ってたんだ。

助かったよ。また今度パン屋さんにも行くから

よろしくね」


そう、わたしも結婚して、故郷でパン屋をしています。たまに、東の勇者のルーンおじさんと一緒に各国で暴れる魔物をわたしの勇者の力で倒したりして充実な毎日を暮らしています。







ーーのはずが


「ルリちゃん、ごめんだけど、また勝手にスペアを復活させた馬鹿が現れたらしく。ちょっと時間あるなら私たちといっしょに東まで行ってくれる?」


と賢者お父さんに言われ、また王都に向かうのだったーー






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ