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パズル

作者: 水依ゆさ

ある所に1人の誰かがいた。

数え切れないほどあるパズルのピースを何日も何年も何十年もこつこつ組み合わせていって、ある日あと1ピースはめれば完成というところまでパズルを作りあげた。

そこまで作り上げるのに何度やめようと思ったかはわからない。

何度くじけそうになったかは分からない。

けれどやっと完成だ。

ふるえる手で最後のピースをはめようとした。

しかしそのときその人の手は止まった。


これが完成してしまえば私はどうすればいいんだ?


その問いの答えを、その人は持っていなかった。

それをすることでしか生きてこなかった人はそれ以外の生き方など知らないのだ。


だから

その人は完成間近のパズルを


壊した。


ばらばらに。

1つもくっつくことがないように。

そしてその人は言った。

また最初からやりなおしだ。

そうしてその人はまた数え切れないほどあるピースを何日も何年も何十年もこつこつ組み合わせ、完成間近になると壊すということを何度も繰り返した。

それは他の人から見たら馬鹿ばかしいことかもしれないけれど、その人にとっては生きていくために必要なことだった。


いつかだったかわたしは手を休めることなく動かし続ける誰かにいった。

この世にジグソーパズルがなかったらどうしますか?

誰かは笑いながら言った。


それじゃ私はこの世に居ませんよ。



やめたいのに、やめられないことってありますよね。

それがやめられたらどんなにいいのにと思っていても、ついつい手が出てしまう。

人間って不思議です。

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