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迷廻の標  作者: 伏路摘希
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きっと…

地獄、この世界を形容するのにとても相応しい呼び名だ。土地のほとんどが荒れ、生きている土地は化け物がうろついている。定住するのは生きていくのにあまり向かない。

それも全部、20年前にどっかの馬鹿が3000年以上封印されていた忘郷の書(ぼうきょうのしょ)を解いたせいだ。おかげで世界中に封印されていた古代のものが流れ出て建物から生き物、土地に文明を壊した。

瘴気が世界を覆い暗雲が晴れることなく、もういつが朝で夜なのかもよく分からない。

「レン、あそこにいるでかい鳥仕留めたら食えそう?」

「この距離であれだけでかいんだ、体長2mはゆうに超えてるだろ。食われるのは俺たちだ」

馬鹿げた質問に呆れながらも答えてやる。

忘郷の書に封印されていたのは古代に存在したという魔法と魔物や霊獣といった化け物の類いらしい。あの鳥もその時存在した魔物だ。

体がでかい化け物は基本肉食でゴミのように大量に存在している人間を食うから気をつけなければいけない。

「せめて魔導具でも見つけてからじゃなきゃ俺らは一生あいつらのおやつだ。わかったら集落の跡地でもいいから探すぞ、保存食もそろそろ限界だ」

「わかってるって!あの山の辺りは雲も薄いし、きっとあるって!」

霊獣が住む場所は瘴気が薄まるから暗雲が晴れ、大抵の魔物は寄り付かないから人が住んでいることが多い。しかし、霊獣が居なくなれば元通りになるから住み着いている人間は霊獣を崇め捧げ物をして祈る。生涯安寧の地を探す意欲を捨てて。

エンとは大きな都市の跡地で出会った。お互い見たところ6歳くらいで他に人がいなかったから自ずと身を寄せあった。教育もままならない状況で舌足らずな子供には本名で呼び合うのは難しくその頃から互いにレンとエンと呼んでいた。

ただ旅するだけの仲だ。それだけで心強かった。

「レン!ここ砂丘だよ。板くれ、板!」

「落ち着けって、あんまりはしゃいで砂中に化け物いたらどうするんだよ」

「砂中なら基本魚型だからエラから手突っ込んで中やっちまえば大丈夫だって!」

木板を渡してやるとすぐに下って行った。無尽蔵な元気さに呆れつつ自分も下る。


暗雲の晴れない荒野をこうして歩くのにももう慣れいた。

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