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僕は魔法少女に変身する  作者: マナマナ


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魔法少女の夏休み 7

「お待たせ!なんか迷惑かけちゃってごめんね」

「うわ〜ジーア、派手!これあの水着?でもさ、ちゃんと似合ってるよ」

「ほんと?ミアン。うれしいな。ほんとよかった。これでちゃんとしてなかったら私きっとティーナに仕返ししてた」

「マジ言ってんの?おいおい、そりゃないぜ。結構苦労して選んだんだぜ」

「だから、ありがとうティーナ。ちょっとヒモが多いけど、可愛いと思う」

「だろ!なあなあナンパ行こうぜ。ジーアならきっとモテモテだぜ」

「な、なんぱ?いやいや絶対ないから」

「ちぇ、残念。それより私のはどう?結構大人を意識してみたんだけど」

 ティーナはジーアの前でクルリと一回転して見せた。黒の生地に紫のラインが入ったセパレートのビキニだ。しかも激しい。

「うん、いいんじゃない。ティーナに似合ってるよ。まあ大人っぽいかどうかは置いといて」

「ちょっとどういうこと。どうせティーナはジーアと違って胸が小さいわよ」

「え?む、胸?・・・・・・」

 ジーアはティーナとを見比べてしまう。

 ホント・・・ジーアって意外と大っきいんだな・・・

「あ!ジーア!あんたまた鼻血!」

「え?うそ?」

「まったく自分の身体に反応してんじゃないわよ。早く慣れたらどうよ、ミアンみたいにさ」

 ジーアはティッシュで鼻を押さえながら『うん』と頷いた。

「さあ、揃ったことだし準備体操でもしましょう」

「え?グローなんて言った?準備体操?」

「もちろんそう言いました。海に入るんです。当たり前だと思いませんか、ティーナ」

「分かったよ。分かった!やりますよ。だからそんな怖い顔しない」

 

 みんな笑ってグローの指揮の下、準備体操が始まった。

 ティーナがジーアにこっそりと話始める。

「なあなあ、なかなか面白いよなグローの奴」

「面白いって何が?」

「だってスクール水着ってギャグにしか思えないんだけど」

「まあ、名前入ってるし。けどさ、なんとなくグローぽいって言えば言えなくないよ」

「まあ何だっていいんだけどさ。もうちょっと、こう何て言うか、弾けて欲しかったかな」

「弾けて?それってさグローに限って絶対無いと思う」

「確かに言われれば。まあいいや楽しもうなジーア」

「もちろん!私、ジーアと約束したから」

「ジーアと?」

 ジーアは頷いた。そして思う。


(ジーア。どう?感じる?この日差しとか、潮の匂い。海の色、空の色。風のそよぎと波の音。全部私を通して感じて欲しい。楽しんで欲しい。私達魔法少女だってこれくらい楽しんでもいいと思う。言ったよね、息抜きって)


「ジーア、どうしたの?」

「え?どうしたって?グロー、どういうこと?」

「もう体操は終わっています。まだ続けるの?」

「え?終わってる?あ、あはは、ちょっと考え事してたから・・・」


「いざ出陣!」

 ティーナは掛け声と共に海に向かって走りだす。ミアンもジーアも後に続く。

 砂はチリチリに焼けて足の裏が熱い。でもその熱さがとても気持ちいいのだ。

 最初の波しぶきが足に触る。


「つ、冷たい!」

「大丈夫、すぐ慣れるって!それ!これでも食らえ、ジーア」

「ちょっと!やったな!お返しよティーナ!」

「うわあ、二人ともはしゃぎ過ぎだよ」

「何言ってんのミアン。一番若いのに、ほらほら、どう、気持ちいいでしょ?」

「きゃあ、顔はやめて!気持ちいいから、分かったよ〜」


 海にまだ入っていないグローにブーアが話し掛ける。

「まったくさっきまでの事が嘘みたいにはしゃいでるな」

「ほんとですわ。ジーアったら意外とお調子者ですね」

「グローは泳がないのかい?」

「そういうブーアこそ」

「ああ、あたいは、ほら、こうやってパラソル立てたり、ベンチ用意したり、飲み物の用意したり。泳ぐものいいがこうやってのんびりするのもいいと思ってな。あ、悪いな、そこにあったから勝手に使わせてもらって」

「そのことなら構いませんわ。春日に用意してもらったものですから」

「グローもさ、なんだかんだ言っても、やっぱりみんなのことちゃんと考えてんだな。優しいよな、うん」

「そ、そんなこと。みんな必要と思ったまでですわ」

「恥ずかしがるなよ。そうじゃなきゃ、こんなものまで用意してないだろ」

 ブーアはクーラーボックスから缶ビールを取り出した。

「あたいはさっそく一本いただこうかな」

 ブーアは景気よくプルトップを開けゴクっと一口飲んだ。

「あ〜冷えてて美味い。おっ、白ワインまで冷えてる。気を利かせ過ぎだろ」

「わたくしは・・その・・全部、春日がやったこと、ですわ・・・・」

「いいって、いいって。ティーナには余計なこと言わせないから。それよりグローも泳いできたらどう?」

「あ・・その・・じつは・・泳げないんです・・わたくし・・・」

「泳げない。なるほどね。でもそんなの関係ないって。泳げようと、そうでなくても海はみんな平等に受け入れてくれる。だから行っといでよ。あたいもこれ飲み終わったら行くからさ」

「・・・ええ、せっかくですから。い、いってきます」

「ああ。いっといで。もしティーナが悪さするようなら、あたいがお灸据えてやるから」

 その言葉に安心したのだろうかグローはニッコリ笑って走っていった。

 ブーアは見送りながらまた一口ビールを飲んだ。

「グローも中身は子供だな。しかしジーアはどっちが本当何だかよく分からん。もしかしたら今の姿が一番自然なのかな?本人は気付いてないみたいだけど、まあ楽しめばいいさ」

 そして一人で『かかか』と笑った。


 太陽は角度をますます高くしていく。風はいつしかなくなって気温は景気よくグングン上がっていった。空気さえも音を立てて燃えてるような感覚になる。

 そしてようやくブーアが海に行った時事件は起こっていた。激しい怒号が聞こえる。


「ティーナ!よっくもやってくれたわね」

「何だよ、何マジで怒ってんだよ。泳げないって言うから泳げるようにしてやろうと思っただけじゃん。それに私そんなひどいことしたか?」

「そうよ!わたくし腰までが限界なのに・・・なのに、よくも顔を海の中に沈めてくれたわね」

「だって基本だろ。顔をつけるの怖がってちゃ泳ぐことなんて一生無理なんだよ」


 グローとティーナは海上に浮いていて、その姿をジーアとミアンはどうしていいか分からずただ見守っていた。ブーアはそれを見て鼻息を『フン』と出し歩き始めた。


「おいおい。ジーア、あの二人何やってんだ?まあ会話から察することできるけど」

「ああ、ブーアやっと来てくれた。もうあの二人」


「グローってさ、魔法属性が『水』なのに水が苦手なんて、魔法が泣くぞ」

「何ですって!魔法は関係ないでしょ。それに何!魔法が泣くって?意味が分かりませんわ」

「しょうがないな、まったく」

 ブーアも海の中から宙に浮き二人の間に入っていった。

「はいはい、喧嘩しない。事情はどうあれティーナが悪い。もっと泳げない者の気持ちを理解しないと駄目だ。それじゃかえって逆効果だ」

「わ!ブーア。いきなり割って入ってくるなよ。ビックリするじゃないか」

「グローも落ち着け。こいつはこいつで何とかしてやろうとしたのはほんとなんだ。しかし泳げる者と泳げない者の距離っていうのは思ってるより遠いんだ。ゆっくりでいいし楽しめばいい。言っただろ。海は平等だって。泳ぐだけが海じゃない。とりあえず降りるんだ」


 ブーアは二人の肩を押して再び海に入る。水に浸かって少し冷静さを取り戻したのだろうか


「・・・私が悪かった。こうすれば泳げるようになるって思ったのは私がそうやられて泳げるようになったから、だからそれでいいと思ったんだ」

「・・・わかりました。ティーナがふざけてた訳じゃないってこと」

「ようし。今日は二人とも物わかりがよくて助かるよ。普段もそうならいいんだけどな。ところで泳げないグローのために海を楽しむ方法考えたんだ。どう、やりたい?」

「ブーア、どういうことですの?」

「今からみんなでシュノーケリングしよう。それも魔法少女的なやりかたで」

「魔法少女的ってどうすんのさ?それにグローは潜れないじゃないか」

「大丈夫。ちゃんと息ができれば怖くないだろ?それに顔が濡れることも無い」

「だ、だったら・・・それってどうやればいいのですか?」

「ジーア、出番だよ」


 ジーアは急に振られてキョトンとしている。ミアンに脇腹を突かれて


「へ?ああ。私?何すればいいの?」

「だからさ、ジーアの魔法に頼ろうっていうのさ」

「私の魔法?」

「そう。魔法で酸素集めて、それをこう宇宙飛行士みたいに顔をスッポリとだな・・」

「ああ。なるほど。それなら息もできるし、顔も濡れない。ブーア面白いよ絶対。でもさ、ブーアも勘違いしているみたいだから言っておくね」

「あたい何か変なこと言ったかな」

「え〜と、私達がよく見るこういうヤツ」

 ジーアは手で酸素ボンベの形を表現してみる。

「医療用ならそれでもいいんだけど。スキューバとかで使うボンベは酸素だけじゃなくて地上の空気が入っているんだ。酸素って必要なんだけどあんまり純度が高いとかえって中毒とか起こすんだよ」

「へぇ〜なるほど。知らなかった。さすが科学者だね」

「そんなことないって。たまたま講義にあったの覚えていただけ」

 ジーアは笑って言った。ジーアが準備しようとステッキを出すと横から

「ええ!いいのかよ、そんなことに魔法を使って」

「大丈夫よティーナ。集めるのはここにある空気達だし大変じゃないよ。むしろぜんぜんオッケー」


 ジーアはステッキを振って空気を集める。そして玉のように一つに纏めてから一人一人の顔にスッポリと被せた。みんな顔全体に大きな空気の塊が葉っぱの上の朝露のような形をしている。弾力のあるグミみたいな感触。


「グローどう?いける?」

「た、多分。ねえジーア絶対手離さないでよ。わたくしが離すまで離さないで」

「分かったよ。分かったから、だからそんなギチギチに握らなくも大丈夫だから」

「よしミアン。最初に潜って確かめてみろ」

「あたし?ティーナが自分でやればいいじゃん」

「なになに。二人とも私の魔法、信用してないの?」

「い、いやそんなこと、初めてだからよ。わ、分かった、じゃあ一緒に行こうぜミアン」

「わ、わかった・・・じゃあ行くよ、せいの」

 二人はドボンと潜った。ぶくぶくと空気の泡が浮く。その様子を残った三人はじっと見ていた。なかなか上がってこない。

「大丈夫でしょうか。まだ上がってきませんが」

 グローの手は少しだけ震えていた。本当に水が怖いみたいだ。ほどなく勢いよく水しぶきが上がる。興奮している様子が分かる。


「ジーア、これ凄いぜ。ちゃんと息もできるし、顔も濡れない」

「ほんとこれいい。ラクチンだし、動きやすい」

「だって。どう?グロー。準備いい?」

「え、ええ」

 ジーア達は海の中を目指す。相変わらずグローの握る手の力は強かったがそれでもみんなと一緒に進んで行った。ジーアも自分の魔法の半信半疑だったのか、最初は目を閉じて息も吸い込んで止めていた。ジーアの肩を誰かが叩く。

「ジーア、ジーアったら、ほんと、これ凄いわ。わたくしこれなら怖くない」

 その声の主は意外にもグローだった。ジーアは目を開けて一瞬言葉を失う。


 ジーアの瞳の飛び込んできたのは穏やかで静かな海の中。太陽の光は常に揺らいでいて沢山の色とりどりの魚達。透き通った青に支配された世界。


「う、うわ〜なにこれ!きれい!うわ〜すごい!それにこれいい。どうグロー平気?」

「だからさっきから言ってます。ジーアったら、わたくしより臆病なんですね」

「だってこんなに上手くいくとは思わなかったから」

 ほかの三人は全然平気でジーアとグローより沖の方にいた。

「わたくし達も参りましょう」

「怖くないの?」

「もう慣れました。海の中がこんなにきれいだなんて。わたくし知ることが出来てよかったですわ。ティーナのことも意外とショック療法でよかったのかもしれませんね」

「そう。なら、よかった。うん、私達も行こう。待ってよ!みんな」

 ジーアとグローは後を追った。沖に行けば行くほど海の青さは濃く深くなってゆく。

 その光景に二人ともうっとりと見入っていた。

三連休明けのアップ。皆さま楽しんでいたことでしょう。

読んでいただきありがとうございます。

ちょっとばかり駆け足気味で書いています。←諸事情にて

会話ばかりで読み難いかもしれませんが、

書かれていない箇所は皆さまの空想で補っていただけると嬉しいです。

他人任せの私ですみません。

まだまだ加速して書きます。

次回も読んでいただけたら喜ぶ私がいます。ではまた金曜日に。

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