仲間だから 5
ジーア達が到着した時には辺りは想像以上に火の海に包まれていた。
火の粉が大気に舞い上がってはその範囲を広げている。
燃え落ちた建物。巻き込まれて死んでしまった人々。
もし魔法少女がいなかったら全部現実として歴史に刻まれているだろう。この世界の歴史はまったく違ったものになっていたに違いない。
「うわ・・・こりゃひどいもんだ。空襲を思い出したよ」
「ティーナを探さないと。ブーア見えたりする?」
「ああ。今見ている。ジーアこそ見えるかい?」
二人は顔を合わせて同時に顔を横に振る。
「熱過ぎ!こんなんじゃまともに戦えないよ」
「そのことならミアン、わたくしに任せなさい。ジーアお願いします」
「分かった。今水素と酸素、たくさん集めるね」
ジーアは原子達を集めると今度はグローが水を精製する。魔法少女達の足元には見る見る大量の水の塊が出来上がっていった。
「大量の雨を降らせます。この間にみんなは早くティーナを見つけて援護に廻って下さい」
「分かったわ。みんな行こう。それにしてもティーナもシャハトも何処にいるのかしら」
「頼みましたよジーア。わたくしもすぐに追いつきますから」
ジーア達はそれぞれ方向を変えティーナの探索に向かう。グローは地上のたくさんの雨を降り注ぎ始めた。炎は威力を弱め鎮火し始める。
ティーナは瓦礫の中に倒れ、シャハトに顔を足で踏みつけられていた。
これ以上の屈辱なんて感じたことなかった。魔法力だって限界に近くなっていた。もう成す術がないと覚悟をした時、ティーナの頬に当たる雫を感じた。シャハトは空を見上げる。
「これは?」
「こ、これって・・・グロー」
ティーナの言葉を聞いてシャハトはニンマリと笑う。
「他の魔法少女達がやっと到着したようだな。ティーナ、少しは楽しめたぞ。さて。俺はこれから他の連中に挨拶してくる。それまで生かしておいてやる。せいぜい休んでおくんだな」
シャハトは元の穏やかな表情に戻ると
「ククク。今日でこの世界の魔法少女はいなくなる。素敵、素敵」
上機嫌に笑う。そして宙に身体を浮かせた。
「・・・く・・・ま、待て・・・」
ティーナの言葉など耳に入る様子も答える様子もなくシャハトは飛んでいってしまった。
「・・・そうだ・・・・か、かがみ・・・」
ティーナはポケットから鏡を出す。半分ひび割れているが自分の顔を映すには問題はなかった。
「テ・・ティーナ・・・私。瑠璃。返事して。お願い。急いでるの」
鏡の中のティーナが喋り出す。心配している表情にも、苛立っている表情にも見える。
「随分とやられてるみたいだね」
「・・・そう言うなって。これでも頑張ってんだ」
鏡の中のティーナは軽く溜息を付いた。
「ねえ瑠璃、魔法少女。辛かったらやめてもいいんだぞ」
「は?なに急に。・・・何でそんなこと・・・」
鏡の中のティーナはイライラの方が強くなっていく。明らかに不機嫌な顔。
「瑠璃、私の依り代なのに何このザマは!私はそんなに弱くない。例え相手がいつもよりずっと強くたってこんな無様なカッコ、私には似合わないって分かんないの」
「な、何だよ、いきなり説教かよ。だったらもういい」
ティーナは鏡を閉じようとしたが体の自由が利かない。鏡のティーナは言葉を続ける。
「あんた、逃げるの?そんな覚悟だからボコボコにされてんのわかんない?」
「言いたいこと言ってくれんな・・・確かにやられたよ。でもまだ負けたなんて思っちゃいない。ちょっと休んで魔法力が回復したら今度こそ・・・」
「今度こそ殺されに行くわけ?瑠璃を依り代にしたの間違ってたのかな」
ティーナ本人の言われるのとシャハトの言われるのとは次元が違うように聞こえる。
正直どうでもよくなりかけた。
「ははは・・・・・・シャハトにも言われたな・・・・・・お前まで私をそんな風に言うんだ」
ティーナの目には涙が浮かぶ。もう全てがどうでもいい。
この世界があいつらに乗っ取られたからといって、それが何だ。私はやるだけのことはやった。後はきっとジーア達が何とかしてくれる。だから私の役目は終わったんだ。
さらに涙が溢れてくる。
私は何に対して涙を流しているの?もうそれすら分からないって・・・・・けど、はっきりと分かるの、今はとても口惜しい。
「瑠璃・・・ねえ瑠璃聞いてるの?」
「・・・そんな大っきな声出さなくても聞こえてる」
「私にここまで言われて、それでもまだ魔法少女やるつもり?」
そっか。私はまだ魔法少女辞めたなんて言っていない。ただ口惜しい。それだけなんだ。
「・・・こう見えて、以外と執念深いから・・・シャハトに負けたままなんて私が許さない。私が私自身許さない。もし今すぐ魔法少女辞めたとしたら私はそうした自分も許さない」
「記憶が全て消えて魔法少女だった頃なんて覚えてないのに?」
「ああ。それでも私は私を許さない。逃げないって決めたんだ。私は今までの人生を何となく過ごしてきた。だからなのかな。音楽だって中途半端だったし。でもね魔法少女だけはちゃんとしたいって決めたんだ。やらなきゃならない。ティーナがこんな私のこと選んでくれたんだもん。その気持ちには答えたいよ、期待にも。だから私が魔法少女じゃなくなる時は私が死んだ時だけなの。だから私は今すぐ魔法少女をやめるわけにはいかない。・・・・・・まだ戦うんだ」
ティーナは歯をグッと噛み締める。すると不思議なことに魔法力がだいぶ回復しているように感じられる。体も軽く感じるし体の奥から力が漲ってくるのを感じる。
鏡の中のティーナは笑っている。安心したような笑みだ。
「瑠璃の目にはまだ光が宿っている。安心した。実は瑠璃は魔法少女やめるって言うんじゃないかと思ってた。でもまだやれる、そうでしょ?瑠璃」
今度は励ましてくれる。やっぱり私に期待しているんだ。なら今度こそ答えないと。私は私を越えるんだ。
瓦礫の中から身体を起こす。そして自信たっぷりに鏡に向かって
「あたり前だのクラッカーってな。いちいち心配すんな。私は逃げない。シャハトからも魔法少女からも、そして自分自身からも」
「知ってる。瑠璃、自分を信じろ。私を信じて。そして負けるな。使うの魔法を。私の魔法を上手く引き出すの。瑠璃ならきっと出来る」
ティーナとティーナは鏡越しに笑い合った。
「・・・ティーナ。見つけた」
振り向くとそこにはジーアの姿があった。ジーアは後ろからティーナに抱きつく。
「心配したんだから・・・返事・・・全然返ってこないから・・・よかった。生きてて」
「ジーア・・・すまん・・・みんなに心配かけた」
「一人で行くことなんてないのに・・・私達は仲間でしょ。ずっと仲間なんだから」
「・・・ジーア」
「もう馬鹿なんだから。どんなに離れていても私達は魔法少女なのよ。ずっと繋がっているんだから。だからもう一人で行こうとしないで」
ジーアは少しだけ抱きしめている腕にキュッと力を入れる。
「私が温めてあげる。ティーナの心を温めてあげる」
「・・・ジーア・・・私、いつの間にか心を閉ざしていたんだな。温かい・・・優しくて温かい・・・サンキュー、元気出た」
ティーナはジーアの方に向き直ると軽くジーアのオデコにキスをする。その時ジーアもティーナもお互い顔を見合わせたままクスッと笑みをこぼした。
「じゃあ行こっか。みんなであいつを倒そう。世界の平和と未来のため、それと私達自身と魔法少女達のために」
「ああ、ジーアだけじゃない。みんないる。私には仲間がいる。それってさ、なんか嬉しいことだって分かる。私は頑張る。なあジーア、あいつのスピードはホント半端無い。私が魔法力を高めてもあいつに追いつくのがやっとなんだ。私じゃないとあいつの動きを捕らえることができない。何とかあいつのスピードに食らいついて隙を作る。その時にみんなで一斉に攻撃して欲しい。出来るか?」
「うん。今回の作戦チーフはティーナだよ。みんなにも伝えておく。私達はティーナを信用する。だからティーナも信用して」
「分かってるって」
ジーア達は宙に舞いあがる。
街は相変わらず炎に包まれて瓦礫の山となっていたがグローのおかげで随分と沈静化している。焦げた臭いが鼻を突く。
「だいぶ炎は収まったみたい。みんなどこ?」
「あそこだ!いる。シャハトの奴だけあんな上空に!みんなは?」
ティーナはシャハトに向かって飛んでいく。凄まじいスピードにジーアとの間にあっという間に距離ができてしまう。
「うわ・・・今までのティーナじゃないみたい、って置いてかれてるし。待ってよ、ティーナ」
ジーアは微笑む。心の中でみんなが一つなってゆく一体感を感じていた。
新年早々仕事で動けなかった私。やっと新年会だ!
読んでいただきありがとうございます。
最近はYouTubeでAIを使って作成した音楽にハマっています。すげぇなAI。
もしかして今私が書いているのもAIに任せたら面白くなるのかな?
そんな誘惑に駆られることも正直少しあったりなかったり。
まあ。最後まで書きますけどね。
でも次回は?本当に私が書いたもの?さあどっち?なんて。
時代が・・・時が観える(ちょっとだけララアの気分)
次回もよろしくお願いします。




