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僕は魔法少女に変身する  作者: マナマナ


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魔法少女として本格始動 6

 ミアンは魔法を使ってスタンド付きのマイクを出した。

「え〜、みんなでちゃんと自己紹介しようよ」

 率先してマイクの前に立つミアン。

「すごい・・・ミアンの魔法ってそんなこともできるの?」

 ジーアは関心して見ている。

「えっへん。どう?いいでしょ。褒めていいんだよ。じゃああたしから・・・ん?・・あ〜・・?」

「どうしました?自己紹介、するのではなくって?」

「音が出ないよ、これ」

 ミアンはマイクをポンポン叩いてもポンポンとしか音がない。

「ダメダメ。そんなことしたらマイク壊れちゃうだろ。ったくなんでマイクだけで音が出ると思ってるんだよ」

 ティーナがミアンの前まで行ってスタンドからマイクを取り上げる。そしてマジマジとマイクをチェックしてまた元に戻した。

「音を出すにはアンプとスピーカーが必要なんだよ。分かったか。マイクなんてなくたって生声で十分」

「へ〜。ティーナってそういうの詳しいんだ」

 ジーアは関心する。ミアンはちょっと残念な顔をして指を鳴らす。マイクは銀色の粒子になって消える。

「まあな。じゃあ新人の私から。酔いもすっかり醒めちまったからな。ホント、夢じゃないんだな。私でいいのかな。魔法少女、笑っちゃうよ。でも、まあ、悪くない。私はティーナだ。みんなよろしく」

「今度は私。私はジーア。私もつい最近魔法少女になったばっかり。っていうか昨夜なんだけど。だからティーナと変わんないんだ。よろしくね」

「はいはい。次。あたしはミアン。ほんとは小学四年生で『四月一日 鏡一郎』って言います。よろしく、イェイ」

 ミアンの銀色のエフェクトは今日もずっと健在だった。言葉にしないがジーアはなんとかならないのかと実はずっと思っていた。

「え?男の子?しかも小学生?へぇ〜なんか凄いよな。で、そちらさまは?」

 グローに慇懃な態度で聞くティーナ。

「わたくしはグロー。本名は『水無月 有栖』中学二年です」

「中学生か、やっぱ子供だって思ってたんだよな」

「それが何か?魔法少女には関係ありませんわ。第一あなたは・・・」

「まあまあ、先輩、そんなに怒らない。私の本名は・・・・」

「九 瑠璃。さっきご自分で言ってましたよね。今度はこちらからお聞きします。普段は何をされてるのかしら?」

 その質問。ジーアは昨夜のことを思い出す。グローの面接が始まる、と。

「私は今は派遣社員やってんだ。ま、繫ぎだけどな。大学出てもなかなか希望の仕事に就けなくてそれで。一応、ホントはなりたい夢はあるんだけどさ」

 ティーナは笑う。そう言えば笑った顔、初めて見た。将来の夢を語れるって、そんなことすっかり忘れている自分を思い出すジーアだった。

 そういえば僕は将来何になりたかったんだっけ?そんなことすら遠い記憶の彼方に置き去りにして今を生きている。妥協で成り立った人生を歩いているような気がしてくる。だから夢を抱く目の前のティーナのことが眩しく見える。

「ティーナの夢って何なの?」

「ジーア、お聞きになるの?」

「だってグロー、興味あるじゃない」

「私はミュージシャンになりたいんだ。って言ってもこの間バンドは解散しちゃってさ。ヤケになって部屋で酒かっくらってたらティーナの声が聞こえたんだ。それで今に至るわけ」

「へ〜ミュージシャン、すごい。だからマイクとか詳しかったんだ。ティーナって若いの?」

「大学出たって言ったじゃん。二十二歳」

「若いねぇ。で?なれそうなの?ミュージシャン」

「ああ、それ、全然駄目、希望なし、才能なし、仲間なし。夢なんて簡単に叶わないって。私の人生これからどうなっちゃうのかな・・・あ、ごめん、何か暗い話になっちゃったな」

「あ、ごめん。こっちこそ。私悪いこと聞いちゃった?」

「いいよ別に。私、今は魔法少女ってのに命賭けることにしたから。だってミュージシャンよりなれる確率低いだろ」

「何を呑気な。遊びじゃないのよ。本当に死んでしまうかもしれないのに」

「そうか?これだけ仲間がいれば大丈夫だろ。それにさっきの私の活躍見ただろ」

「勇ましいことで」

 ジーアはこの二人を見ていると本当に対極みたいだと思う。水と炎。だからすぐに喧嘩になるのだろう。

「あ、そうだ。ジーア」

「何?」

「そう言えばジーアの普段、聞いてないな。教えてよ」

「あ〜、やっぱり?知りたい?でもさ、絶対驚かないって約束して欲しいな」

「何だそれ?驚く程のことなのか?」

「・・・多分」

「魔法少女になったんだ。これ以上驚くことってあるのか?」


「じゃあ」

 ジーアは自分の事を話し始めた。聞いているティーナの顔が次第に驚きの表情に変わっていくのが手に取るように分かる。


「え〜、うそ?ほんと?まじ?へ〜ホント誰でもなれちゃうんだな。でもいいの?会社とか家庭のこと両立どころか三股って大変じゃねえ?」

「・・・だから、驚かないでって言ったのに・・・そんなに驚くことなの?」

「だって、なあ。そのカッコからとても想像出来ないぜ。仁さんって普段もこんななの?実は女の子になりたいって願望があるとか、女装趣味とか」

「そんなわけないでしょ!何考えてんのよ!・・・ただ、変身するとこうなっちゃうのよ」

「ほんとにそれだけ?怪しいな。みんなはどう思う?」

「別に。ジーアは間違ってないと思います。グローが言ってました。変身すると魔法少女自身の性格も結構反映されるって。まあ個人差もあるでしょう。けどジーアは確かにジーア本人の影響を受けていると思います」

「なるほど。じゃあ、グローもミアンもそうだって言いたいのか?」

「もちろん。わたくし達だけじゃなくあなたもね、ティーナ」

「そうか?私は割と素だけどな」

「だったら似た者同士ってことかしら。本人もティーナ自身も、あまり品と言うものを持ち合わせていらっしゃらないのね」

「なんかいろいろうるさいんだよ。品が何だって言うんだ。そんなもの無くたって生きていけるよ」

「まあ、お好きに。しかしこれからわたくし達は行動を共にすることが多くなるでしょう。せめてわたくし達の前ではもう少し品のある言動でお願いします」

 やっぱり・・・ジーアは間に入って

「まあまあ。何ですぐ喧嘩になっちゃうの?」

「ジーアも気に入らなければ言っていいのよ」

「あのさ、不満ってさ集団になればなるほど増えるかもだけど、そういうのを受け流すことだって社会には必要なこともあるんだ。だから今は平和でいこうよ」

 グローとティーナに諭すように話す。きっとこういうことができるのは自分だけかもってジーアは思う。


「ねえ、もう帰っていい?終わったんだからさ。ゆっくりお風呂入りたいなぁ」

「お風呂?」

 ここにも火種がいた!

 またグローの機嫌が悪くなりかけたところで遠くの方で花火が打ち上がる音が聞こえた。

 いつの間にかミアンの魔法は解けていたみたいだ。

 魔法少女達は空に浮かんで花火を目にする。

「花火か」

「どこだろ?誰か知ってる?」

「うわ〜、きれい。たしか多摩川じゃなかった?」

「こうやって空から眺めるのも悪くありませんね」

 つい花火に見入ってしまう。おかげでみんな気持ちが和らいでいくのを感じた。


「最後の仕上げしましょう」

 ジーアがみんなに言う。

「最後の仕上げ?なんだそれ」

「ティーナ見ておきなさい、ドリーチェとの戦いが終わったらこうするのよ」

「だったら、みんなで手を繋ごうよ」

「ミアン、いいね。ティーナ、今から私達の魔法で世界を元通りにするの」

 四人はそれぞれ手を取り輪になる。

「今日はジーアにお願いします」

「え?私?」

「ええ、わたくし結構魔法力使ってしまったの」

「そっか。あれって力使うんだね。分かったわ。みんな集中して」

 みんなは目を閉じて集中する。魔法少女達はそれぞれの色の淡い光に包まれる。

 赤、青、ピンク、銀。全部の色が混ざり合って光は強くなってゆく。今回はジーアがメインだからピンク色の光の輪が地表を被ってゆく。


「お願い・・・全てを元通りに!スラーン!」


 ジーアは静かで優しさを込めた声で唱える。一瞬世界が震えたように感じる。


 魔法少女達が再び目を開けると世界は全て元通りになっていた。ドリーチェのこと、魔法少女のことは誰も知らない、分からない世界になっている。

 

 みんなはそれぞれ帰っていく。

 ジーアはみんなのことを見送ってその場に残ってあらためてこの世界を見渡す。

 街灯りは相変わらず平和で空には星が光っていて、知っている当たり前の世界がある。


「私達の世界。その平和を守る私達。悪くない。ティーナも言ってたね。ジーア、聞こえてるかな。私、頑張るから。私が役目を終える日が来るまで頑張る。だから、だから、頑張ろうお互いに」


 ジーアは更に高く空を目指す。もっと、もっとこの世界を見渡したい。

 仁は心から魔法少女になってよかったと思うと同時にもう一度確かに決意していた。

12月。振り返ると一年って儚くて早いと実感します。

読んでいただきありがとうございます。

ここまで続けて、これからも続けて

来年ってどんな一年になるのかな?

今は根拠のない希望と期待を楽しんでおります。

次回も立ち寄ってくださいませ。

よろしくお願いします。

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