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僕は魔法少女に変身する  作者: マナマナ


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魔法少女として本格始動 4

 地面や空気が震えている。体中電気が走ったようにビリビリする。

「コ、こレハ?」

「ドリーChe!出てきタンです輪」

「くるよ。出てくるよ。それよりジーア、二人の声何とかならないの?」

「大丈夫。もうちょっと時間が経てば元に戻るから」

「でもさ〜ホント緊張感がなくなるよね。二人とも元に戻るまで喋らなで欲しいな」

「ジー亜のせいです輪」

「だからグロー喋らないでって。お嬢様なんでしょ、おしとやかなんでしょ」

「押しと矢か?」

「だからティーナも喋らないって。分かった」

 二人とも口をつぐんで頷く。

 

 さっきまでのビリビリが収まるとピンと張りつめたような空気が魔法少女の周りを取り囲む。


 奥の方で木々が倒される音がする。いよいよドリーチェのお出ましである。


「行こう。あっちみたい」

「あたしカードを展開するね」

 四人は外灯も無い暗い林の中に走って入って行く。進めば進むほど音は大きくなっていく。魔法少女達は確実にドリーチェに近づいている。みんなの緊張感が増していく。ジーアは二回目だけど、ミアンとティーナは初めての対面になる。


「み、見えた!あれ?あれなの、ジーア」

 ミアンが指差す方をみんなで見る。ジーアにもだんだんその姿が見えてきた。

「私だってちゃんと見るのは初めてなのよ。う、うわ〜、大きい・・・・」

「・・・・うぐぐ・・・・」

 ティーナもその姿に一生懸命声を出さないように驚いている。

 グローは一番先輩だけあって冷静に見ていた。


 ドリーチェは魔法少女達の姿を見つけると耳が張り裂けんばかりの金切り声を上げた。

 初めて聞くジーア達は思わず耳を塞ぐ。おまりにも大きくて自分達の声さえ掻き消されてしまう程。例えるなら黒板に爪を立てた音の100倍は脳天に直撃する。昭和生まれのジーアには全身鳥肌が立つレベルだ。


 月明かりに照らされるとドリーチェの姿がはっきりとあらわになっていく。


 ドリーチェ全体の姿は周りの木々と同じようだが、決定的に違うのは枝が腕のように動いている。それも一本や二本ではない。枝の数だけそれぞれが独立した意思を持っているように動いている。顔らしきモノは胴体のほぼ中央に位置していて彫刻で掘られた鬼のような顔をしていた。足は根っこみたいでそれがウニョウニョと蠢いてゆっくりではあるが動くこともできるみたいだ。


 ドリーチェはいきなり魔法少女達に襲いかかってきた。


「みんな飛んで!!」

 ジーアは咄嗟に声を上げる。魔法少女達は一斉に空に飛び上がった。

「ここなら攻撃は届かない。じゃあミアン、時を止めて」

 ジーアの颯爽さとはウラハラにミアンはキョトンとしていた。

「え?何で?」

 ミアンは無邪気に答える。

「何でって・・・前に言ったよね、確か」

 ジーアは軽く溜息をつく。もう一度同じ説明をすることほど面倒なことはないのに・・・

 こういう感覚って社会人にならないと分からないかもしれない。

 もっと事前に説明をしておけば良かったのだろうか?この場合、仕事ではなく作戦とでも言っておいた方が妥当かなのだろうか。

 当然ミアンのジーアも実践は初めてのこと。だったらそういう配慮があっても良かったのだろう。それにミアンの実体は本物の子供だ。なら子供には分かるまで同じこと言い続ける必要がある。ジーアは理解した。


「えっといきなりだったよね。急にごめんね。でもさ、騒ぎになったら人が集まってくるよね。そしたら面倒なことになるよね。私達のことってみんな知らないと思うんだ。ミアン、ここまでは分かるかな?だからさ、そうならないためにもドリーチェと戦うときはミアンに時を止めてもらいたいの。そうすれば誰も怖い思いをしなくなる。みんなだってそれでいいよね。いいよね」

 ジーアは他の魔法少女に念押しみたいに言うとみんなは黙って頷いた。これは同意したという意思であると理解する。

「じゃあさ、あたしの魔法が一番ってことでいいの?」

「そうそう。ミアンの魔法は一番必要なの。分かってくれたなら、ミアンよろしくね」

 やっと伝わったみたい。けれど肝心のミアンはまだ動こうとはしない。空を見つめている。

「どうしたの?」

 ジーアは少しイラっとしたがここは我慢が必要。そう思ってミアンの言葉を待つ。

「よろしくって言われても。この間はたまたま上手くいったけど、どうやったか覚えてないんだよね」

「覚えてない?」

「うん」

 う〜。まさかそんな答えが返ってくるとは予想外も甚だしい。

 しかし。ここは学校でも会社でもない。私達は魔法少女。それに新人揃いのチームなんだよね。

 たまたま上手くいくということは上手くやれば出来るということでもある。魔法は信じないとダメ。その言葉が胸を躍らせる。

「だったら、その時と同じ気持ちになってやってみようよ。きっとカードがミアンの願いを叶えてくれるわ」

「そうか。あたしは魔法は信じてるよ」

「そうよ。信じるのよ。魔法は信じないと駄目だってジーアが私に教えてくれたの。だからミアンも信じるのよ。自信を持って自分の力を信じるの。分かったならやってみようよ。う〜ん、こんな感じ?」

 ジーアは自分が見本になるようにステッキを両手に持って思いを込める。薄らとだか全身がピンク色に染まっていく。それを見たミアンは両手を広げて同じように気合いを入れてみる。ミアンの身体は銀色に光り放つ。☆のエフェクトも健在だ。

「分かったよジーア。あたし頑張るね」

 ミアンの光が一層強くなって

「カード達お願いよ。あたしの願いを聞いて、叶えて。時間を止めて!時間よ止まれ!お願い!カードドロー!」


 ミアンの声に応えるように三枚のカードがキラキラと光りながらドローされる。ミアンはそのカードを手に取って見る。

「猪、鹿、蝶・・・この三枚なんだ。ようし、お願いカード達時を止めて!いくよ、みんな」

 カードはミアンの手を離れて光って☆となって消えてゆく。銀色の光が一瞬で世界全体に行き渡る。ジーア達が再び目にした世界はモノクロ写真のようになって動きを止めた。今、この世界で動いているのは四人の魔法少女達とドリーチェだけになる。ミアンはその成果に両手を挙げて大喜びしていた。

「やった〜出来た。やるじゃんあたし。上手くいったよ、ジーア、みんな」

 ミアンは全員にハイタッチしてゆく。

「カード達はミアンの願いを叶える為に適切なカードを選んでくれるんじゃないかな。そしてその分のカードに見合う魔法力を使えば願いが叶うってことなんじゃないかしら」

「そうなのかな。前もそうだったけど結構疲れるんだよね。あたしのHPゲージ半分は減った気分。あ〜お風呂・・・・・・」

 そんなミアンの活躍を目の前で見たジーアもだんだんやる気が湧いてくる。

「私も負けないよ。自分の魔法って知らないことばかり。だからみんなで私達って一体どんな魔法が使えるか探してみようよ。そうすればもっと上手く魔法を使えることができると思うの」


 完全に油断していた。魔法少女達の足元にドリーチェの手が伸びてきたことに誰も気がつかなかった。気がついた時はもう遅かった。それぞれの足はすでに掴まれていた。枝に巻き付かれているように、しかもその締め付ける力がジワジワと強くなっていく。やがて枝は全身に巻き付いてゆく。


「ゆ、油断した・・・まさかこんなところまで・・・みんな、大丈夫?」

「く、苦しい・・・こいつ、離せ・・・って。痛いから」

「・・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・」

 グローもティーナも苦しそうな顔をしている。それでも声は出さずに耐えていた。

 ジーアはステッキを握り直し考える。こうなった反省点はいくつもある。けれど今はそんなことを検証している場合ではない。この瞬間がどうやったら好転する?早く考えないとみんなやられちゃう。初陣でいきなり負けるなんて・・・そんなストーリー知らないし聞いたこともない。頭をフル回転させてみる。でもなかなか良いアイデアが浮かばない。


「原子・・・私の魔法は原子・・・どう使ったらいいの?どう使ったら・・・みんなを助けられる?」

 ジーアが悶々としていると突然ティーナが

「声のことなんて気にしてられるか・・・・あ、治ってる。おい、治った。よ〜し、今までのお返し。みんな、私がこいつを燃やす。だから逃げろ!」

「治った、ですって・・・ほんと・・・よかった。ちょっとティーナ、燃やすって、このまま?逃げろって言うけどどうやって逃げるのよ?指一本動かないのです」

 やっとジーアにアイデアが浮かぶ。正解なのか間違っているのかは分からないが今は試してみるしかない。辛うじてステッキを持った手は動かすことができる。きっと上手くいく。魔法は信じることから始まる。私は信じている。私達の勝利を。こんな苦戦、屁のカッパなのよ!!!

「いいこと思いついた。みんな、そのまま聞いて!」

 ジーアはみんなに大きな声で言う。

 魔法少女達の視線はジーアに集中される。みんなの期待を今背負った。

 このことには責任もついてくるのだろう。責任っていろいろある。個人の責任。集団なら連帯責任。

 私達は世界を守るという責任を背負っているんだ。

 

 ジーアの身体は眩いほどピンク色に光を放っていた。


11月最後のアップ日。

昨日は勤労感謝の日。なのに仕事でした。

読んでいただきありがとうございます。

ここまで来るとホント年の瀬だとヒシヒシと感じます。

けれど年末までアップは止まりません。

次回もよろしくお願いします。

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