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僕は魔法少女に変身する  作者: マナマナ


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魔法少女として本格始動 3

 ジーアがよくよくティーナの顔を見ると頬が赤い。今まで髪の色ばかりが目立っていたから全然気がつかなかった。

「そう、部屋で飲んでたの・・・そしたらなんか声がして。私は今楽しい夢を見てるんだよね」

 ティーナは空中に浮かんで夢を楽しんでいるみたいだ。

「夢だと思ってるの?」

「そうよ。だって空飛んでここまで来たんだぜ。ほら今だって。空飛ぶのって気持ちいいよね。ホントに飛べたらいいのにねぇ。・・・ウイック・・・ふう・・・喉乾いちゃった。お水欲しいな」

 ティーナは今度は地面に座り込んだ。その姿はどうみても酔っぱらいそのものだった。隣りには一升瓶が似合いそうだ。他はみんな黙ったまま見ているしかなかった。


「いいでしょう。お水が欲しいなら任せてもらいましょう。わたくしの魔法は『水』。もういらないってくらい差し上げますわ」

 我慢の限界とでも言うようにグローはペンダントに手を当てて祈りを込めると全身薄らと青く光り出す。

「さあ、水達よ集まりなさい」

 ジーアは慌てて止めに入るがグローは聞く耳を持たない。次第に小さな水泡がグローの周りに集まり始めていた。

「ちょ、ちょっとやめようよ。水なら、ほら、あそこ、あそこに水場があるから」

「いいえ。そんな生温いこと言わないでくださる。ジーア、この方には現実を見てもらう必要があるの。夢から醒めてもらわないと。さあ、水達よ、行きなさい!ほらティーナ欲しがってるお水よ。沢山お飲みなさい!」

 グローはたっぷり溜まった水の塊をティーナの頭に落とす。勢いで跳ねた水飛沫はジーア達にも飛んで来たが気にするほどのことではなかったが、ジーアの中では『あ〜あ』って内なる声が絶望的に響いていた。


「どわあああぁあああ、な、なんだ?冷たい、冷たい、やめてよ」

 ティーナはずぶ濡れ。グローは得意気な顔をしている。

「はあ、やっとすっきりしましたわ」

 ジーアの後ろに隠れていたミアンがこっそり話す。

「うわ〜、最悪・・・グローってさ、怒らすと怖いね」

「そう・・・だね・・・ミアンも気をつけた方がいいよ。でも有栖ってほんとはこういう性格なんじゃないのかな?」

 

「そこ!こそこそ話しない!」

「は、はい!・・・それでどうなったのかな、ティーナ・・・大丈夫かな」

 ジーアは慌てて話題を変えた。ミアンはすっかりジーアの後ろに隠れて様子を窺っている。

「さあ?本人に直接聞いてみるしかないと思います。どう?目が醒めましたか?」

 三人はティーナを見る。返事はない。そこにはずぶ濡れのまま俯いているティーナの姿があった、が、だんだん身体が小刻みに揺れて

「くくく・・・面白いことしてくれてんなぁ。上等じゃねぇか」

 突然、体から蒸気が立ち昇る。それはドンドン増していきティーナの姿は蒸気ですっかり見えなくなってしまった。


「こ、これ、ティーナの魔法?ティーナの魔法って『火』なのかしら」

 

「わたくしとは正反対の魔法を使うのですね」

「うわ〜、熱い熱い。見て見て、髪がドンドン乾いていくよ」

「ほんと。汗が出てきた。ティーナ!聞こえる?」

 返事はない。蒸気は静かに収まっていく。やっと姿が見える。ジーア達の目の前にはすっかり乾いている、いやむしろ炎に包まれているティーナが立っていた。

「あ〜腹立ったわ。なあ、これって夢でいいんだよな」

「違うの、聞いてティーナ!現実なの。私達は本当に魔法少女なの。空を飛んだのだってホントのこと」

「・・・ホント?現実?夢じゃない?」

「そうだよ。あたしだって最初は信じられなかった。でもホントにホント、現実なんだよ」

「・・・・・・そっか、現実か・・・そっか・・・お前から喧嘩売られたわけだ」

「どう?酔いは醒めたでしょ。今度はしっかり頭を働かせて考える番ですわ」

「そこの二人はいい。けど、お前は何かむかつく。いいぜ、買ってやるよ」

「わたくしのこと?お前なんて呼ばないでくださる。品が無いのは分かりました。しかしわたくしのことはグローと呼んでくださらないかしら。それにわたしくは喧嘩なんて下卑たことはしませんの」

「その口調がむかつくって言ってんのよ!これでも食らえ!」


 ティーナはいきなりテニスボールくらいの火の玉をグローに向かって投げ始めた。

「うわ!グロー!やめてよ、ティーナも」

「慌てなくってよジーア」

 グローの前にはいつの間にか水の壁が出来上がっていた。火の玉は何の効果も果たせず『ジュ』と音を立て次々と消えてしまう。

「な、なんだと?」

「そんな攻撃効きません。火は水に消される運命なのですから」

 グローは『水』というところを強調して言った。そんなこと関係ないって感じでティーナは首や肩を廻して気合いを入れ直している。

「へぇ〜『水』魔法ねぇ。でもどんな水だって火には蒸発する運命ってことも教えてやるよ」

 今度はティーナが『火』というところを強調すると、今度はバスケットボールよりも大きなの火の玉を両手で支えるように構える。

 グローの水の壁は白い煙を立ち上らせている。どうやら凍り始めているようだった。急激な気温の変化にジーアの眼鏡は薄らと曇ってゆく。


「ちょっと!もうやめて!喧嘩なんてやめてよ!」

 ジーアは大声を出す。二人ともその声に反応するが

「後には引けないな。ここで舐められてたまるか」

「後輩の教育はわたくしがしっかりして差し上げますわ」

「ほう。先輩面ってか。そんなの関係ないね。強い方が上に決まってる」

 ティーナの火の玉はさらに大きさを増す。ジーアは額に汗をかいていた。

「あなたみたいな人がどうして魔法少女に選ばれたのか不思議でなりませんわ」

「・・・・二人共・・・ほんとドリーチェ来るよ。私達が戦うのはドリーチェでしょ。お願いだから分かってよ!」

「すぐ終わらせます」

「ああ、それからドリーチェは私が倒してやるよ」

「二人とも・・・・ミアン、どうしよう?」

 振り返るとミアンはカードを展開していたが

「魔法で何とかできないかなって考えてんだけど、あたしまだ自分がどんなことできるか分かってないんだよね。どうしようジーア」

 ジーアは魔法という言葉で閃いた。

「魔法・・・・・そっか。私がやってみる。上手くいけばいいけど。まったく、初めて使う魔法が魔法少女同士の喧嘩を止めるためなんて・・・とにかくやってみるね」

 ジーアはステッキを宙に翳す。

 私の魔法。原子を集めること。

 今思いついたのはこれしかない。願いををステッキに込める。


「集まれヘリウム達よ!」

 ジーアの呼び掛けにステッキは光を放つ。先端の星がクルクルと勢いよく回転を始める。

 そして・・・


『He』の文字浮かんでがヘリウム原子が光の粒となってステッキの周りに集まり始める。


「す、凄い!こんな風に原子が集まってくるんだ。凄い凄い。ありえないけど魔法ならありえるんだ」

「ジーアはヘリウム集めて何をする気なの?」

「まあ見てて。うん、これくらいでいいかな。よっし!行っけぇ!ヘリウム達よ二人の喧嘩を止めて!」


 ヘリウム原子達はガス状に変わり、グローとティーナに飛んでいく。二人ともヘリウムを飲み込んだ。

「ナ、ナにWOしタ?」

「じーアte出しハ無ようyo」


 二人の声を聞いてジーアとミアンは笑い出してしまう。

「う輪、な、ナんだこno声?」

「わたくシの声ga、何uxoしたの、ジーア」


「あははは、おかしい、あはは、上手くいった。あはは、だから、やめよう喧嘩」

「あはははは、ジーアこれって何?おっかしい、苦しい、ほんと、あははは、笑い死んじゃう、あははは、あははは」

「気分はどう?あなた達が飲み込んだのはヘリウムガスよ。テレビとかで見たことない?ヘリウム吸って声変えてって。緊張感なくなったでしょ?」


 グローとティーナは黙ったまま見合っている。そして

「確蟹、こんナ声ジャ緊蝶缶なくなるwa」

「まったくですwa。ジーア、もっといい方法思いツカなかったNOかしら」

 お互い剣を鞘に納めるようにそれぞれの魔法を収めた瞬間だった。地響きが起こる。

 やっと本命の登場。喧嘩も収まったことだ。ジーアは、いや魔法少女達に緊張が走った。


新月の次の日にアップです。

読んでいただきありがとうございます。

集団になるといろいろ問題が発生するのは仕方のないことなのでしょうか。

世界はもっともたくさんの集団かと。

問題は魔法少女が解決してくれる。そんな世の中だってあっていいのに。

きっと次アップする頃には世界は明るくなっていることを祈っています。

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