表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ヒメコ  作者: 92コ
4/8

ヒメコ、旅に出る

 遊び歩くのにいい季節になり、母は、『熟年のゆったりのんびり旅2泊3日』に予約を入れた。京都方面に観光と食べ歩きの旅行ツアーのようだ。

 東京駅集合で新幹線で向かうツアーだけれど、母は、小田原駅からの途中参加。我が家の最寄り駅は、小田急線なので乗れば、小田原には、間違える事なくたどり着ける。家を出る時間も東京駅から参加するより、1時間半から2時間程遅くて間に合う。

 ツアー内容も長時間歩く事もなさそうで安心した。豪華な料理を頂くのを楽しみにしているが、若い頃より食が細くなっているのだから、食べ残しするのだろう。



 私は、数日前から天気予報をチェックして洋服、着替えのアドバイスを始めた。着ていきたい服がコロコロ替わる女心か、姫精神か?

 仕事から帰宅すると、先日とは、違う洋服が掛けられ、意見を求められる。疲れ切った私には、ハード時間。


 「行く時は、今日みたいな気温だから、もう一枚上に着る服を考えたら?

 そして2日目は、気温が、上がるから半袖に薄手のカーディガンかな。念の為ネッククーラーも持っていったら?」と細かく言うと、

 「私、これ気にっているからね。それに半袖でクーラー効くと寒いでしょ。」と反論が長引く。だんだん面倒になり、全て

「いいね。歩き易いのが一番だよ。」と応えた。その方が、彼女の機嫌を損なわない。



 そして、当日は、予定より30分以上も早く家を出た。

 

 

 あんなに念を押したが、先程からLINEが既読にならない。家をスタートして2時間も経てば新幹線に乗っているはずなのに、どうしたんだろう。LINE電話をかけてみたが、やはり出ない。

 こんな事なら、仕事を休んで小田原まで付き添えば良かったと心沈む。




 一方、ルンルン気分で家を出たヒメコは、小田急線のホームで見知らぬ人にたずねた。

 「すみません、この切符持っているんですが、どの電車かしら。」

 「あぁ、小田原ね。この停まっているのだよ。すぐ発車しますよ。」


 ヒメコが飛び乗るとすぐに乗車口が閉まった。タイミング良く乗り込めたが、座れない。そこで思い出した。

 自分は、駅まで行き、特急ロマンスカーの切符を買い求めたのだ。その切符を持ちながら、普通の急行電車に乗ってしまったのだった。


 急に動悸がして床に座り込んでしまった。


 「大丈夫ですか?」


読んで頂きありがとうございます。

続きますのでよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ