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陛下に謁見してから三日後。

あれからかなりバタバタとしていて、神殿に挨拶に行ったり、お触れ用の姿絵を描いてもらったりしていたら、考える暇もなくかなりの時間が経ってしまっていた。

しかし今日の午前中は特に予定は入っていない。

ということは、前世の記憶を整理して、今からどう挽回していけばいいか考えるチャンスである。

……挽回可能なのかはわからないけれど、とりあえず考えてみよう。


そもそも、なぜ精霊使いではない私が、ネックレスを付けることができてしまったのかについてだけれど……これについてはすでに前世の記憶から判明している。


実は、ネックレスを起動させる条件は「精霊使い」であること、ではなく、「十分な魔力量を持っていること」である。

魔力量は生まれ持った魔法の力がすべてであり、優秀なお父様とお母様の血を受け継いだ私は、相当な魔力量があった。

だからこそ、ネックレスが起動してしまい、この悲劇が始まってしまったのだ。


そしてネックレスは基本的には自分の意思で外さない限り、外れないようにできているが、それともう一つ外れる場面がある。

それは……他の人が精霊使いとして覚醒したときだ。


原作乙女ゲームでは、第二王子のオリヴァンが危機に陥った時、そばにクラリーズとヒロインがどちらもいたため、オリヴァンを助けたいと願ったヒロインが精霊使いとして覚醒し、クラリーズからヒロインのもとへネックレスが移った。


それにより、クラリーズが偽物であることが公衆の面前で明かされるのだ。

さらには、黒魔術に頼って、精霊使いかのような魔法を使っていたことも。


では、それを回避するには……?


時計の針が3周して、そろそろ正午といった頃、私はようやく考えをまとめた。


「ヒロインが覚醒する前に、ネックレスを置いて、逃げてしまえばいいんだわ」


この国にいる限り、私は精霊使いとして扱われる。

しかし、他国へ行けばどうだろうか?

ただの一般人として、普通の生活を送っていけるのではないだろうか?


表向きには、私は消息不明ということにして、私がいなくなったから後継者としてヒロインが精霊使いなったとすれば筋は通る。


ただ私が他国へ行くとなれば、普通に考えてかなり見張りがつくことだろう。

しかしそれも大丈夫。

学園経由で留学に行くことにすれば、いち学生の身分として、簡単な手続きで隣国へ行くことができるし、行った先で姿をくらますことも容易なはずだ。


それまでの間は、精霊使いとしての公務がちゃんとできるように、魔法の練習を頑張ろう。そもそも、私が嘘をついてしまったことから始まっているのだから、原作乙女ゲームのクラリーズのように公務をさぼってばかりでは、さすがに良心が許さない。


幸いなことに、まだ魔法は上手くはないけれど、魔力量は他の人よりも圧倒的に多い。

原作のクラリーズは、精霊使いという身分に甘えて何もしなかったから、黒魔術に頼らないと精霊使いのような魔法が使えなかっただけで、今から頑張ればできないことはないかもしれない。


「あとは……傲慢な態度を取らないこと、神殿の人や陛下に精霊を見せてと言われたら全力でごまかすこと、このことがばれたらまずいから、そもそも王子の婚約者にはならないこと……」


やらなければならないこと、やってはいけないこと、正直めまいがしてしまうほどたくさんある。

しかし、因果応報、自業自得。

起きてしまったことはもう戻せないから、これから頑張るしかない。


「嘘をつき通して、華麗に逃げてみせる!」


かなりかっこ悪い言葉を呟いて、私は次の用事のために自分の部屋を後にしようとしたが……


「クラリーズ! 王宮から知らせが届いたわ!」


お母様自ら私の部屋へやってきた。

なんだか嫌な予感が……


「あなたと第二王子オリヴァン様との婚約の話が来ているわよ!」


嫌な予感というものは、大抵当たってしまうのだ。

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