ダンジョン
ここに来てから3ヶ月がたった。
魔力の量もかなり増えてきた。そして実践。これもかなり慣れてきたと思う。
2ヶ月程前に熊と戦った時は焦りすぎて魔力を使いすぎた。あれがもう数頭いれば間違いなく死んでいた。いや、後ろにエリサがいたから助けてくれるとは思うが。
それからの2ヶ月間は魔力の強化と魔法の実践演習をした。森にかなりの種類の魔物がいたのだ。足が何十本もある虫、デカい角や牙をもつ猛獣などたくさんいた。その中でも特に見ることが多かったのがあの熊である。どうやらコイツはここに群れて住んでいるらしい。俺の前に現れたのはそれがはぐれたものだろう。
まぁたくさんの魔物と戦ったことでかなり慣れてきた。そんな時。
「ダンジョンに行ってみる?」
唐突にそんなことを言われた。今は昼で、いつものように外でひたすら魔力が尽きるまで魔法を出し続けていた。
「ダンジョンですか? そんなものこの近くにありましたっけ?」
俺は魔物と戦うためにこの森のほとんどを見て歩いた。それでもダンジョンなんて無かった気がする。いや見落としてるだけかも。
「この森にはないね。だから外に行くよ。ちょっと遠いけど」
「行きましょう」
俺は即答した。この森の外に出るなんて久しぶりだ。
「じゃあ明日にはもう行くから、準備しようか」
「はい!」
ダンジョンに着いた。
ダンジョンに行くための準備と言っても、特に何もすることがなかった。そしてエリサは『この森から少し遠い』みたいなことを言っていたが、魔法を使ってすぐに着いてしまった。距離はかなりあったようだが、魔力はほとんど残っているようだ。
多分だけど、俺が魔法で移動しようと思っても途中で落ちるだろうな。
ここに来るまでに使ったのは風魔法を応用し、自分を空に浮かせるものだ。
「じゃあもう入ろうか」
俺たち2人はダンジョンへに入っていった。
ダンジョンの地下へと進む階段を探す。
ここに来る前、空の上で聞いた話しだが、ダンジョンはたくさんの数があって、そのほとんどがクリアされていないらしい。それは地下に潜るに連れて強い魔物が増えてくるからだ。
ちなみにエリサはダンジョンをひとつクリアしていて、最下層にはクリスタルがひとつ置かれているだけらしい。
「あ、階段ありました」
「よし! どんどん進もう!」
それからもう数段降りた。
一回層ではほとんど出なかった魔物も、二回、三回と降りていくにつれ増えてきた。強さも増している。
それでも勝てないわけじゃない。ていうかエリサがいるおかげで絶対に負ける気がしない。この人強すぎなのだ。でも、基本的には俺がやる。これは特訓だから。
「? 扉がありますね」
もう数段降りた先に大きな扉があった。そしてその先に何やらとてつもない魔力を感じる。
「最下層だね。この先ダンジョンの主がいるから気を付けてね」
もう最下層に着いてしまったしまったらしい。正直魔法を使えない人でもこれくらいなら簡単に攻略出来る気がする。いや、そもそも命を懸けて攻略するメリットがないのか。奥には金銀財宝がある訳ではないみたいだし。
深呼吸をする。この先にいるやつは強い。
落ち着いて両手で重い扉を開ける。
中に入ると大きな空間に出た。至る所に骨や防具、武器が転がっている。ここに挑んだ人達は皆ここでリタイヤしたのだろう。
そして、中央にはどデカい青色の龍がいた。青龍である。その奥にはクリスタルみたいなものが浮いている。似ている……。俺の村にあったクリスタルと似ていたのだ。
「来るよ!!」
エリサから声がかかり俺は意識を青龍に向ける。
集中だ。コイツは今までのモンスターとは格が違う。
俺も成長したのだろう。相手の魔力を感じることが出来る。
青龍の魔力が青色に光る。
攻撃が来る、そう思った瞬間、青龍の口から赤い液体が大量に出てきた。血である。
えっ?
俺もエリサも困惑している。
ふと、青龍の上に誰かが立っていることに気づく。
誰だ? 暗くてよく見えない。急にそいつの周りに六つの炎が浮かぶ。
そいつが魔力を使った瞬間感じてしまった。コイツには勝てない。化け物だと。
炎に照らされ、姿が見えてくる。そいつは額に角があり、ボロボロに欠けている紫の鎧を身にまとっている。見た目は小さな少女という感じである。
そいつに上から睨まれる。足が震える。汗が止まらない。
その角の生えた少女は青龍から降り、後ろのクリスタルの元まで行き、それを食べた。
バリッボリッという音が大きな空間に響き渡る。
それを全て食べ終えた少女が俺たち2人の前来た。
「青龍の魔力を感じた。そのおかげでまたクリスタルが見つかった。感謝する」
俺たちはどうも出来ない。エリサでさえも。
ものすごい音を立て、下から急に穴が開けられる。
おいおいおい! ここダンジョンだぞ!
現れたのは黒い巨大な鬼。
「鬼神様、地底に帰りますよ」
鬼神と呼ばれた少女はコクッと頷き、そいつの肩に乗り消えていった。
こうして主である青龍を倒すことなく、初めてのダンジョン攻略が終了した。




